うつ病などで働けなくなり障害年金をもらおうと思った時、自分で申請をするか社労士にサポートを依頼するかについて迷うのではないでしょうか?
手続きが難しいため社労士にサポートを依頼すると決めても、社労士のホームページが多過ぎて、どの社労士を選べば良いのかわからないかもしれません。
社労士にサポートを依頼する場合には、やはり報酬(お金)がかかりますので、「良い社労士」を選びたいですよね。
そこで後悔しない社労士の選び方についてご説明いたします。
5分で読める記事ですので、お読みいただけると幸いです。
目次
障害年金専門の社労士にはいくつかの種類があります
ひとことで障害年金専門の社労士と言っても、実はいくつかの種類に分類することができます。
社労士の種類とそれぞれの特徴を理解することができれば、どの社労士を選んだら良いのかがわかってくると思います。
精神障害専門の社労士と全ての障害に対応する社労士、どちらを選ぶ?
うつ病や双極性障害の方が障害年金専門の社労士を探してみると、「精神障害専門の社労士」と「全ての障害に対応する社労士」がいることにお気づきになるでしょう。
「精神障害専門の社労士」だと、他の社労士よりもうつ病を理解してくれるのではないか、うつ病で高い等級を狙えるのではないか、と思うかもしれません。
しかし、決してそうではありません。
その理由を解説していきます。
精神障害専門の社労士やうつ病専門の社労士とは
うつ病や双極性障害、統合失調症、発達障害といった精神の障害のみを扱っている社労士で、他の障害は基本的には扱っておりません。
また、障害年金では精神の障害の中に高次脳機能障害やてんかんが含まれますが、精神障害専門の社労士は高次脳機能障害やてんかんは扱わないことがほとんどです。
それでは、どうして精神障害専門の社労士が存在するのでしょうか?
いくつかの理由があると思いますが、一番大きな理由としては「精神障害専門だと効率が良い」ということが挙げられます。
効率が良いということは、1つ1つの案件にかける時間と労力が少ないため、同時に多くの依頼を受けることができるということです。
例えば、うつ病などの精神障害のみを扱うということは、使用する診断書も精神の障害用1種類のみですし、使用する障害認定基準も精神の障害1節のみのため、ひとつひとつの案件に時間がかからないのです。
精神の障害は社労士にとっては基本であり、障害年金専門の社労士であればできない者はいないと言っても過言ではありませんし、誰でも精神の障害の障害認定基準は常に頭に入っております。
すなわち「精神障害専門の社労士だからうつ病に強い」ということなく、精神障害専門ではない社労士でもうつ病には強いと言えるのです。
全ての障害に対応する社労士とは
全ての障害を扱いますので、うつ病や双極性障害はもちろん、てんかん、高次脳機能障害、眼の障害、肢体の障害、聴覚障害、心疾患、腎疾患、がん等に精通しています。
ちなみに障害年金専門の社労士は、全ての障害に対応する社労士がほとんどです。
全ての障害に対応するということは、「専門性に欠けるのでは、、」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は専門性に欠けるどころか「障害年金オタク」が多いので、うつ病だけを仕事にしているのは飽き足らず、初めて扱う難病のような障害を日々勉強したり、社労士同志で研究会を開いたりして研鑚している人がほとんどです。
また、障害年金を受給する方の中で一番多い障害が精神障害なので、全ての障害を扱う社労士であっても7~8割は精神の障害の方になり、この事実からしても精神障害専門の社労士よりも知識が劣るということはありえません。
全ての障害に対応する社労士を選ぶメリットとは
全ての障害を扱う社労士は、いろいろな障害を扱う経験をもとに柔軟な考え方をすることができます。
例えば、以下の障害認定基準を日々用いながら仕事をしています。
- 眼の障害
- 聴覚の障害
- 鼻腔機能の障害
- 平衡機能の障害
- そしゃく・嚥下機能の障害
- 音声又は言語機能の障害
- 肢体の障害
- 精神の障害
- 神経系統の障害
- 呼吸器疾患の障害
- 心疾患による障害
