障害をお持ちの方や、障害をお持ちのご家族の方は障害者手帳を提示することで公共機関や施設で様々な割引が受けられることはご存知でしょうか?
「なんとなく障害者割引があるのは知ってるけれどどこで受けられるかわからない」という方や「介護者である自分も割引を受けられるのか?」など障害者割引について疑問に感じている方もいると思います。
そこで今回は、障害者手帳を提示することによって具体的にどんなサービスでどのくらいの割引が受けられるかなどについてお伝えしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
障害者割引とは
障害者割引とは障害のある方が受けられる割引のことを指します。
思うようにお仕事ができない方の経済的な負担を軽減させて社会参加しやすくするため制度のことです。
障害者割引を受けるには基本的に障害者手帳を所持していることが条件になります。
障害者手帳とは
障害者手帳は障害があることを証明するための手帳のことです。
障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者福祉手帳」の3つがあります。
障害者手帳は障害の症状の重さによって等級がわかれています。
また、等級とは別に身体障害者手帳と療育手帳の場合は第一種、第二種という区分があり、手帳内の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」という箇所に記載されています。
精神障害者福祉手帳にはそういった区分はありません。
障害者割引はなんのためにある?
障害がある方は健常者の方と比較しても医療費やその他諸々で経済的に負担が重くなります。
また、公共機関の電車やバスでの移動が難しかったりするので積極的に外に出て社会活動に参加できるように障害者割引があります。
障害者割引の対象者
障害者割引には手帳を持っていることが前提となりますが、同伴者や介助が必要な方の場合は介助者も同時に割引を受けることができる可能性があります。
こちらに関しては利用する施設やサービスによって内容が変わってきます。
具体的に障害者割引になるサービス
それでは具体的に障害者手帳を持っていた場合にどんな割引があるかについてご紹介いたします。
JRの場合
身体障害者手帳や療育手帳をお持ちの場合はJRや私鉄の乗車券が半額になります。
ただし区分や乗車券の種類によって割引の条件が変わります。
第一種の区分の手帳をお持ちの場合は定期券なども半額になり
ます。
また、この場合は付き添いの介助者も半額になります。
第二種の区分だった場合は片道が100kmを超える区間を単独で乗車する場合の普通乗車券のみしか割引を受けることができません。
【詳しい割引の条件】
JRを利用する際の障害者割引は乗車券の種類によって条件が変わってきます。
普通乗車券=50%割引・・・第一種障害者が介護者と乗車する場合、もしくは第一種、第二種障害者が片道100kmを超える区間を単独で乗車する場合
定期乗車券=50%割引・・・第一種障害者、もしくは12歳未満の第二種障害者が介護者とともに乗車する場合
普通回数乗車券=50%割引・・・第一種障害者が介護者とともに乗車する場合
急行券(特別特急券を除く)・・・第一種障害者が介護者とともに普通急行列車に乗車する場合
高速道路の場合
有料道路では身体障害者の方が自身で運転する場合、または重度の身体障害、重度の知的障害をお持ちの方が同情して本人以外が運転する場合に、事前に登録を行った自動車1台に最大で50%の障害者割引が実施されます。
注意点としては、事前の登録が必要ということと、障害者の方お一人に対して1台の自動車しか登録ができませんので覚えておきましょう。
【詳しい割引の条件】
高速道路で障害者割引をするためには3つの条件に当て嵌まった内容で事前に申請した場合になります。
1)割引用で登録できるのは障害者1人につき1台のみ
2)車検証の「自家用・事業用の別」の欄に「自家用」と記載されている以下の自動車であること
- 乗用自動車・・・「用途」欄に「乗用」と記載があり、乗車定員数が10人以下
- 貨物自動車・・・「用途」欄に「貨物」と記載があり、後部座席が設置されてある乗車定員数が4人以上10人以下
そして乗車設備と荷台に仕切りがない、または乗車設備と荷台が仕切られている最大積載量が500kg以下 - 特殊用途自動車・・・「用途」欄に「特殊」と記載があり「車体の形状」欄に車椅子移動車、身体障害者輸送車、キャンピング車のいずれかが記載されていて乗車定員数が10以下
- 二輪自動車・・・総排気量が125ccを超えている
3)車検証の「所有者の氏名または名称欄」の所有者の氏名が個人名義であること。
障害者本人が運転する場合と本人以外が運転する場合で記載される個人名にもルールがあります。
障害者本人が運転する場合に割引適用される所有者情報・・・障害者本人、配偶者、直系の血族及びその配偶者、兄弟姉妹及びその配偶者並びに同居の親戚など
障害者本人以外が運転して障害者本人が同乗する場合に割引適用される所有者情報・・基本的に障害者本人が運転する場合に適用される名義と同様。
また、自動車をそれらの方が所有していないときは障害者本人を敬蔵して日常的に介護している方
飛行機の場合
飛行機の場合は、搭乗する際の年齢が満12歳以上で障害者手帳を持つ本人と、介護者1名までは割引運賃が適用されます。
ちなみにこちらはANAとJALの場合なので他の航空会社の場合はまた別の割引内容になってきます。
タクシーの場合
タクシーを利用する場合は障害者手帳を提示すると運賃が10%割引になります。
基本的にはどのタクシー会社でも障害をお持ちの方への割引は実施されていますが、タクシー会社によっては精神障害者保健福祉手帳の場合だと割引が実施されないこともあるようです。
公共施設の場合
美術館や博物館などの公共施設を利用する際にも障害者割引が適用されることがあります。
施設への入館料は無料になったりするところも全国的に多くなっています。
NHK受信料の場合
世帯の中で障害者手帳のいずれかを持っている家族がいて、世帯全員が住民税非課税の場合は受信料は全て免除となります。
携帯電話料金の割引
大手キャリアと言われる3社のdocomo、au、SoftBankは障害手帳をお持ちの方が契約者や利用者になる場合に基本料金などが割引になるサービスを実施しています。
割引以外の支援について
障害者手帳をお持ちの場合に受けられるサービスは割引以外にも以下のようなものがあります。
医療費のサポート
住んでいる都道府県や市区町村によっても内容は変わりますが、心身障害者医療費助成制度といって、障害手帳をお持ちの方が病院にかかった際には基本的に医療費の負担額が助成されるという制度があります。
この制度を受けるにあたって、住んでいる場所によって対象になる障害の等級なども変わってきますので、詳しくはお住まいの障害福祉課などで確認してみてください。
障害者控除
障害者手帳を持っている本人や家計を同じにしている配偶者や扶養親族に障害者手帳をお持ちの方がいる場合、本人やその家族の税負担を軽減するため一定額が所得から控除されます。
控除額 | 所得税 | 住民税 |
※1障害者 | 27万円 | 26万円 |
※2特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
※3同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
※1知的障害、身体・精神障害者手帳を所持している方
※2重度の知的障害と判定された方、身体障害1級又は2級・精神障害1級の方
※3同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居をしている方
さいごに
ここまで、障害者手帳を提示することによって具体的にどんなサービスでどのくらいの割引が受けられるかなどについてお伝えしてきました。
障害者手帳を所持している本人の方もそれを支えるご家族の方なども今回初めて知った割引できるサービスなどがあったらぜひ活用してみてください。