HIVで障害年金はもらえる?受給条件・認定基準・申請のポイントを社労士が解説

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染し、治療を続けている方のなかには、

「HIVでも障害年金をもらえるの?」
「HIV陽性というだけで対象になる?」
「仕事をしていても障害年金を申請できる?」
「CD4の数値が低ければ障害年金を受給できる?」

と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

HIV感染症は、障害年金の対象となる病気のひとつです。

ただし、HIVに感染しているという事実だけで障害年金が支給されるわけではありません

HIV感染症による障害年金では、日和見感染症などの続発症の有無や程度、CD4値などの検査結果、治療の状況、副作用、さらに日常生活や仕事がどの程度制限されているかなどを総合的に審査します。

近年では治療の進歩により、HIVに感染していても長期間安定した生活を送ることのできる方が増えています。

一方で、治療を続けていても強い倦怠感や体調不良、感染症の繰り返し、薬の副作用などによって日常生活や仕事に大きな支障が生じる方もいます。

障害年金では、このような「実際の生活への影響」が重要です。

この記事では、HIV感染症で障害年金を申請する場合の認定基準や等級の考え方、診断書で重要となるポイントなどについて、障害年金専門の社会保険労務士が詳しく解説します。

目次

HIV感染症でも障害年金の対象になる

HIVとは「ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)」のことで、感染すると免疫を担う細胞が徐々に減少し、免疫機能が低下していきます。

HIV感染症そのものも、障害年金の対象となり得る疾患です。

厚生労働省は、HIV感染症による障害について、HIV感染症そのものや続発症によって生じる労働・日常生活上の障害だけでなく、治療の副作用などによって生じる障害についても認定の対象になるとしています。

つまり、

「HIVそのものの症状」
「HIVによる合併症」
「治療に伴う副作用」

などを含め、その結果としてどの程度生活や仕事に支障が生じているのかが審査されます。

HIV陽性というだけでは障害年金は受給できない

ここは特に重要な点です。

HIVへの感染が確認されたからといって、それだけで障害年金を受給できるわけではありません

たとえば、治療によってウイルス量が十分に抑えられており、体調も安定していて、日常生活や仕事にほとんど制限がない場合には、障害年金の等級に該当しない可能性があります。

一方、

・日和見感染症を繰り返している
・強い倦怠感が続いている
・体重減少が著しい
・治療薬の副作用が強い
・頻繁な通院や治療が必要になっている
・体調が安定せず仕事を継続できない
・身の回りのことにも援助が必要

などの状態であれば、障害年金の対象となる可能性があります。

障害年金では、「HIVという病名があること」ではなく、HIVによって生じている障害の程度が問われます。

HIVとAIDSは同じではない

HIVについて障害年金を調べている方のなかには、「HIV」と「AIDS(エイズ)」を同じものだと思っている方もいるかもしれません。

しかし、HIVとAIDSは同じ意味ではありません。

HIVはウイルスの名前であり、HIVに感染している状態を「HIV感染症」といいます。

HIV感染後、免疫機能が低下し、一定の指標疾患を発症した場合にAIDSと診断されます。

そのため、

「HIV感染=すぐにAIDS」

というわけではありません。

また、障害年金についても、「AIDSを発症していなければ絶対に受給できない」という制度ではありません。

AIDSを発症していなくても障害年金の対象になることがある

厚生労働省のHIV感染症に関する障害認定では、3級の例として、AIDS指標疾患の有無にかかわらず、免疫機能低下に関連する症状が持続または反復し、治療や再発防止療法が必要で、労働が制限されている状態が示されています。

