うつ病で障害年金を受給するためのポイントと障害認定基準

考える女性

障害年金を受給している人の障害で最も多いのが精神の障害であり、その精神の障害の中でも圧倒的に多いのがうつ病です。

うつ病は誰でも発症する可能性がある病気であり、服薬治療を続けていても長期間治らなかったり、再発しやすいと言われております。
うつ病で仕事ができなくなったり、仕事ができても制限がある方であれば障害年金を受給できる可能性があります。

うつ病で障害年金を受給するためには「初診日」が重要

まず、うつ病の症状が出てから最初に行った病院はどこだったか、その病院に初めて行った日はいつだったのかを突き止めることが重要です。
症状が出て初めて病院に行った日を障害年金では「初診日」と言います。

うつ病の方は、最初の病院ではうつ病という診断はされずに「不安神経症」や「不眠症」という診断をされる場合がありますが、うつ病と診断されていなくとも前駆症状で病院に行ったのであればそこが初診日となります。

間違えやすいのは、「うつ病と診断された病院」の初診日を、障害年金申請で使う初診日としてしまうことです。

うつ病と診断された病院ではなく、「うつ病の症状が出て初めて病院に行った日」になりますので間違えないようにしてください。

 

初診日が確定できたら、①初診日の要件と②保険料納付要件を確認します。
うつ病で障害年金を受給するためにはいくつかの条件があり、それを全て満たさなければなりません。

  1. 初診日の要件とは、うつ病の初診日において国民年金か厚生年金の被保険者であること。
  2. 保険料納付要件とは、初診日の前日において年金保険料を一定期間以上納付していること。 

具体的には、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間についての保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上納められていること。
または、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に滞納期間がないこと。
※20歳前に初診日があるうつ病の場合には、保険料納付要件は問われません。

①初診日の要件と②保険料納付要件の両方を満たした上で、うつ病の障害状態が障害年金を受給できる程度かどうかを判断していきます。

ですので、どんなにうつ病の症状が重く寝たきりの状態なったとしても、①初診日の要件と②保険料納付要件を満たさなければ、うつ病で障害年金を受給することはできません。

また、初診日がいつで、どこの病院に行っていたかどうかは、「受診状況等証明書」という書類で証明しなければなりません。

うつ病で障害年金がもらえる程度とは~「障害認定基準」

うつ病がどの程度の症状であれば障害年金が受給できるかどうかを定めた基準があり、それを「障害認定基準」と言います。

うつ病の認定基準は以下の通りです。

1級の認定基準

高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの

2級の認定基準

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級の認定基準

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

1級から3級までありますが、初診日に国民年金に加入していた方は1級か2級で、3級はありません。
3級を受給できるのは、初診日に厚生年金に加入していた方が対象となります。

また、うつ病で障害年金を受給できるかどうかは以下の点も考慮されます。

  • うつ病は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。
  • うつ病と統合失調症等のその他の精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取り扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
  • 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
  • 人格障害は、原則として認定の対象とならない。
  • 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。
注意

上記に記載のとおり、神経症(不安神経症、パニック障害、適応障害、強迫性障害など)や人格障害(境界性人格障害、パーソナリティー障害など)は、原則的には障害年金が受給できない病名となります。

→しかし神経症や人格障害の病名であっても障害年金を受給できるケースはあります。

上記に記載のとおり、神経症(不安神経症、パニック障害、適応障害、強迫性障害など)や人格障害(境界性人格障害、パーソナリティー障害など)は、原則的には障害年金が受給できない病名となります。

→しかし神経症や人格障害の病名であっても障害年金を受給できるケースはあります。

うつ病の診断書と日常生活能力について

うつ病で障害年金の請求(申請)をする場合には、精神の障害用診断書(様式第120号の4)を使用します。
そして、うつ病の症状がどの程度かどうかは日常生活能力によって審査され、等級が決められます。

その等級を公平に判定するために平成28年(2016年)9月より「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の運用が始まりました。
この「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には、うつ病の診断書に記載される「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」に応じた等級の目安が定められています。

