「今日はなぜだか気分が落ち込む」
「元気がでなくて、なにもしたくない」
仕事や学校、家庭生活がうまくいかないとき、誰でもそんな気持ちを持つことはあるでしょう。
しかし、憂鬱な気分が晴れずに長く続くときは「うつ病」かもしれません。
うつ病は、心だけではなく体にも不調が表れる病気ですが、体の不調が辛い場合、自分がうつ病だと気づかない人も多いです。
そこで、この記事ではうつ病の症状を詳しくご紹介します。
最後まで読むと、うつ病の治療法や今日からできる予防法もわかるので、うつ病を知りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
うつ病はどんな病気?
うつ病は、気分障害のひとつで心身に不調が表れる病気です。
脳内の神経伝達物質が減少し、脳がうまく働かなくなって、感情を調節できなくなります。
いつもは明るい人なのに否定的な考え方になったり、気力がなくなって周囲の人から、「いつもと違うけど大丈夫?」と言われて初めてうつ病だと気づく人も多いです。
「眠れない」「頭痛や肩こりがひどい」「食事がとれない」などのつらい症状が長く続き、生活に支障が出るケースも多く見られます。
うつ病の原因は?
うつ病の発症の原因はわかっていませんが、感情を司る脳の働きに不具合が生じていると考えられています。
うつ病は、仕事や勉強などの精神的ストレスや、疲れなどの身体的ストレスなどから発症することが多いと知られています。
うつ病が発症しやすい日常生活での出来事を下記にまとめました。
- 経済的困窮
- 被災体験
- 体の病気(糖尿病、がん、脳梗塞など)
- 昇進や栄転
- 結婚や妊娠・出産
- 引っ越し
- 進学・就職
うつ病は、栄転や結婚、出産などの嬉しい環境変化のあとに発症することがあります。
うつ病で表れる心の症状
心(精神)に表れるうつ病の症状をみていきましょう。
- 憂うつな気分や気持ちの落ち込みが続く
- 悲しい気持ちになる
- 集中力が低下して、仕事の能率が低下する
- 今まで好きだったことへの興味や楽しみがなくなる
- 何でも自分の責任だと感じてしまう
- 物事の判断が遅くなる、些細な決断ができなくなる
例えば、「いつも楽しみにしていたテレビなどが楽しめない」といった意欲の低下、「人に会う気が起きない」「感情が湧かない」なども、うつ病で心に表れる症状です。
長く続くときは、早めに医療機関に相談しましょう。
うつ病で表れる体の症状
続いて、体に表れるうつ病の症状をみていきましょう。
- 眠れない
- 早朝に目が覚める
- 朝は起きられないが、夕方や夜になると少し体調が良くなる
- 疲労、倦怠感が続く
- 食欲がわかない
- 体重が減少する
- 頭痛
- 肩こりや背中の痛み
- のどの渇き
- 便秘、下痢
上記のような体の不調で内科や整形外科等にかかり、検査に異常がなく、体の症状の原因が見つからない場合、うつ病の可能性があります。
参考:体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう|e-ヘルスネット
重症度でみるうつ病の症状
うつ病の重症度の観点から見た主な症状を紹介します。
軽度のうつ病
うつ病の初期症状は、体の不調として表れることが多くあります。
体の不調や痛みなどの症状が目立ち、心の症状があっても本人が気づかない場合があるのです。
体調不良が続くときは、まずかかりつけ医を受診して体に原因がないかを診てもらうことをおすすめします。
中程度のうつ病
中程度のうつ病では、うつ病の様々な症状のために生活に支障が出てくることが多くあります。
例えば、朝は起き上がることができずに、遅刻や欠席を繰り返したり、食事がきちんと取れないなどの症状が長く続くときはうつ病かもしれません。
重度のうつ病
重度のうつ病になると、うつ病の症状が原因で自分ひとりでは普段の生活がほとんど送れないほどの状態になります。
毎日憂鬱な気持ちを抱え、「自分は価値がない」「死んだ方がよい」などと思うことも少なくありません。
参考:体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう|e-ヘルスネット
うつ病の診断基準
うつ病の診断基準には、アメリカの精神医学会が作成した「DSM-5」とWHOが作成した「ICD-10」が用いられます。
この記事では、DSM-5の診断基準をみていきましょう。
DSM-5では、主に下記の9つの診断項目があります。
- ほとんど毎日、気持ちが落ち込んだり、ふさぎこんだ状態が1日中続いている。
- 何に対しても興味や楽しみが持てない。
- 食欲がない、体重が減った。もしくは、食欲が常にあり、体重が増加した。
- 寝つけない。夜中に何度も目が覚めたり、朝早くに目が覚めたりする。
- 話し方や動作が普段より遅くなった。もしくは、イライラして落ち着きがない。
