もしかしたらうつ病かも?うつ病の診断基準や代表的な症状、治療法を解説

うつ病の患者は近年増加傾向にあり、誰にでも発症する可能性のある身近な病気です。

しかし、うつ病は発症しても自分では気がつきにくく判断も難しいため、重篤化してしまうケースも少なくありません。

うつ病が進行すると、仕事はもちろん日常生活に大きな支障をきたす可能性があるため、できるだけ早く症状に気づいて対処することが大切です。

そこで今回は、うつ病の診断基準や代表的な症状、主な治療法などについて解説します。

うつ病とは?

うつ病とは、脳内の神経伝達物質のアンバランスよって気分や感情をうまく調節できなくなり、心身に不調が表れる気分障害の1つです。

うつ病の原因はひとつだけではなく、生活の中で起こるさまざまな要因が複雑に結びついて引き起こります。

例えば、家族や友人などの親しい人との死別や離婚、人間関係のトラブルといった、悲しい、苦しい出来事がストレスとなってうつ病を発症することがあります。

しかし、それ以外にも昇進や結婚、子どもの独立など、どちらかというと嬉しい出来事であっても、本人にとってはストレスを感じてしまいうつ病の原因となることもあります。

このように、うつ病は生活の中で起こるさまざまな要因が結びついて発症する可能性があるのです。

うつ病の代表的な症状

うつ病は、心と身体の両方に症状が表れます。

ここからは、うつ病の代表的な症状を「精神症状」「身体症状」の2つに分けて解説します。

精神症状

うつ病の代表的な精神症状としては、以下のような症状があります。

  • 憂うつな気分や気持ちの落ち込みが続く
  • 悲しい気持ちになる
  • 集中力が低下して、仕事の能率が低下する
  • 今まで好きだったことへの興味や楽しみがなくなる
  • 何でも自分の責任だと感じてしまう
  • 物事の判断が遅くなる、些細な決断ができなくなる

身体症状

身体症状の代表的な症状としては、以下の通りです。

  • 眠れない
  • 早朝に目が覚める
  • 疲労、倦怠感が続く
  • 食欲がわかない
  • 体重が減少する
  • 頭痛
  • 肩こりや背中の痛み
  • のどの渇き
  • 便秘、下痢

上記の症状は、生活習慣病とも似ており、なかなか自分ではうつ病だと自覚しにくいです。

しかし、うつ病は発見が遅くなり、治療開始が遅くなるほど治るまでに時間がかかってしまいます。

そのため、もし、うつ病の症状があるのに、自覚がない人がいる場合は、周囲の人が異変に気がついて、速やかに専門の医療機関への受診を促してあげることが大切です。

参考:厚生労働省みんなのメンタルヘルス総合サイト

うつ病の診断基準について

現在、国際的なうつ病の診断基準には、米国精神医学会の「DSM-5」と世界保健機関(WHO)の「ICD-10」との2つが用いられています。

DSMとは「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の略称で、「精神疾患の診断・統計マニュアル」と言います。

一方、ICDとは、「International Statistical Classification of Diseases and Related」の略称で、「疾病及び関連保険問題の国際統計分類」と言います。

以下に、2つの診断基準の違いをまとめました。

DSM-5 ICD-10
版(2021年5月時点) 第5版 第10版(11版も公表済み)
機関 米国精神医学会 世界保健機関(WHO)
分類範囲 精神疾患 疾患全般

大きな違いとしては、DSMは「精神疾患」のみですが、ICDは「疾病全般」まで分類されている点です。

おおよその部分は、ICDとDSMもどちらも共通していますが、分類の仕方や分類名、診断名が多少異なる部分もあります。

一般的に、うつ病の診断には、精神疾患をより専門的に取り扱う「DSM-5」を診断基準として用いられることが一般的ですが、「ICD-10」も用いる病院もあります。

そこでここでは、うつ病の診断として広く用いられている「DSM-5」の診断基準について詳しくみていきましょう。

【うつ病の診断基準(DSM-5)】

DSM-5では、主に下記の9つの診断項目があります。

  1. ほとんど毎日、1日中、気持ちが落ち込んだり、ふさぎこんだ状態が続いている。
  2. 何に対しても興味や楽しみが持てない。
  3. 食欲がない、体重が減った。もしくは、食欲が常にあり、体重が増加した。
  4. 寝つけない。夜中に何度も目が覚めたり、朝早くに目が覚めたりする。
  5. 話し方や動作が普段より遅くなった。もしくは、イライラして落ち着きがない。
  6. いつもより疲れやすくなり、気力が低下している。
  7. 自分は価値のない人間だと感じる、人様に申し訳ないと自分を責めてばかりいる。
  8. 仕事や家事などの物事に集中できなくなった。
  9. 死ぬことを何度も考えたり、その計画を立てる。

上記の9つの症状のうち、1もしくは2を含む5つ以上の症状が、1日中、ほとんど毎日、2週間にわたって続いている場合、うつ病の可能性が高いです。

心配な場合は、精神科や心療内科などの専門の医療機関で早めに診察を受けるようにしましょう。

うつ病の主な治療法

うつ病の治療法としては、主に「十分な休養」「薬物治療」「精神療法」などがあります。

最後に、それぞれの具体的な治療法について解説します

十分な休養

十分な休養を取ることは、うつ病治療の中でもっとも大切です。

うつ病の方は責任感が強く、真面目な方が多いため、休むことに罪悪感を感じてしまい、つらくてもなかなか休みを取ろうとしません。

しかし、うつ病を治すためには、まずは、疲れ切っている心と身体をしっかりと休ませることが重要です。

もし、十分な休養を取る場所がない場合は、軽症であっても一時的に入院するというのも選択肢の1つです。

薬物療法

うつ病の治療では、休養を取りながら薬物療法を並行して行うことも多いです。

薬物療法では、セロトニンやノルアドレナリンなどの感情の調節に関わる神経伝達物質が正常に機能するようにサポートする「抗うつ薬」がよく用いられます。

抗うつ薬は数十種類もあるため、副作用を考慮しながら、患者さんにあった薬物を用いて治療していきます。

ただし、抗うつ薬は、すぐに効果が出るわけではなく、効果が表れるまでには、服用開始から2〜3週間程度かかることが特徴です。

そのため、すぐに効果が出ないからといって、服薬を中断せずに、主治医の指示に従って焦らずに一定期間継続することが大切です。

精神療法

精神療法とは、休養や薬物療法を行って、うつ病が回復してきた方にその良い状態を維持したり、うつ病を再発させないように予防したりする治療法です。

代表的な治療法としては、「認知行動療法」「対人関係療法」の2つの治療法があります。

認知行動療法

認知行動療法とは、人の感情や気分に影響を及ぼしているものの考え方や受け取り方(認知)に働きかけて、気持ちを楽にしたり、行動をコントロールしたりする治療法です。

対人関係療法

対人関係療法とは、現在問題となっている対人関係問題をひとつに絞り、その対人関係状況に適応することで、ストレスを現状させることを目的として行われます。

認知行動療法と同じく、ストレスの原因を根本から改善するのではなく、対人関係における対処法を学ぶことで良い状態を維持したり、悪化を防いだりすることにつながります。

さいごに

今回は、うつ病の代表的な症状や診断基準、主な治療法について解説しました。

精神科や心療内科に受診しに行くのは、不安や勇気がいるかもしれませんが、うつ病は、早期発見・早期治療によって病気の回復が早くなります。

もし、今回紹介したうつ病の症状や、診断基準に該当する場合、早めに精神科や心療内科などの医療機関を受診するようにしましょう。