つまり、AIDSの診断を受けていない場合でも、

・免疫機能の低下に伴う症状が続いている
・感染症などを繰り返している
・そのため継続的な治療が必要
・仕事に制限が生じている

といった状況であれば、障害年金の対象になる可能性があります。

「AIDSになっていないから障害年金は無理」と自己判断する必要はありません。

HIVによる障害年金の認定基準

HIV感染症による障害は、基本的には障害認定基準の「その他の疾患による障害」をもとに認定されます。

その他の疾患による障害では、全身状態や病状の経過、予後、具体的な日常生活状況などを考慮して総合的に障害の程度を判断します。

さらにHIV感染症については、病気の特性に合わせた認定上の留意事項が定められています。

HIVの障害年金1級の目安

1級の例としては、

回復が困難なHIV感染症やその合併症によって生活が室内に制限されている、または日常生活に全面的な介助が必要な状態

が示されています。

障害年金1級は、HIV感染症に限らず非常に重い障害状態です。

たとえば、

・一日の大部分をベッドで過ごしている
・一人で外出することができない
・食事や着替えなどにも介助が必要
・身の回りのことを自分でほとんどできない

といった状態が目安となります。

HIVの障害年金2級の目安

2級については、

AIDSの指標疾患や免疫不全による疾患・症状が発生している、またはその既往があり、治療や再発防止療法が必要で、日常生活が著しく制限されている状態

が例として示されています。

たとえば、

・日和見感染症などによる治療を繰り返している
・著しい倦怠感があり日常的に休息が必要
・外出できる日が限られている
・家事を一人で行うことが困難
・家族の援助がなければ生活が成り立たない

といった状況が考えられます。

ただし、病名や合併症だけで2級になるわけではなく、実際の日常生活状況を含めて総合的に判断されます。

HIVの障害年金3級の目安

3級については、

AIDS指標疾患の有無にかかわらず、免疫機能低下に関連する症状が持続または繰り返し、そのため治療または再発防止療法が必要で、労働が制限されている状態

が例として示されています。

たとえば、

・体調不良による欠勤が多い
・フルタイム勤務が難しい
・肉体労働ができなくなった
・勤務時間を短縮している
・仕事内容を軽減してもらっている

といった状態です。

なお、障害基礎年金には3級がありません。

3級があるのは障害厚生年金です。

そのため、初診日に国民年金に加入していた方の場合には、少なくとも2級以上に該当する障害状態である必要があります。

HIVの障害年金ではCD4値だけで等級は決まらない

HIV感染症では「CD4値」という言葉を聞くことが多いと思います。

CD4陽性Tリンパ球は、免疫機能に重要な役割を果たす細胞です。

HIVが増殖するとCD4陽性Tリンパ球が減少し、免疫機能が低下します。

そのためCD4値は、HIV感染症の状態を確認する重要な検査値のひとつです。

障害年金の審査でもCD4値は確認されます。

しかし、

「CD4値が○○なら2級」

というように、数値だけで機械的に障害等級が決まるわけではありません。

厚生労働省も、HIV感染症では数値所見だけで区切るのではなく、労働や日常生活への障害を中心として総合的に認定する必要があるとしています。

CD4値以外にもさまざまな項目が確認される

HIV感染症の障害認定では、次のような項目が考慮されます。

・疲労感や倦怠感
・原因不明の発熱
・体重減少
・消化器症状
・日和見感染症の種類や重症度
・悪性腫瘍の有無
・CD4値
・HIV-RNA量
・白血球数
・ヘモグロビン値
・血小板数
・治療薬
・服薬状況
・薬の副作用

そして、これらを日常生活や就労状況とあわせて総合的に判断します

この点がHIVによる障害年金の大きな特徴です。

HIVの治療による副作用も障害年金の審査対象になる

HIV感染症では、病気そのものだけでなく、治療による影響も重要です。

HIVの治療では、抗HIV薬を継続して服用します。

現在では治療法が大きく進歩していますが、薬の種類やその人の体質などによって、副作用が問題となる場合があります。

障害年金では、治療の結果として生じた労働や日常生活上の障害も、HIV感染症による障害の範囲に含めて認定するとされています。

検査結果が安定していても生活への影響を確認する

治療によってウイルス量が抑えられていると、

「検査結果が良いから障害年金は無理なのでは?」

と思われることがあります。

しかし、検査数値だけを見るわけではありません。

たとえば、

・薬を飲むと強い倦怠感が出る
・吐き気や下痢などの症状が続く
・体調の変動が大きい
・治療のため頻繁な通院が必要
・治療後は休まなければならない
・副作用によって仕事を続けることが難しい

などの問題があれば、その状況も障害の程度を判断する材料になります。

大切なのは、治療をしているという事実だけでなく、その治療を続けながらどのような生活を送っているかです。

HIVで働いていても障害年金を申請できる

「働いているから障害年金はもらえない」と思っている方は少なくありません。

しかし、障害年金は「仕事をしてはいけない制度」ではありません。

HIV感染症の場合も、働いているという理由だけで障害年金を申請できなくなるわけではありません。

ただし、HIVでは日常生活や労働への制限を含めて障害の程度を判断するため、就労状況は重要です。

どのような状態で働いているのかが重要

同じ「就労中」であっても、実際の働き方は大きく異なります。

たとえば、

・週5日フルタイムで問題なく勤務している
・体調に合わせて勤務日数を減らしている
・時短勤務をしている
・欠勤や早退を頻繁に繰り返している
・肉体労働から事務職へ変更してもらった
・負担の軽い業務だけを担当している
・在宅勤務を認めてもらっている

