障害年金や老齢年金、遺族年金の支給が決定したら年金証書が届きます。
年金証書は、国民年金を受給する権利があることを証明する書類です。
一見なじみのない記載もあり、「年金手帳の見方がわからない」といった疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな疑問を持つ方に向けて、本記事では年金証書について詳しくご紹介していきます。
目次
年金証書とは
年金証書とは、年金を受ける権利があることを証明する書類のことを指します。
わたしたちが納めている公的年金(障害年金、老齢年金、遺族年金など)は、受け取れる時期になったら自動的に支給されるいうことはありません。
年金を受給するには、「年金を請求する」という行為が必要になるのです。
定められた請求手続きを行い、厚生労働大臣に「年金を受給する権利がある」と認めてもらう必要があるのです。
年金を受給するための手続きを済ませて、「あなたには年金を受給する資格がありますよ」と認められたときに発行されるのが年金証書です。
年金証書の見方
ここからは、年金証書の見方についてご紹介していきます。
まず、年金証書の上部(青色の部分)で確認すべき部分が4つあります。年金の種類、基礎年金番号、年金コード、受給権を取得した年月です。
以下の項目でそれぞれについて詳しくご紹介していきます。年金証書をお持ちの方は、お手持ちの証書と併せてご確認されてみてください。
年金の種類
年金証書の上部(青色の部分)の左上には、年金の種類が記載されます。
年金の種類といっても、基礎年金なのか厚生年金なのかが記載されるのではなく、障害年金・老齢年金・遺族年金のいずれかが記載されることとなります。「障害」「老齢」「遺族」といった表記がされます。
基礎年金番号
中央部分には、基礎年金番号が記載されます。
基礎年金番号は、年金に関連するお問い合わせや届け出する際に必要となる、重要な番号です。
「4桁+6桁=10桁」の数字で構成されています。
1人に1つ与えられる基礎年金番号ですが、まれに基礎年金番号を複数持たれているケースがあります。
公的年金に加入するための手続きをした際に、その方が基礎年金を持っていなかったなどの理由で番号が確認できず、結果的に新しい基礎年金番号が発行されてしまったということが原因の1つとして考えられます。
1人で複数の番号を所持している状態だと支給されるべき年金の金額が少なくなる可能性があるため、年金事務所で確認をしてもらうようにしてください。
年金コード
右上の部分に、4桁の年金コードがあります。記載されている番号で受給している年金の種類が分かる仕組みになっています。
具体例を下記に掲載します。
1150 | 老齢基礎・老齢厚生年金 |
特別支給の老齢厚生年金 | |
老齢基礎年金(老齢基礎年金のみ) | |
1350 | 障害基礎・障害厚生年金 |
1450 | 遺族基礎・遺族厚生年金 |
5350 | 障害基礎年金(障害基礎年金のみ) |
6450 | 遺族基礎年金(遺族基礎年金のみ) |
参照:年金コード|日本年金機構
受給権を取得した年月
中央下部の生年月日のとなりには、受給権を取得した年月が記載されます。
障害年金の場合、年金が支払われるのは年金受給権が生じた月の翌月となります。
つまり、受給権を取得した年月と年金の支給開始月は同じにはなりませんのでご注意ください。
ちなみに年金を受ける権利(受給権)が時効になった場合でも、年金受給権の取得年月は記載されたままとなります。
国民年金法・厚生年金保険法によって、年金を受ける権利(基本権)が発生した後に請求しないまま5年が経過すると、基本権が消滅すると定められています。しかし、受給権が無くなるわけでは無いため、請求以降の年金・過去5年分の年金は受給することができます。(参照:年金の時効|日本年金機構)
厚生年金保険 年金決定通知書の見方
厚生年金保険の年金決定通知書には、厚生年金の上乗せ分や、根拠となる法令等が記載されています。
厚生年金保険 年金決定通知書のなかで重要となる、「支払開始年月」「基本となる年金額」「加給年金額または加算額」「年金額」について、それぞれ確認していきましょう。
支払開始年月
左上に厚生年金の支払開始年月日が記入されています。
厚生年金の支払開始年月は、国民年金の支払開始年月と同じ日付となり、受給権を取得した年月の翌月が定められます。
基本となる年金額
支払い開始年月の右隣に、基本となる年金額が表記されています。
平均標準報酬額等・厚生年金への加入月数から算出した、基本となる年金額が記載されます。
加給年金額 または 加算額
基本となる年金額の右隣に、加給年金額が記載されます。
障害等級が1級・2級に該当する厚生年金受給者に、受給権を取得した時点で、受給者に年収850万円未満かつ65歳未満の配偶者がいる場合には加給年金が支給されます。
また、年収850万円未満かつ18歳年度末までの子供がいる場合には、子の加算額が支給されます。
(一定の障害を持つ子供の場合は20歳未満)
年金額
厚生年金保険 年金決定通知書の右上には、年金額が記入されます。
内訳は基本の年金額と増減額を合計し、最終的に算出された厚生年金の金額となります。
年金額は社会情勢や物価の変動に応じて改定が行われます。物価・賃金が下がった際に2つのうち大きく下がった方に合わせて減額される「物価スライド」や、年金の支給額が増える際に伸び率を毎年1%抑える「マクロ経済スライド」によって調整されます。(参照:マクロ経済スライドってなに?|厚生労働省、物価スライド|日本年金機構)
国民年金 年金決定通知書の見方
障害厚生年金2級以上の受給権者には、国民年金の年金決定通知書にも記載されます。
ここでは「支払開始年月」「基本となる年金額」「加算額」「年金額」についてご紹介していきます。
支払開始年月
左上の箇所には、年金の支払開始年月が記入されています。
厚生年金との支払開始年月と同様に、受給権を取得した年月の翌月となります。
基本となる年金額
上部中央に、基本となる年金額が記載されます。
こちらに記載される国民年金の年金額は定額となります。
加算額
年収850万円未満かつ18歳年度末までの子供がいる場合には、子の加算額が支給されます。
(一定の障害を持つ子供の場合は20歳未満)
年金額
右上に記載される年金額は、厚生年金と同様に基本の年金額に加算・減額をした後の合算金額となります。
「厚生年金の年金額+国民年金の年金額=実際に貰える金額」ではありますが、物価スライドやマクロ経済スライドが影響して、「年金額」の欄で差額が出る場合もあります。
年金証書を紛失した場合
年金証書を紛失した際には、再発行の手続きをします。
年金事務所または年金相談センターで、再発行の申請が可能です。
年金証書を発行するためには「年金証書再交付申請書」という用紙が必要となります。国民年金を受けている方が再発行の手続きを行う場合は、市や区役所、町村役場にある国民年金窓口に行って申請用紙を手に入れることもできます。
年金証書の再発行については、下記記事で詳しくご紹介しています。
さいごに
「年金を受け取る資格があること」を証明するための書類である、年金証書についてご紹介しました。
「難しそうな言葉や数字が並んでいるため、難しそうだな」と感じられる方も多くいらっしゃいます。
どこに何が書いてあるのかがわかれば難しくはありませんので、年金を受給される方は理解しておくことをおすすめいたします。