更年期障害は障害年金の対象になる?対象外と考える理由を社労士が解説

「更年期障害がひどくて仕事を続けられない」
「倦怠感やめまいが強く、家事もできない」
「更年期障害でも障害年金をもらえる?」
「更年期障害からうつ病になった場合はどうなる?」

このような疑問を持って、障害年金について調べている方もいらっしゃると思います。

更年期障害は、人によって症状の程度に大きな差があります。

比較的軽い症状で更年期を過ごす方もいる一方で、強い倦怠感やめまい、ホットフラッシュ、不眠、気分の落ち込みなどによって仕事や日常生活に大きな支障が生じる方もいます。

症状が重ければ、

「これだけ日常生活に支障があるのだから、障害年金の対象になるのではないか」

と考えるのも自然なことだと思います。

しかし、当事務所では、更年期障害そのものについて障害年金の対象とは考えていません。

その理由は、障害年金という制度が対象としている「障害」の考え方と、更年期障害という病態の性質が異なるからです。

障害年金は、一時的な体調不良ではなく、長期にわたって一定以上の障害状態が続いていることを前提とする制度です。更年期障害は、更年期という一定期間に生じ、その後改善していくことが通常想定されるため、当事務所では更年期障害そのものを障害年金の対象とは考えていません。

そのため、「更年期障害」という診断だけで障害年金のご相談をいただいた場合には、当事務所では原則として受任していません。

ただし、更年期障害をきっかけとしてうつ病など別の病気を発症し、その病気による障害状態が長期間続いている場合には話が変わります。

その場合には、「更年期障害による障害年金」ではなく、発症した別の病気について障害年金の対象となるかを検討します。

この記事では、更年期障害を障害年金の対象とは考えない理由と、更年期をきっかけにうつ病など別の病気を発症した場合の障害年金について、障害年金専門の社会保険労務士が詳しく解説します。

目次

更年期障害とはどのようなもの?

女性の更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた約10年間を指します。

この時期には女性ホルモンの分泌量が大きく変化することによって、心身にさまざまな症状が現れることがあります。

更年期に現れる症状を「更年期症状」といい、その中でも症状が重く、日常生活に支障が生じている状態を「更年期障害」といいます。

更年期障害にはさまざまな症状がある

更年期障害の症状は人によって異なります。

代表的な症状には、

・ほてり、のぼせ
・発汗、ホットフラッシュ
・動悸
・めまい
・頭痛
・肩こり
・腰痛
・関節痛
・疲労感、倦怠感
・不眠
・イライラ
・不安感
・気分の落ち込み
・意欲低下
・集中力低下