などがあります。

障害年金では、「会社に在籍しているか」だけを見るのではなく、障害によって仕事がどの程度制限されているのかが重要です。

特に障害厚生年金3級では、「労働が制限される程度」ということが認定の重要な要素になります。

無理をして働いている場合もある

HIV感染症に限りませんが、

「生活のために働かざるを得ない」

という方もいます。

仕事をしているからといって、その人の日常生活や体調に問題がないとは限りません。

たとえば、勤務日は仕事だけで精一杯となり、

・帰宅すると何もできず寝てしまう
・休日はほとんど寝ている
・家事を家族に任せている
・仕事以外の外出ができない

というケースもあります。

そのような場合には、勤務時間だけではなく、仕事を続けるために日常生活がどのような状態になっているのかも確認する必要があります。

HIVの障害年金で使用する診断書

HIV感染症による障害年金では、基本的に内部障害を記載する診断書を使用します。

診断書には、

・現在の症状
・治療内容
・検査結果
・一般状態
・日常生活への影響
・就労状況

などが記載されます。

障害年金の審査は基本的に書類によって行われるため、診断書は非常に重要です。

一般状態区分表を確認する

内部疾患の診断書には「一般状態区分表」があります。

一般状態区分表は、おおむね次のような状態に区分されています。

症状がなく、社会活動ができ、特に制限なく発病前と同じように生活できる状態。

軽い症状があり肉体労働は制限されるものの、歩行や軽労働、デスクワークなどはできる状態。

歩行や身の回りのことはできるものの、時には介助が必要で、軽労働はできないが日中の50%以上は起きて生活している状態。

身の回りのある程度のことはできるものの、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は横になっており、一人で屋外へ出ることがほぼできない状態。

身の回りのこともできず常に介助が必要で、一日中ベッドで過ごし、活動範囲がおおむねベッド周辺に限られている状態。

現在の障害認定基準でも、この一般状態区分表は内部疾患の障害の程度を判断する際の参考として使われています。

日常生活の実態を医師に伝えておく

障害年金の診断書を書くのは医師ですが、医師が患者の日常生活をすべて知っているとは限りません。

診察室では数分から十数分程度の診察ということもあります。

そのため、

「家では一日の半分以上横になっている」
「買い物に行くだけでも翌日は寝込んでしまう」
「家事はほとんど家族にしてもらっている」
「仕事は週2日が限界」
「体調不良による欠勤が多い」

といった具体的な生活状況を、普段の診察から伝えておくことが大切です。

HIVの初診日はどこになる?

障害年金の申請では「初診日」が非常に重要です。

初診日とは、障害の原因となった病気について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。

HIV感染症の場合、

「HIV陽性と診断された日が初診日なのか」
「感染した日が初診日なのか」

と迷うことがあります。

原則として、実際の感染日ではなく、その傷病について初めて医療機関を受診した日を確認します。

感染した時期と初診日は同じではない

HIVは、感染した日を正確に特定できないこともあります。

しかし、障害年金における初診日は「感染した日」を探す制度ではありません。

障害年金では、初診日にどの年金制度に加入していたのかによって、

・障害基礎年金
・障害厚生年金

のどちらを請求できるかが変わります。

また、保険料納付要件の判定にも初診日が関係します。

そのため、過去の受診歴が複数ある場合には、初診日の確認を慎重に行う必要があります。

HIVの障害年金では日常生活の状態を具体的に整理する

HIV感染症の障害認定では、検査値だけでなく、日常生活への影響を重視して総合的に判断します。

そのため、障害年金を申請するときには、

「体調が悪い」
「疲れやすい」

というだけでなく、それによって生活が具体的にどのように制限されているのかを整理することが大切です。

倦怠感は生活への影響まで説明する

HIV感染症では、疲労感や倦怠感が問題となることがあります。

しかし「倦怠感があります」だけでは、障害の程度が具体的に伝わりません。

たとえば、

・起きていられるのは1日4時間程度
・午前中に外出すると午後は寝てしまう
・掃除をした翌日はほとんど動けない
・スーパーまで歩くだけで休憩が必要
・週5日の勤務を続けられず週3日に減らした

