障害認定日請求とは|2通りの請求方法とできない場合の対処法

障害年金を受給できるか調べていると、必ず出てくるのが「障害認定日請求」です。

障害認定日請求とは、障害となる症状で初診を受けた日から1年6ヶ月が経過し、現在も障害状態の場合にできる請求方法です。本来請求と遡及請求の二通りの方法があり、それぞれ条件が異なります。

複雑なことが多い障害年金ですが、受給するためにはしっかりと理解しておく必要があります。
本記事では、障害認定日請求(本来請求、遡及請求)、事後重症請求なども含め詳しく解説していきます。自分にはどの請求方法ができるか見ていきましょう。

障害認定日請求とは

まず「障害認定日」を知りましょう。障害認定日とは、病気やケガなどの症状で初めて診療を受けた日を初診日とし、それから1年6ヶ月が経過した日を指します。あらゆる病気やケガをカバーしてくれる障害年金ですから、この1年6ヶ月という期間を待ち、支給できるのかを判断されます。

また、1年6ヶ月経たずとも症状が固定した場合はその日が障害認定日となる特例もあります。もし初診日が20歳前の場合は、20歳になった時点で障害認定日と認められます。

そして、障害年金を請求する方法として、「障害認定日請求」があり、2つパターンがあります。一つ目は「本来請求」と呼ばれる基本的な請求方法です。2つ目は過去に遡って請求する「遡及請求」です。どのように違い、自分がどちらに当てはまるのか見ていきましょう。

本来の障害認定日請求

本来請求は、障害年金をもらう上で基本的な請求方法となります。障害となる症状が出て初めて診察をしてもらった日(初診日)から1年6ヶ月が経過した障害認定日から1年以内に請求することができます。

請求に必要な書類は、障害認定日から3ヶ月以内の診断書1枚です。

障害年金を請求する方法として、この障害認定日請求が1番スムーズに済む方法でしょう。しかし、障害年金のことを知らなかったなどの理由により1年という期限を過ぎてしまい、受けられないということが多々あります。

障害年金はさまざまな病気やケガで受給することができますが、それを知らない方は少なくありません。身体的な症状だけでなく、精神的な障害も対象となります。自分が受給できるのか確認してみましょう。

遡及する障害認定日請求

障害認定日から1年が過ぎてしまい、本来請求ができなくなってしまった場合、遡及請求という方法があります。遡及という言葉の通り、過去に遡って請求する方法です。

遡及請求するには、障害認定日に障害の状態であること、障害認定日から3ヶ月内の診断書があること、請求する時点で障害があることが条件となります。

何年も前のこととなると障害認定日がいつになるか判断できないことがありますが、症状や通院歴を思い返してみましょう。

そして、障害認定日から3ヶ月の診断書を用意します。その期間で診察を受けているか確認してみてください。診察を受けた病院にカルテが残っていれば同日付で診断書を書いてもらえます。

しかし、病院がなくなっていた、カルテがなく診断書が書いてもらえなかったなどの場合は遡及請求をすることができません。また、カルテがあっても診断書に必要な事項が書かれていないなどの理由により無効となることもあります。

現在も障害症状が続いているということも忘れてはいけません。請求する時点の症状が回復している場合、条件を満たさないことになります。本当ならば障害認定日に障害状態が出ていれば請求できることになっていますが、回復していれば請求できない可能性が高いです。

最後に遡及請求には5年という時効があります。例えば障害認定日が10年前にあり遡及請求した場合、5年分しか受給することができません。本来請求をしていれば受け取れていた3年数ヶ月分を受け取ることができないのです。ですから遡及請求はできるだけ早く準備することが大切なのです。

下記の記事で遡及請求について詳しく解説しておりますので、よろしければご覧ください。

ポイント障害年金で数百万円がもらえる遡及請求とは?

障害認定日請求ができない場合は事後重症請求

障害認定日請求には本来請求と遡及請求があると説明してきましたが、もう一つ方法があります。それが、「事後重症請求」です。

事後重症請求とは、障害認定日に定められた基準を満たさない障害状態にあったが、その後悪化し、障害等級に該当した場合にできる請求方法です。これが認められれば請求したその月に受給権が発生し、翌月から障害年金を受給することができます。

障害認定日に症状が軽いため受けられずその後症状が重くなった人ができる請求方法ですが、その他の場合にも請求することができます。

病院のカルテがなく診断書がない、診断書を書いてくれないなどの場合です。診断書があれば遡及請求できますが、それが出来なかった時に事後重症請求に切り替えることを考えましょう。

事後重症請求には、請求する時点での診断書が必要になります。その診断書を3ヶ月以内に提出します。

障害の中でも特に多いのが人工透析です。障害認定日には該当せず、数年数十年後に人工透析となることがほとんどなので、事後重症請求になります。

また、事後重症請求は65歳になる2日前までしか請求することができません。書類を準備するのは時間を有することが多いので注意が必要です。

下記の記事で事後重症請求について詳しく解説しておりますので、よろしければご覧ください。

きれいな病室事後重症請求とは【請求時の注意点までを解説します】

障害認定日請求するときの診断書

障害認定日請求をするとき、必要不可欠なのが診断書です。障害年金の請求は、話し合いが行われるわけではなく書類で判定されます。受診状況等証明書や病歴・就労状況等申立書などの書類もありますが、中でも医師が書く診断書が大切になってきます。

そして、その中でも重要なのが現症日です。現症は現在の症状という意味ではなく、請求したい方法によって過去の症状の場合もあるのです。自分がどういった請求方法でいつの診断書が必要なのかしっかり把握しておかなければなりません。

本来請求をする場合の診断書は、初診日から1年6ヶ月以降3ヶ月以内の現症日です。こちらはこの診断書が1枚あれば問題ありません。

遡及請求の診断書は、障害認定日以降3ヶ月以内の現症日1枚と請求日以前3ヶ月以内の現症日の診断書1枚、合計2枚の診断書が必要になります。

事後重症請求は、請求日以前3ヶ月以内現症日の診断書1枚が必要です。

このように請求方法によって必要な診断書が変わってくるので注意して準備していきましょう。

障害認定日を早められる特例について

ここまで障害認定日は初診から1年6ヶ月以降と説明してきましたが、障害認定日を早められる以下のような特例もあります。

  • 人工透析を受け始めてから3ヶ月を経過した場合
  • 人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合
  • 心臓ペースメーカー、ICD、人工弁、CRT、などを装着した場合
  • 人工肛門造設、尿路変更術などをし6ヶ月経過した場合
  • 肢体を切断離断した場合
  • 喉頭全摘出の場合
  • 在宅酸素療法を開始した場合
  • 脳血管障害6ヶ月経過し固定が認められた場合
  • 遷延性意識障害3ヶ月を経過した場合

などが特例として認められます。個人個人症状は異なるのでどの条件に当てはまるか専門家に依頼することをおすすめします。

障害認定日請求には、本来請求と遡及請求の方法があります。まずは、本来請求を目指し、できなければ遡及請求の準備をしましょう。

障害年金を受給することは複雑で難しく、請求できないのでは?と諦めてしまう方もいますが、障害年金請求は諦めない心が大切です。自分がどの条件を満たしているかじっくりと考えていきましょう。

障害認定日請求ができない場合は、事後重症請求に切り替えて早め早めに準備をしていくことが大切です。損をしてしまわないためにも速やかに請求する必要があります。自分で障害年金を請求することもできますが、受給開始が遅れてしまうことがよくあります。そうならないためにも専門家と一緒により良い方法を探していきましょう。