などがあります。

症状が重い方の場合には、仕事を休まなければならなかったり、以前のように家事ができなくなったりすることもあります。

その意味では、更年期障害が決して「軽い病気」ということではありません。

実際に非常につらい症状を抱えている方もいます。

更年期障害がつらいことと障害年金の対象になることは別

ここで大切なのは、

「症状がつらいこと」と「障害年金の対象になること」は同じではない

ということです。

障害年金は、

「日常生活がつらければ支給される」
「仕事を休んでいれば支給される」

という制度ではありません。

病気やけがによって一定以上の障害状態が生じ、その障害が長期にわたって続いていることを前提として判断される制度です。

したがって、更年期障害によって現在非常につらい状態であったとしても、それだけで障害年金の対象になるとは考えません。

当事務所では更年期障害そのものは障害年金の対象とは考えていません

当事務所では、更年期障害という診断だけで障害年金を申請するご相談については、原則として受任していません。

その一番の理由は、更年期障害が「更年期」という一定の時期に現れる症状だからです

障害年金は長期間続く障害状態を対象とする制度

障害年金には「障害認定日」という考え方があります。

原則として、障害認定日は初診日から1年6か月を経過した日です。

なぜ病院を初めて受診した直後ではなく、原則として1年6か月という期間を置いて障害状態を見るのでしょうか。

病気になった直後や治療を始めたばかりの段階では、その後の治療によって回復する可能性があるからです。

一時的に仕事ができなかったり、日常生活に大きな制限があったりしても、その後治療によって改善すれば、障害年金が想定する長期的な障害状態とは異なります。

障害年金は、病気になったこと自体に対して支給されるものではありません。

治療を行ってもなお一定以上の障害状態が継続していることを前提として、その程度を障害認定基準に照らして判断する制度です。

更年期障害は更年期という一定期間に生じる

一方、更年期障害は、その名称のとおり「更年期」に生じるものです。

更年期そのものは永続するものではありません。

また、更年期障害には、ホルモン補充療法、漢方薬、症状に応じた薬物療法など、さまざまな治療があります。

治療によって症状が改善する方も多く、更年期を過ぎることで症状が改善していくことも通常想定されます。

この点が、長期間にわたって一定以上の障害状態が続くことを前提とする障害年金とは性質が異なります。

当事務所の考え方

そのため、当事務所では次のように考えています。

障害年金は、一時的な体調不良ではなく、長期にわたって一定以上の障害状態が続いていることを前提とする制度です。更年期障害は、更年期という一定期間に生じ、その後改善していくことが通常想定されるため、当事務所では更年期障害そのものを障害年金の対象とは考えていません。

症状が軽いから対象ではない、という意味ではありません。

更年期障害の中には、非常につらい症状が現れる方もいます。

それでも、障害年金という制度が対象としている障害の性質とは異なると考えています。

仕事ができないほど重い更年期障害でも同じ?

更年期障害によって仕事を続けることが難しくなり、休職や退職に至る方もいます。

すると、

「仕事を辞めなければならないほど重いのに、それでも障害年金の対象ではないの?」

と思う方もいるでしょう。

しかし、仕事ができないという事実だけで障害年金の対象になるわけではありません。

「働けない=障害年金」ではない

病気によって一時的に働けなくなることは、更年期障害以外にもあります。

手術を受けて数か月仕事を休むこともあります。

骨折によって長期間仕事ができないこともあります。

感染症などによって一定期間休職することもあります。

だからといって、それらがすべて障害年金の対象になるわけではありません。

障害年金では、現在仕事ができるかどうかだけではなく、障害の状態が今後も長期間継続するものなのかという点が重要です。

休職が長いことだけでも判断できない

同様に、

「半年間休職している」
「1年間仕事へ戻れていない」

という期間だけで障害年金の対象になるわけでもありません。

休職期間は会社の就業規則などに基づいて決められるものです。

障害年金の障害認定とは別の制度です。

更年期障害によって長期間休職していたとしても、更年期障害自体が一定期間に生じ、治療や時間の経過によって改善することが通常想定されるという点は変わりません。

更年期障害の治療をしてもなかなか改善しない場合は?