といった形で、日常生活への影響を具体的に考えます。

家族から受けている援助も確認する

一見すると自立して生活しているように見えても、実際には家族から多くの援助を受けていることがあります。

たとえば、

・食事を作ってもらっている
・掃除や洗濯をしてもらっている
・買い物を代わりにしてもらっている
・通院に付き添ってもらっている
・体調が悪いときに身の回りの世話をしてもらっている

などです。

こうした援助があることで生活できている場合には、「できている」という結果だけでなく、どの程度援助を必要としているのかを確認することが大切です。

HIVによる合併症や別の障害がある場合

HIV感染症では、免疫機能の低下によってさまざまな続発症が起こることがあります。

さらに、その続発症や治療の影響によって、別の障害が残ることもあります。

厚生労働省のHIV感染症に関する障害認定では、視機能障害、四肢麻痺、精神・神経障害などの不可逆的な障害について、原疾患との併合認定によって認定する取扱いが示されています。

HIV以外の障害も含めて確認する

たとえば、

・視力や視野に障害が残った
・四肢に麻痺が残った
・脳や神経に障害が生じた
・精神・神経症状が残った

などの場合です。

このようなケースでは、HIV感染症そのものによる全身状態だけでなく、残った障害について別の認定基準で評価できる場合があります。

障害年金の申請では、「HIVについてだけ診断書を書いてもらえばよい」と考えず、現在残っている障害を全体的に確認することが重要です。

身体障害者手帳と障害年金は別の制度

HIV感染症では、免疫機能障害として身体障害者手帳の対象となる場合があります。

そのため、

「身体障害者手帳○級なら障害年金も同じ等級になる」

と思われる方もいます。

しかし、身体障害者手帳と障害年金は別の制度です。

認定基準も目的も異なります。

そのため、

「身体障害者手帳1級だから障害年金も1級」
「身体障害者手帳を持っていないから障害年金は申請できない」

という関係にはなりません。

厚生労働省のHIVに関する障害認定の資料でも、身体障害者福祉法による認定と障害年金では評価方法や制度目的が異なることが明示されています

障害者手帳を持っていなくても障害年金は申請できる

障害年金を申請するために、障害者手帳を取得している必要はありません。

逆に、障害者手帳を持っているだけで障害年金を受給できるわけでもありません。

障害年金では、障害年金独自の認定基準に基づいて障害の程度が審査されます。

HIV感染症の場合も、

・続発症
・検査所見
・治療経過
・薬の副作用
・日常生活
・就労状況

などから総合的に判断されます。

HIVによる障害年金を申請するときのポイント

HIV感染症による障害年金は、ひとつの検査数値や病名だけで判断することが難しい疾患です。

そのため、申請にあたっては複数の情報を整理する必要があります。

検査結果だけで判断しない

まず重要なのは、CD4値などの検査結果だけを見て、

「数値がそれほど悪くないから無理」
「この数値なら必ず2級」

と判断しないことです。

HIV感染症では、検査結果も重要ですが、それだけで障害等級を決めるものではありません。

治療、症状、続発症、生活状況、就労状況などを総合的に評価します。

症状が繰り返している場合は経過を整理する

HIVでは、常に同じ症状が続くとは限りません。

体調の良い時期と悪い時期を繰り返すこともあります。

その場合、

・いつ頃から症状があるのか
・どの程度の頻度で起きるのか
・一度症状が出ると何日続くのか
・その間仕事や家事はできるのか
・入院や休職をしたことがあるか

など、一定期間の経過を整理すると実際の障害状態が伝わりやすくなります。

診断書と病歴・就労状況等申立書の整合性も大切

障害年金では、医師の診断書とともに「病歴・就労状況等申立書」を提出します。

HIV感染症の場合も、

・診断を受けた経緯
・治療開始までの経過
・現在までの治療状況
・続発症
・入院歴
・仕事の状況
・日常生活への影響

などを整理します。

診断書には「日常生活が著しく制限されている」と記載されているのに、申立書では「週5日勤務し、家事もすべて行っている」など、内容が大きく食い違えば、障害状態が正確に伝わりません。

診断書と申立書は別々に作る書類ですが、同じ障害状態を説明する資料として整合性を確認することが重要です。

HIVの障害年金に関するよくある質問

HIVに感染しただけで障害年金を受給できますか?