- 腎疾患による障害
- 肝疾患による障害
- 血液・造血器疾患による障害
- 代謝疾患による障害
- 悪性新生物による障害
- 高血圧症による障害
- その他の疾患による障害
そして申請に使用する診断書は以下になります。
- 眼の障害用診断書(様式第120号の1)
- 聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・音声又は言語機能の障害用診断書(様式第120号の2)
- 肢体の障害用診断書(様式第120号の3)
- 精神の障害用診断書(様式第120号の4)
- 呼吸器疾患の障害用診断書(様式第120号の5)
- 循環器疾患の障害用診断書(様式第120号の6-1)
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用診断書(様式第120号の6-2)
- 血液・造血器・その他の障害用診断書(様式第120号の7)
このように障害認定基準も診断書も多くの種類を常に駆使して障害年金申請をしております。
そうすると、うつ病の方が同時に手足にも障害を抱えたような場合にもスムーズに対応することができるのです。
障害年金には併合認定といい、複数の障害を足して請求する方法があり、「うつ病」と「糖尿病」と「眼の障害」を足して1級にするというような難しいケースがあります。
このような場合にも全ての障害を扱う社労士であれば対応できますが、精神障害専門の社労士だと「うつ病」だけの請求で終わってしまう可能性があるのです。
着手金無料の社労士と着手金ありの社労士、どちらを選ぶ?
社労士が障害年金申請サポートの依頼を受けると、書類を作成して審査を経て受給決定するまでに平均して半年、中には1年以上かかる場合があります。
具体的な障害年金申請の方法は以下の記事をご覧ください。
依頼を受けた社労士は、障害年金の受給決定が下りて初めて年金が振り込まれた後に報酬をいただくことになりますので、それまでの間は報酬ゼロで仕事をすることとなります。
そのため、ご契約時に着手金をいただく社労士が多いです。
また、社労士が着手金をいただく理由としては、以下の2つがあげられます。
- お客様が社労士に代理人として依頼するという意思の確認
- 障害年金サポート業務にかかる通信費などの経費
しかしここ数年で障害年金の社労士が急増し、競争が激しくなったため、着手金が無料の社労士も多くなってきました。
着手金無料の社労士とは
障害年金サポートの契約時に着手金を支払う必要がない社労士です。
ホームページの一番目立つ場所に「着手金無料」「着手金0円」と掲げています。
まだ障害年金が受給できていない中、着手金を支払わずにサポートを依頼できるということは大きなメリットに感じると思います。
注意!業務の途中で放置されることも
着手金無料の社労士が全員ということはありませんが、「着手金無料の社労士にサポートを依頼したが、数か月以上業務を放置されている」という悩みをお聞きすることがあります。
社労士としては最初に着手金という名目でお金をいただかないため、契約への心理的ハードルが下がるということは否めません。
社労士が最初に障害年金が簡単に受給できると判断していても、実際は時間も労力もかかる難しい案件だったような場合には放置してしまうことがあるようです。
もちろん着手金無料であっても、しっかりと迅速に業務を進める社労士はいらっしゃいます。
「着手金無料」が悪いのではありませんので、社労士を見極めることが大切です。
事務手数料や通信費という名目で支払わなければならないことも
着手金という名前の支払いが不要だったとしても、別の名前でいろいろな請求をされる場合があります。
例えば、事務手数料・経費・交通費・通信費等です。
特に事務手数料という名前で請求される場合には、性質は着手金と同様と考えて差支えないでしょう。
いったん契約をした後に、いろいろな費用を請求され、結果的には通常の着手金よりも高くついてしまうケースがあるようです。
ちなみに当事務所では「事務手数料・経費・交通費・通信費等」を請求することはございません。
受給決定率が高い社労士と低い社労士、どちらを選ぶ?