「治療をしているけれど、何年も症状が続いています」

という方もいるかもしれません。

このような場合でも、当事務所では「更年期障害が重いから障害年金を申請しよう」とは考えません。

むしろ確認したいのは、

現在の症状が本当に更年期障害だけによるものなのか

という点です。

更年期障害以外の病気が隠れていることもある

更年期には、

・疲れやすい
・めまいがする
・動悸がする
・関節が痛い
・眠れない
・気分が落ち込む
・集中できない

など、非常に幅広い症状が現れます。

しかし、これらの症状は更年期障害だけにみられるものではありません。

別の身体疾患や精神疾患によって同じような症状が起きることもあります。

症状が長期間続いているのであれば、

「更年期だから仕方がない」

と自己判断せず、必要な検査や診察を受けることが大切です。

別の病気が診断された場合には話が変わる

その結果、別の病気が診断されたのであれば、障害年金についてはその病気を基準として考えることになります。

たとえば、

「更年期障害だと思っていたが、別の神経疾患が見つかった」
「気分の落ち込みが続き、精神科を受診したところうつ病と診断された」

という場合です。

この場合には、

「更年期障害が障害年金の対象になるか」

ではなく、

新たに診断された病気による障害状態が、障害年金の認定基準に該当するか

を確認します。

更年期障害からうつ病を発症した場合は障害年金の対象になり得る

ここは今回の記事で特に重要なところです。

更年期障害そのものについては、当事務所では障害年金の対象とは考えていません。

しかし、更年期障害をきっかけとして別の病気を発症した場合は別です。

代表的なものとして、うつ病があります。

更年期の気分の落ち込みとうつ病は同じではない

更年期障害では、

・気分が落ち込む
・イライラする
・不安になる
・眠れない
・意欲が出ない

といった精神症状が現れることがあります。

一般的にこれを「更年期うつ」と呼ぶこともあります。

しかし、更年期に気分が落ち込んでいることと、医学的に「うつ病」と診断されていることは同じではありません

障害年金では本人が、

「自分は更年期うつだから、うつ病として申請したい」

と決めることはできません。

うつ病かどうかを診断するのは医師です。

うつ病と診断され、その状態が長期化している場合は別

たとえば、更年期障害による体調不良が続き、仕事や家庭生活にも支障が出るようになった。

その後、

・一日中気分が落ち込む
・何をしても楽しめない
・強い意欲低下が続く
・食事や入浴もできなくなる
・ほとんど外出できなくなる

といった状態になり、精神科を受診した結果、うつ病と診断されたとします。

治療を続けても症状が改善せず、うつ病による日常生活上の制限が長期間続いているのであれば、障害年金の対象となる可能性があります。

ただし、この場合に障害年金の対象として考えるのは「更年期障害」ではありません。

うつ病です。

「更年期障害が障害年金の対象に変わった」という意味ではない

ここは混同しないようにしてください。

更年期障害が長引いたから障害年金の対象になった、ということではありません。

更年期という時期を背景として、別に障害年金の認定対象となり得るうつ病を発症したということです。

したがって、障害年金を検討する場合には、うつ病について、

・初診日
・保険料納付要件
・障害認定日
・現在の障害状態

などを確認していきます。

更年期障害から別の身体疾患が判明した場合も同じ

うつ病だけではありません。

更年期障害だと思っていた症状を詳しく調べた結果、別の身体疾患が見つかることもあります。

その病気が障害年金の認定対象となり、長期間にわたって一定以上の障害状態が続いているのであれば、障害年金を検討できる場合があります。

重要なのは現在の診断名と障害状態

障害年金では、

「最初は更年期障害だと思っていた」

ということよりも、実際にはどのような病気と診断され、その病気によって現在どの程度の障害が生じているのかが重要です。

たとえば、別の病気によって、

・歩行が著しく制限されている
・手足が十分に動かない
・日常生活に介助が必要
・長期間にわたり労働が著しく制限されている

などの状態になっている場合には、その病気について障害認定基準を確認します。

更年期障害そのものを障害年金の対象にするのではなく、別に診断された病気について検討するということです。

「更年期障害+うつ病」ならどう考える?

実際には、更年期障害の治療を続けながら、精神科でうつ病の治療も受けている方がいます。

この場合には、

「更年期障害とうつ病の両方があるから障害年金」

と考えるのではありません。

障害年金ではうつ病による障害状態を確認する

精神疾患による障害年金では、

・現在の症状
・治療経過
・日常生活能力
・家族などから受けている援助
・就労状況

などを総合的に確認します。

たとえば、

・食事を自分で準備できない
・入浴が何日もできない
・服薬を家族に管理してもらっている
・一人で外出できない
・家事をほとんど家族に任せている
・仕事を続けることができない

などの状態があるかどうかを確認します。

これは、更年期障害の症状がどれほど強いかを見るのではなく、うつ病による精神の障害としてどの程度の日常生活上の制限があるのかを確認するものです。

うつ病と診断されただけでも足りない

逆に、

「更年期障害では対象にならないなら、うつ病の診断がつけば障害年金をもらえる」

ということでもありません。

うつ病は障害年金の認定対象となる病気ですが、うつ病と診断されているだけでは障害年金は支給されません。

治療を行ってもなお症状が続き、日常生活や仕事に一定以上の制限が生じている必要があります。

ここでも障害年金の基本である、

長期間にわたって一定以上の障害状態が続いているか

という点が重要になります。

更年期障害からうつ病になった場合の初診日は?