HIV陽性というだけで障害年金が支給されるわけではありません。

続発症、免疫機能の低下、検査所見、治療状況、副作用などとともに、日常生活や仕事にどの程度制限が生じているかを総合的に審査します。

治療によって状態が安定し、日常生活や仕事にほとんど制限がなければ、障害年金の等級には該当しない可能性があります。

AIDSを発症していなければ受給できませんか?

AIDSを発症していなくても障害年金の対象となる可能性があります。

特に障害厚生年金3級では、AIDS指標疾患の有無にかかわらず、免疫機能低下に関連した症状が持続または繰り返し、治療が必要で労働が制限されている場合が例示されています。

CD4値が200未満なら必ず障害年金を受給できますか?

必ず受給できるわけではありません。

CD4値は重要な検査項目ですが、数値だけで障害等級は決まりません。

厚生労働省の認定上の留意事項では、CD4値が200未満の状態では強い疲労感や倦怠感がみられたり、日和見感染症などの発症リスクが高まったりすることに留意するとされていますが、最終的には日常生活や労働への影響などを含めて総合的に認定します。

HIVで仕事をしていても障害年金を受給できますか?

仕事をしていることだけを理由として、障害年金が受給できなくなるわけではありません。

ただしHIVでは労働能力や日常生活への制限も審査されるため、就労状況は重要です。

勤務時間、仕事内容、欠勤状況、会社から受けている配慮などを含めて確認する必要があります。

障害者手帳と障害年金は同時にもらえますか?

障害者手帳と障害年金は別の制度なので、それぞれの要件を満たせば併用できます。

また、障害者手帳を持っていなくても障害年金を申請することは可能です。

手帳の等級と障害年金の等級が同じになるとも限りません。

HIVの障害年金では「検査値+実際の生活」を見ることが重要

HIV感染症による障害年金の認定で特徴的なのは、ひとつの数値だけで判断しないという点です。

もちろん、

・CD4値
・HIV-RNA量
・血液検査
・日和見感染症の有無

などは重要です。

しかし、それと同じくらい、

・強い倦怠感によってどの程度活動できないのか
・一日のうち何時間横になっているのか
・家事がどの程度できるのか
・外出できるのか
・仕事をどの程度続けられるのか
・家族の援助を必要としているのか
・治療の副作用がどの程度あるのか

という実際の生活状況が重要になります。

厚生労働省のHIV感染症に関する認定上の取扱いでも、検査数値だけで区切る方法ではなく、労働及び日常生活上の障害を中心に総合的に認定することが示されています。

HIV感染症で障害年金を検討するときには、

「HIVに感染しているから」
「CD4値が低いから」

という一点だけを見るのではなく、

「病気や治療のために、自分の生活と仕事が実際にどのくらい制限されているのか」

という視点から整理することが大切です。

さいごに

HIV感染症は、障害年金の対象となる病気です。

ただし、HIVに感染しているというだけで障害年金を受給できるわけではありません。

HIVによる障害年金では、日和見感染症などの続発症、CD4値やHIV-RNA量などの検査所見、治療の状況、薬の副作用、そして日常生活や仕事への影響などを総合的に判断します。

また、AIDSを発症していなければ障害年金を受給できないというわけでもありません。

免疫機能低下に伴う症状が繰り返されている場合や、治療によって仕事が大きく制限されている場合などには、障害年金の対象となる可能性があります。

HIVの障害年金では、

「検査数値がいくつなのか」

だけでなく、

「その状態によって実際の生活がどのようになっているのか」

を正確に伝えることが大切です。

また、HIVに伴って視機能障害、神経障害、麻痺など別の障害が残っている場合には、それらについてもあわせて検討する必要があります。

「HIVで自分が障害年金の対象になるかわからない」
「働いているが体調が悪く、仕事を続けることが難しい」
「CD4値は低いけれど障害年金を申請できるのかわからない」
「HIV以外にも合併症があり、どのように申請したらよいかわからない」

という方は、障害年金を専門とする社会保険労務士に相談することもひとつの方法です。

HIV感染症は、病状や治療経過、生活状況が一人ひとり大きく異なる疾患です。

障害年金を検討するときには、病名だけで受給の可否を判断するのではなく、現在の治療状況と日常生活・就労状況を整理したうえで申請を進めることが重要です。