障害年金を受給しようか迷った際に、一番気になるのは「障害年金はいくらぐらいもらえる?」ということだと思います。
特に、障害を抱えて働くことができなくなった方にとっては、とても切実な悩みですよね。
そこで今回は障害年金で受け取れる金額や年金額の計算方法について詳しく解説します。
障害年金で受け取れる金額について気になる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
障害年金でもらえる金額は?
障害年金の年金額はすべての方に対して一律の金額が支給されるわけではなく、障害年金の種類や等級などによって金額が変わります。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つの年金があり、どちらの年金が受給できるかは初診日(※)に加入していた年金制度によって異なります。
(※障害の原因となる傷病で初めて病院を受診した日)
初診日に国民年金の加入者であれば障害基礎年金が支給され、厚生年金の加入者であれば、障害基礎年金にプラスして障害厚生年金も支給されます。
また、障害年金は障害の程度によって、重い方から順に1級、2級、3級の等級があり、認定される障害等級によっても支給される年金額が異なります。
障害基礎年金で受け取れる金額はいくら?
ここでは、障害基礎年金の年金額について詳しく解説します。
障害基礎年金の金額
障害基礎年金の年金額は定額で、障害等級(1級、2級)に応じて支給額が決まります。
具体的な障害基礎年金の金額は以下の通りです。
【障害基礎年金の年金額】
障害等級 | 支給額 |
1級 | 1,020,000円(+子の加算) |
2級 | 812,000円(+子の加算) |
参照:日本年金機構(障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額)
2級の障害基礎年金の額は老齢基礎年金の満額と同額で、1級は2級の1.25倍の額です。
また、障害基礎年金の受給者に子どもがいる場合、年金額に「子の加算」が追加されます。
子の加算額
障害基礎年金の受給権者によって生計を維持されている子どもがいる場合は、その子どもの人数に応じて一定額が加算されます。
- 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
- 20歳未満で障害等級1級または2級の障害を持つ子
【子の加算額】
人数 | 加算金額 |
第1子、第2子 | 1人につき234,800円 |
第3子以降 | 1人につき78,300円 |
受給権を得たあとに要件を満たす子が生まれた場合でも、届け出を出すことにより子の加算を受け取ることができます。
- 同居していること
(別居していても定期的に仕送りをしているか、健康保険の扶養親族等であれば認められます) - 子どもの前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であること
障害厚生年金で受け取れる金額はいくら?
障害厚生年金の年金額は障害基礎年金のように定額ではありません。
そこでここからは、障害厚生年金の受け取れる年金額について詳しく解説していきます。
障害厚生年金の金額
障害厚生年金で受け取れる年金額は、収入の平均額や厚生年金の被保険者期間の長さなどによって変わります。
これを「報酬比例の年金額」といいます。
また、障害厚生年金には25年(300月)の最低保障があるため、厚生年金の被保険者期間が短くても25年加入していたものとして計算されます。
具体的な障害厚生年金の支給額については以下の通りです。
等級 | 支給額 | |
障害厚生年金 | 障害基礎年金 | |
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+
(配偶者の加給年金) |
障害基礎年金1級
1,020,000円 |
2級 | 報酬比例の年金額+
(配偶者の加給年金) |
障害基礎年金2級
816,000円 |
3級 | 報酬比例の年金額
(最低保障額612,000円) |
|
障害手当金
(一時金) |
報酬比例の年金額×2
(最低保障額1,224,000円) |
参照:日本年金機構(障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額)
障害厚生年金は1〜3級まで等級があり、さらに障害厚生年金に該当する障害状態よりも軽い障害が残った場合は、障害手当金を受け取ることが可能です。
障害厚生年金1〜2級の受給者は、障害基礎年金に加えて配偶者加給年金が加算されます。
なお、障害厚生年金3級には障害基礎年金や配偶者の加算がありません。
しかし、報酬比例の年金額は、厚生年金の被保険者期間や収入の平均などによって計算されます。
そのため、障害厚生年金3級には最低保障額が設定されており、計算されて年金額が最低保障額に満たない場合は最低保障額の年金を受け取れます。(最低保障額612,000円)
配偶者加給年金
障害厚生年金1級・2級の受給権者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合には、「配偶者の加給年金」が加算されます。
配偶者の加給年金の額は、一律で234,800円です。
障害年金は一部の年金(20歳傷病による障害基礎年金)を除いて収入や所得の制限はありませんが、配偶者加給年金については対象者の収入や所得に対する制限があります。
具体的な条件としては以下の通りです。
- 同居していること
(別居していても定期的に仕送りをしているか、健康保険の扶養親族等であれば認められます) - 配偶者の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であること
障害手当金
1〜3級に該当するほどでなくても一定の障害状態に該当する場合は障害手当金を受け取れる場合があります。
ただし、障害手当金の受給には以下の条件を満たすことが必要です。
- 初診日に厚生年金加入者であること
- 初診日から5年を経過するまでにその傷病が治った、または症状が固定していること
- 一定の障害状態あること
- 保険料の納付要件を満たしていること
なお、障害手当金は年金では一時金としての支給のため、最初に1回支給をされたらそれで支給は終わりです。
また障害厚生年金3級に最低保障額があったように、障害手当金も最低1,224,000円の最低保証額が定められています。
障害厚生年金の受給額の計算方法
計算式にある報酬比例の年金額については、以下の計算方法で求めることができます。
報酬比例の年金額は、以下のAとBを足した額となります。
- A:平成15年3月以前の加入期間の金額
平均標準報酬月額※2×7,125/1,000×平成15年3月までの加入期間の月数※3 - B:平成15年4月以後の加入期間の金額
平均標準報酬額※2×5,481/1,000×平成15年4月以降の加入期間の月数※3
※1 平均標準報酬月額…平成15年3月以前の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割った額
※2 平均標準報酬額…平成15年4月以降の標準報酬月額と、標準賞与額の総額を平成4月以降の加入期間で割った額
※3 加入期間の月数…加入期間の合計が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
また、年金に反映される加入期間は障害認定日までの期間とし、それ以降の加入期間は年金額の計算には入れません。
さいごに
障害年金の金額はとても分かりにくいため、障害年金の種類ごとにポイントをまとめました。
障害基礎年金の額は以下の2つの要素によって支給額が決まります。
- 障害の程度
- 18歳未満の子どもの有無
障害厚生年金は以下の4つの要素によって支給額が決まります。
- 障害の程度
- 18歳未満の子どもの有無
- 配偶者の有無
- 障害認定日までの給与額と厚生年金の加入期間
特に、障害厚生年金の年金額は複雑で分かりにくいため、気になる方は年金事務所で算定していただくことをおすすめします。
また、初診日の特定など障害年金の請求で不明な点がある場合は、ぜひ社労士にご相談ください。