更年期障害で婦人科へ通院していた方が、その後うつ病を発症した場合には、障害年金の「初診日」の確認が必要になります。

初診日は、障害年金の種類や保険料納付要件にも関係する重要な日です。

精神科を初めて受診した日とは限らない

たとえば、

48歳 更年期症状で婦人科を受診
49歳 婦人科で気分の落ち込みについても相談
50歳 精神症状が悪化
50歳 精神科を受診してうつ病と診断

という経過だったとします。

この場合に、

「精神科を初めて受診した50歳が必ず初診日」

と単純に決めることはできません。

婦人科で精神症状についてどのような診療を受けていたのか、後に診断されたうつ病との関係などを確認する必要があります。

初診日は本人が選ぶことはできない

障害年金では初診日にどの年金制度に加入していたかによって、障害基礎年金になるか障害厚生年金になるかが変わることがあります。

そのため、

「この時期なら厚生年金だったから、この日を初診日にしたい」

と考える方がいるかもしれません。

しかし、初診日は本人が都合のよい日を選ぶものではありません。

実際の受診歴と医学的な経過に基づいて確認します。

「更年期障害で障害年金」という情報を見たときの注意点

インターネットで検索すると、

「更年期障害でも障害年金を受給できる可能性があります」

といった情報を目にすることがあるかもしれません。

しかし、このような情報を見るときには注意が必要です。

実際には別の病気で受給している場合がある

「更年期で障害年金を受給した」

という方でも、よく確認すると、

・うつ病
・双極性障害
・別の身体疾患

など、障害年金の認定対象となる別の病気によって受給している場合があります。

その場合は「更年期障害で受給した」のではありません。

更年期の時期に発症した別の病気によって障害年金を受給しているということです。

理論上の可能性と実務上の判断は分ける

障害年金の障害認定基準には、さまざまな疾患に対応するための包括的な認定の考え方があります。

しかし、

「理論上どのような病名でも検討の余地がゼロとは言い切れない」

という話と、

「実際に障害年金の申請対象として考えるべきか」

という話は別です。

当事務所では、更年期障害という疾患の性質を踏まえ、更年期障害そのものについて障害年金の申請をお勧めしていません。

更年期障害だけの場合、当事務所では受任していません

当事務所は障害年金を専門としているため、さまざまな病気についてご相談をいただきます。

しかし、すべての病気について、

「とりあえず申請してみましょう」

という対応をしているわけではありません。

受給できる可能性だけでなく制度の趣旨も考える

障害年金は、申請すれば必ず受給できるものではありません。

診断書を取得するにも費用がかかります。

過去の病院から初診日の証明を取得したり、さまざまな書類を準備したりする必要もあります。

本人や家族にも大きな負担がかかります。

そのため当事務所では、

「わずかでも理論上可能性があれば、とりあえず申請する」

という考え方はしていません。

障害年金という制度の趣旨や認定基準を踏まえ、現実的に障害年金の対象として考えるべき状態なのかを確認しています。

更年期障害だけであれば受任しない

更年期障害という診断のみで、ほかに障害年金の対象となる傷病がない場合には、当事務所では障害年金の対象とは考えず、原則として受任していません。

これは、

「症状が軽い」
「本人が大変ではない」

と判断しているからではありません。

更年期障害が非常につらい方がいることは承知しています。

それでも、

一時的な体調不良ではなく、長期にわたる障害状態を対象とする障害年金制度の趣旨には、更年期障害そのものはなじまない

と考えているためです。

更年期障害で障害年金を調べている方に確認してほしいこと

更年期障害の症状が非常に重く、障害年金について検索している方には、まず次のことを確認していただきたいと思います。

現在の診断は更年期障害だけか

まず、現在医師からどのような診断を受けているのか確認してください。

婦人科から更年期障害とだけ診断されているのであれば、当事務所では原則として障害年金の対象とは考えません。

一方、精神科などでうつ病など別の病気と診断されている場合には、その病気について障害年金の対象となるかを検討できることがあります。

長期間症状が続いているなら別の病気がないか確認する

更年期障害の治療を続けても非常に重い症状が何年も続いているのであれば、障害年金の申請を先に考えるのではなく、まず現在の症状について医師に相談することをおすすめします。

別の病気が原因となっている可能性がないか確認するためです。

障害年金は診断の代わりになる制度ではありません。

まず適切な診断と治療があり、その結果として長期にわたり障害状態が残っている場合に障害年金を検討します。

うつ病など別の病気がある場合はその病気について考える

別の病気が診断されている場合には、

「更年期障害でも障害年金がもらえるか」

という考え方をいったん離れます。

その病気について、

・いつ初めて受診したのか
・どのような治療を受けているのか
・どのくらい長く症状が続いているのか
・日常生活にどの程度の制限があるのか
・仕事にどの程度影響しているのか

を確認し、障害年金の認定基準に照らして検討します。

更年期障害と障害年金についてよくある質問

更年期障害だけで障害年金を申請できますか?

当事務所では、更年期障害そのものについては障害年金の対象とは考えていません。

更年期障害は更年期という一定期間に現れるものであり、治療や時間の経過によって改善していくことが通常想定されるためです。

長期にわたり一定以上の障害状態が続くことを前提とする障害年金とは性質が異なると考えています。

更年期障害で仕事を辞めました。それでも対象外ですか?

退職したという事実だけでは障害年金の対象にはなりません。

仕事を辞めるほどつらい症状があることと、障害年金制度上の障害に該当することは別の問題です。

更年期障害という診断だけであれば、当事務所では障害年金の対象とは考えません。

更年期障害が5年以上続いています。それでも障害年金は無理ですか?