日常生活は、食事や身辺の清潔保持など7つの場面として捉え、それがどの程度できるかを数値化し、障害年金の等級を公平に判断できるようになっているガイドラインです。

考えている人5分でわかる!精神の障害にかかる等級判定ガイドライン

うつ病の障害年金を受給する手続き(申請)方法について

うつ病で障害年金を請求(申請)する場合の流れは、以下のとおりです。

障害年金を申請する際には、多くの書類を取得したり作成しなければなりません。
一つずつ確実に進めていけば障害年金を受給することができますが、申請準備に数か月かかることもあります。

障害年金申請の流れ

詳しい申請方法は下記記事で解説していますのでご覧ください。

年金手帳障害年金を申請する7つのステップ

うつ病の障害年金受給は難しい?

他の障害で障害年金を受給するよりも、うつ病で障害年金を受給することは難しいと言われることがあります。
では、どんな部分が難しいと言われているのかをご説明していきます。

うつ病で障害年金を難しいとは言っても、しっかりと丁寧に準備をすれば大丈夫です!

社労士 石塚

診断書の内容が実際の症状よりも軽く書かれてしまう

うつ病の症状は、血液検査やレントゲンのような検査で重いかどうかを客観的に判断することができません。
抑うつ状態や不安、不眠、意欲低下などはいずれも自分が感じる主訴になり、他人が目で見てわかるものではありません。

そのため、うつ病であることは確定していても、そのうつ病の程度がどの程度重いのかどうかが主治医に伝わっていない場合があり、診断書の内容が軽いものとなってしまうのです。

障害年金が受給できるかどうかは「日常生活」で決まる

うつ病の症状がどの程度重いのか、障害年金で定める基準に該当するかどうかは、日常生活にどの程度支障があるのかで判断されます。
この考え方は障害年金独特です。

しかし、うつ病の方が通常の診察の際に、

私は、栄養バランスを考えて1日の献立を決め、スーパーに買い物に行き、調理をし、お皿に盛りつけて食べ、お皿を洗い、食器棚にしまうことができていません

とか

入浴は3日に1回しかできず、朝は歯磨きもせず、ひげも伸ばし放題で、一日中寝間着で過ごしています

というようなことを細かく主治医に伝えていることは稀です。
そうすると、障害年金の審査で見る肝心な日常生活の支障が主治医に伝わっていないのです。

この状態で主治医に障害年金の診断書作成を依頼すれば、どうなるでしょう?
当然に実際の日常生活の支障が書かれていない診断書が出来上がってしまいます。

転院した場合の障害認定日での遡及が難しい

障害認定日から1年以上経ってから障害年金の申請をする場合には、遡及請求のために診断書を2枚取得します。

障害認定日も現在も同じ病院に通院していれば問題ありませんが、病院が変わっていることがよくあります。
そうすると、何年かぶりに障害認定日の病院に行き、障害認定日当時の診断書作成を依頼することとなります。

カルテに基づいて過去の日付で診断書を書いてもらうので、カルテに書かれていないことは診断書に反映されません。
カルテに障害認定日当時のうつ病の詳しい症状や日常生活の支障が記載されていない場合には、やはり軽い内容の診断書ができあがってしまうのです。

本当は障害認定日当時は障害年金で定める基準に該当しているにも関わらず、診断書の内容が軽いために遡及が認められないということがよくあります。

うつ病で働けていると難しい

うつ病でも職場でいろいろな配慮を受けながら働いている方もいらっしゃると思います。
しかし、うつ病は見た目では症状の重さがわからない病気ですので、「働けている=うつ病の症状が軽い」と審査されてしまうことがあります。

さいごに

障害年金を受給している方の中で、一番多いのがうつ病の方と言っても過言ではないほど、圧倒的に多いのがうつ病の方です。
ご家族に手伝ってもらいながら障害年金の申請をして、実際に障害年金を受給できた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、時間も労力もかけても、残念ながら不支給という結果に泣いている方も多いのです。

もしご自分では難しいと思われたり、準備をする気力が起こらない場合には、ぜひ社労士を頼ってください。
社労士と二人三脚で障害年金申請の準備を進めていきますので、精神的にも安心できるかと思います。