うつ病や精神疾患を患った場合、一時的に会社を休むことができる休職制度があります。
しかし、うつ病などで休職を検討しているものの、「どのように取得すればいいのか分からない」「休職期間の目安は?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、うつ病と診断されたときの休職期間の目安や、休職する前に確認するべきことなどについてご紹介します。
目次
うつ病が原因で休職する場合は、医師の診断書が必要
会社によって異なりますが、基本的にうつ病で会社を休職する場合は、医師の診断書が必要です。
休職の場合の診断書には、病名・治療内容に加えて「一定の期間の休養が必要」であるという旨が記載されています。
診断書は初診でも診断書を発行されることもありますが、休職が必要かどうかを判断するために、経過観察が必要な場合もあるため、初診では診断書がもらえないこともあります。
そのため、うつ病の症状を発症して休職を検討している方は、なるべく早めに精神科や心療内科で受診しましょう。
精神科や心療内科に通うことに抵抗がある場合は、お勤め先の産業医に相談すると休職の手続きもスムーズに進めることが可能です。
産業医とは、医学に関する専門的な立場から、労働者の健康管理にについて助言や指導を行う医師のことを言います。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者が在籍する事業所では、産業医を専任する義務があります。
休職を検討している方は、まずは精神科や心療内科の専門医、または産業医などに相談しましょう。
うつ病と診断されたときの休職期間の目安はどれくらい?
休職期間の目安は、うつ病の症状の度合いによって異なることが多いです。
うつ病の症状は、大きく分けて「軽度」「通常」「重度」の3段階に分けられます。
ここでは、3つの症状の度合い別に休職期間の目安を紹介します。
軽度のうつ病
軽度のうつ病の休職期間の目安は、1ヶ月程度です。
軽度のうつ病は、下記のような症状があります。
- 憂鬱な気分や物事への興味の喪失
- 食欲の異常
- 過眠や不眠
- 集中力がなくなる
- すぐに疲れる
- 心が落ち着かない
- 体がだるい
- 自分をせめてしまう
- 生きる気力がなくなる
上記の症状のうち、5つ以上が当てはまり、1日中、2週間以上続いている状態で、なんとなく休むことなく仕事ができている場合は、軽度のうつ病の可能性があります。
中度のうつ病
中度のうつ病の休職期間の目安は、一般的に3ヶ月程度です。
軽度のうつ病であげた症状の中で、合わせて6〜7つの症状が当てはまる場合、中度のうつ病の可能性があります。
中度のうつ病の場合、軽度のうつ病の状態よりもさらに心が疲弊しており、遅刻や早退が増える状態になる人もいます。
重度のうつ病
重度のうつ病の休職期間の目安は、1年またはそれ以上の期間が目安となります。
上記であげた症状のうち、8つ以上当てはまる場合、重度のうつ病の可能性が高いです。
重度のうつ病になると、早退や遅刻だけでなく欠勤を繰り返す状態になる人も少なくありません。
この状態になると、緊急性が高く、生命の危険が差し迫っていると言えるため、一刻も早く休養が必要です。適切な治療を受けるためにも、専門医の診断をすみやかに受けましょう。
うつ病で休職する前に確認するべきこと
最後に、うつ病で休職する前に確認するべきことをいくつかご紹介します。
就業規則の休職制度をチェック
休職制度は、会社の就業規則によって定められているため、休職をする場合は就業規則をチェックしましょう。
就業規則の休職制度についての項目は複数ありますが、中でも、
- 休職中の給与の支払いの有無
- 休職期間
といった項目は特に注意して確認してください。
この2つの項目は、正規か非正規社員かによって、条件が異なる場合があるため注意が必要です。
原則として、休職中は会社側に賃金を支払う義務はありませんが、就業規則で「休職中も給与を支払う」と定めている場合は、給与が支払われます。
また、休職できる期間は、会社の就業規則によって異なるため、休職する前にしっかりと確認しておきましょう。
休職中に受け取れる手当を確認する
給与支払いがない場合は、健康保険から傷病手当金を受け取れる可能性があります。
傷病手当金とは、一定の要件を満たすことで、給与の3分の2の金額を最大1年6ヶ月受け取ることができるものです。
傷病手当金を申請する場合、下記の4つの条件を満たす必要があります。
- 業務外のケガや病気の療養のための休業であること
- 療養のために仕事につくことができないこと
- ケガや病気によって(連続する3日間を含む)4日以上休んでいること
- 休職期間中、給与の支払いがないこと
休職期間中、給与の支給を一部のみ受け取っている場合は、傷病手当金から給与支給額を差し引いた金額を受け取ることが可能です。
より詳しい傷病手当については、全国健康保険協会を参考にしてください。
職場との電話やメールの連絡頻度を考える
会社によっては、休職期間中でも定期的な連絡をすることを就業規則で義務付けているところもあります。
一般的には、月に1回程度の頻度で連絡を求められることが多いです。
しかし、月に1回程度でも連絡をすることが難しい状態の場合は、2ヶ月に1回など、うつ病の症状に合わせて、連絡頻度を変えられるかどうか相談しておくといいでしょう。
また、連絡方法は電話やメールなどがありますが、負担がなるべく少ない方法を休職前に話し合っておくことがおすすめです。
労災の申請が可能か調べる
職場でのパワハラや過重労働によってうつ病を発症したときも労災として認められる可能性もあります。
労災として認定されると、「休業補償給付」を受け取ることが可能です。
「休業補償給付」とは、業務上の災害により、休業せざるを得なくなった場合に4日目から受け取れる給付金のことです。
休業補償給付は、「給付基礎日額の60%」に加えて、給付基礎日額の20%の「休業特別支給金」も支給されるため、合わせて給付基礎日額の80%が支給されます。
つまり、「休業補償給付」の支給額は、先述した「傷病手当金」よりも給付金額が高いです。
ただし、一般的にうつ病などの精神障害は労災認定は非常に難しいと言われています。
というのも、うつ病といった精神疾患は、私生活を含むさまざまな要因が絡み合って発症することが多く、必ずしも発症原因が仕事にあるとは明確にできないためです。
うつ病を労災として認められるためには、下記の条件を満たす必要があります。
- 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
- 認定基準の対象となる精神障害の発病おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や固定側要因により発病したとは認められないこと
うつ病での労災の申請を検討している方は、まずは担当の部署に確認してみましょう。
さいごに
今回は、うつ病と診断されたときの休職する場合の期間の目安や、休職する前に確認しておきたいことなどについてご紹介しました。
うつ病による休職期間の目安は、症状の度合いによって異なり、軽度のうつ病の場合1ヶ月、中度のうつ病の期間は3ヶ月、重度の場合は1年が目安です。
また、休職する場合は、今回紹介した確認事項をしっかりとチェックしましょう。
特に、給与の支払いについては、支払われないことが多いため、傷病手当について確認しておくことが大切です。
うつ病の症状で悩み休職を検討している方は、まずは医師の診察をなるべく早めに受けるようにしましょう。