症状が長期間続いているのであれば、まず現在の症状が本当に更年期障害だけによるものなのか、主治医に相談することをおすすめします。

その結果、別の身体疾患や精神疾患が診断された場合には、その病気について障害年金の対象となるかを検討します。

更年期障害からうつ病になりました。障害年金の対象になりますか?

うつ病による障害状態が一定以上で、長期間続いている場合には障害年金の対象となる可能性があります。

ただし、この場合に対象として検討するのは更年期障害ではなく「うつ病」です。

うつ病の初診日、保険料納付要件、障害認定日、現在の日常生活能力などを確認して判断します。

「更年期うつ」と診断されています。障害年金を申請できますか?

「更年期うつ」という言葉だけでは判断できません。

医師から正式にどのような診断を受けているのかを確認する必要があります。

更年期障害に伴う気分の落ち込みなのか、独立したうつ病として診断されているのかによって考え方が異なります。

男性更年期障害の場合はどうですか?

男性更年期障害についても基本的な考え方は同じです。

男性更年期障害そのものについて、当事務所では障害年金の対象とは考えていません。

ただし、その後うつ病など別の病気を発症し、その病気による障害状態が長期間続いている場合には、その傷病について障害年金を検討できる可能性があります。

障害年金の対象かどうかは「今つらいか」だけで判断しない

障害年金の相談をしていると、

「これだけ大変なのだから対象になるはず」

と思う方もいらっしゃいます。

もちろん、その方が大変な生活を送っているという事実を否定するものではありません。

しかし、障害年金は生活の大変さそのものに対して支給される制度ではありません。

病気やけがによって長期にわたり一定以上の障害状態が生じている場合に、障害認定基準に基づいて支給される制度です。

一時的な症状と長期に続く障害を分けて考える

たとえば、一時的に非常に重い症状があったとしても、治療によって回復することが通常見込まれるのであれば、障害年金が対象としている長期的な「障害」とは考え方が異なります。

反対に、症状自体は外から分かりにくくても、治療を長期間続けても改善せず、日常生活に重大な制限が続いている病気もあります。

障害年金では、この違いを見る必要があります。

更年期障害から別の病気へ移行した場合には改めて判断する

そして、更年期障害の経過中に別の病気を発症した場合には、そこで改めて考えます。

「最初が更年期障害だったから、後の病気も障害年金の対象にならない」

ということではありません。

うつ病など新たな傷病が診断され、その病気による障害状態が長期間続いているのであれば、その時点で障害年金の可能性を検討します。

更年期障害そのものと、その後に発症した別の病気を混同しないことが大切です。

さいごに

更年期障害は、症状が重い方にとって非常につらいものです。

ほてりや発汗だけでなく、強い倦怠感、めまい、頭痛、不眠、関節痛、気分の落ち込みなどが重なり、仕事や家事を続けることが難しくなる方もいます。

しかし、

「症状が重いこと」と「障害年金の対象になること」は別の問題です。

障害年金は、病気になったことや、一時的に仕事ができなくなったことに対して支給される制度ではありません。

長期間にわたり一定以上の障害状態が続いていることを前提として、その障害の程度を認定する制度です。

そのため当事務所では、

「障害年金は、一時的な体調不良ではなく、長期にわたって一定以上の障害状態が続いていることを前提とする制度です。更年期障害は、更年期という一定期間に生じ、その後改善していくことが通常想定されるため、当事務所では更年期障害そのものを障害年金の対象とは考えていません。」

という立場を取っています。

したがって、更年期障害という診断だけで障害年金を希望される場合には、当事務所では原則として受任していません。

ただし、更年期障害をきっかけに別の病気を発症した場合には話が変わります。

たとえば、その後うつ病を発症し、精神科で治療を続けても症状が改善せず、日常生活に大きな制限が長期間続いているのであれば、うつ病による障害年金を検討できる可能性があります。

また、更年期障害だと思っていた症状について検査を受けた結果、別の身体疾患が見つかり、その病気によって長期にわたる障害状態が残った場合も同様です。

その場合に障害年金の対象として考えるのは、「更年期障害」ではありません。

新たに診断された別の傷病です。

更年期障害と診断され、現在つらい症状を抱えている方は、障害年金を申請する方法を探すことよりも、まず適切な治療を受けることが大切です。

そして治療を続ける中で別の病気が診断され、その病気による障害状態が長期にわたって続くようになった場合には、その時点で改めて障害年金の対象となるかを検討するとよいでしょう。

「更年期障害だから障害年金」ではなく、

現在診断されている病気は何なのか。
その病気による障害状態は長期にわたって続いているのか。

障害年金では、この二つを分けて考えることが大切です。