よく、障害年金専門の社労士のホームページには、「受給率〇%」と書かれていることがあります。
受給率とは、社労士が受任した依頼の数のうち、実際に障害年金が受給できた人の割合です。
一見、受給率が高ければ高いほど「能力が高い社労士」と思われがちですが、社労士の能力は受給率では判断できないヒミツがあります。
受給率が高ければ優秀な社労士というわけではない
では、障害年金の受給率を上げるための近道ってなんでしょう?
それは、ずばり「確実に受給できるような簡単な依頼ばかりを受けること」です。
初診日の証明も簡単にでき、病気も比較的よく受給できる簡単なもので、障害の程度も誰が見ても重度というようなものは、確実に受給できると言えます。
時間と労力がかかるような受給の可能性が低い案件を断り、確実に受給できる簡単な案件ばかりを受けていれば自然と障害年金の受給率は高くなります。
また、単に「受給率」と書いているので、本当は2級で認定されるべき人が3級で認定されたという不本意な決定であっても、障害年金を受給できることには変わらないため「受給率」にカウントされてしまいます。
社労士は、一般の方が申請できないような難しい案件を進んで受けることが使命ですので、難しい案件ばかりを受けていると、どうしても受給率が下がることがあります。
困難な案件を断らずに受任してもなお受給率が高い社労士が、真に能力が高い社労士と言えます。
社労士を選ぶためのチェックポイント
障害年金の申請は、受けた社労士によって結果が変わることがよくあります。
その社労士の経験、実績、知識、センスによって、障害年金の受給額が変わるのです。
また、障害年金の申請を社労士に依頼した場合には、二人三脚で準備を進めていくことになりますので、人として信頼できる社労士を選ぶことも大切です。
社労士を選ぶ時にどんなところを見たらいいのか、以下にチェックポイントを書いておきます。
ご参考になれば幸いです。
ホームページを見てチェック
- 実際に支払う費用や報酬についてわかりやすく書かれているか
- 社労士の名前、顔写真、プロフィール、資格取得年等が書かれているか
- 実際に扱った事例がリアルに具体的に書かれているか
- 法改正や新しい年金額等の情報がきちんと更新されているか
- 直感で依頼してみたい、会ってみたいと思えるか
問い合わせや相談をしたときにチェック
電話での問い合わせや相談
- 事務員ではなく業務をする社労士本人が相談を受けているか
- 聞いたことだけに答えるのではなく、わかりやすい説明をしてくれたか
- 話し声は明るく、好感が持てたか
- ヒアリングもせずに「受給はできない」と無責任な返答をしなかったか
- 電話越しでも「信頼できそう」と感じたか
メールでの問い合わせや相談
- 事務員ではなく業務をする社労士本人がメールの返信をしているか
- 問い合わせメールの返信は24時間以内であったか
- 聞いたことにだけ答えるのではなく、プラスαの説明があったか
社労士との面談でチェック
- 面談の開始前に、面談の進め方と所要時間等の説明がされたか
- 第一印象は明るく、好感を持つことができたか
- 社労士との会話は、緊張せずに進めることができたか
- 会話をしている時に、重苦しい雰囲気にならなかったか
- 自分の病歴や障害について話しにくいと感じなかったか
- 人間として長く付き合えそうだと感じたか
- 着手金や報酬について、明確に説明があったか
その他
- 障害年金受給後の更新もサポートをしてくれるか
- 万が一障害年金が受給できなかった場合はどうするかを説明してくれたか
さいごに
社労士の選び方についてご説明いたしましたが、やはり一番重要なのは、「人として信頼できる社労士か」ということに尽きます。
障害年金の申請では、社労士と半年から1年程度関わることになりますので、社労士選びを間違えると「こんなはずじゃなかった」と後悔されると思います。
社労士の能力を見極めるのはもちろんですが、友達を選ぶような視点を持つと良いかもしれません。
必ずしも私の事務所を選んでいただかなくても構いませんので、あなたにピッタリと寄り添った信頼できる社労士に出会えたら嬉しく思います。