- いつもより疲れやすくなり、気力が低下している。
- 自分は価値のない人間だと感じる、人様に申し訳ないと自分を責めてばかりいる。
- 仕事や家事などの物事に集中できなくなった。
- 死ぬことを何度も考えたり、その計画を立てる。
上記の9つの症状のうち、1もしくは2を含む5つ以上の症状が1日中あって、ほとんど毎日、2週間にわたって続いている場合、うつ病の可能性が高いといえます。
早めに精神科やメンタルクリニックなどの専門の医療機関を受診しましょう。
うつ病の主な治療法
うつ病の主な治療法を3つご紹介します。
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順番にみていきましょう。
休養を十分にとる
うつ病の治療では、休養をとることがとても大切です。
心身ともに疲れ果てた状態を癒すために、まずは十分に休めるように環境を整えましょう。
仕事から離れるために休職したり、学生であれば学校を長期にわたって休むことも必要かもしません。
もし十分な休養を取る場所がない場合は、うつ病の症状が軽くても一時的に入院するという選択もあります。
休養を最優先に、周りの協力を得ながら環境整備を進めましょう。
薬をきちんと服用する
うつ病の治療法の2つ目は、薬をきちんと服用することです。
うつ病の治療で使われるのは、主に「抗うつ薬」です。
抗うつ薬は飲んですぐに効く薬ではないので、効果が出るまで焦らずにきちんと服用しましょう。
また、症状に合わせて、「睡眠導入剤」や「抗不安薬」などが処方されることもあります。
もし薬の効き目や副作用など、気になることや不安があったら、診察時に主治医に相談しましょう。
精神療法を受ける
精神療法は、休養や薬物療法を行って、うつ病が回復してきた人に行います。
精神療法の目的は、うつ病が回復してきた良い状態を維持したり、うつ病を再発させないように予防したりすることです。
物事を悲観的に捉えたり、悪い方へ想像してしまう悪循環に気づき、前向きになる方法を学びます。精神療法により、気持ちを楽にしたり、行動をコントロールしたりできる力が身につくことが期待できるでしょう。
うつ病は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に回復していきます。
治療は焦らず、気長に構えることが望ましいです。
今日からできる!うつ病を予防する方法
うつ病は、誰でもかかる可能性がある病気ですが、自分で予防することもできます。
そこで、うつ病の予防方法を3つご紹介します。
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それぞれ順番にみていきましょう。
睡眠を見直す
人間にとって、十分な睡眠は健康維持に欠かせません。
日中のダメージや疲れを癒し、体力を回復するだけではなく、メンタルを健康に保つためにも、質の良い睡眠を確保することが大事です。
休日も寝坊はせずに起床時間を同じにして、できれば毎日朝日を浴びましょう。
朝日を浴びると体内時計が整って睡眠のリズムが改善し、入眠しやすくなる効果が期待できます。
また、過度な飲酒や喫煙、カフェインの取りすぎは、睡眠に悪影響を及ぼすのでなるべく控えましょう。
適度な運動を取り入れる
適度な運動は、健康維持だけではなく、うつ病の予防にも効果的です。
ウォーキングや軽いジョギングなどの運動をすると、血流がよくなり、気分が晴れやかになります。
仕事や勉強などで気持ちが塞ぎがちなときにも、少し散歩をするだけでいい気分転換になるでしょう。
外に出る元気がないときには、室内でストレッチやヨガなどをするのもおすすめです。
また、「少し疲れたな」くらいの運動をすると、就寝時の寝つきが良くなります。
健康維持と良質な睡眠のために、適度な運動を行いましょう。
食生活を改善する
食生活を改善することもうつ病の予防に効果があります。
現代人の食事は、エネルギーは十分にとれていますが、ミネラルやビタミンなどの栄養が不足しがちです。
大切な栄養が足りないために脳内の神経伝達物質の生成がうまくできないといわれています。
特に、鉄分や亜鉛、マグネシウムなどのミネラル、セロトニンの材料となるトリプトファン、DHAやEPAは意識してとりたい栄養素です。
毎日の献立に野菜や果物、魚や肉などをバランスよく取り入れて、食生活を改善しましょう。
まとめ
うつ病は気分障害の1つで、心身に不調が表れる病気です。
脳内の神経伝達物質が減少し、脳がうまく働かない状態となり、無気力になったり、頭痛や肩こり、不眠など様々な症状が心身に表れます。
うつ病は、辛い体験や苦しいことだけではなく、栄転や進学、結婚などの嬉しい出来事のあとに発症することが知られています。
不安や憂鬱、不眠などの辛い症状が2週間続いたら、うつ病かもしれません。
早めにメンタルクリニックや精神科などの専門の医療機関を受診しましょう。