障害年金の依頼を社労士に断られて激怒するのはなぜ?期待と逆恨みの心理

「この事務所にお願いしたいと思っていたのに、依頼を断られてしまった」

障害年金の請求を考え、勇気を出して無料相談を送った方にとって、お断りの回答は残念なものでしょう。生活や治療への不安があれば、そこに寄せる期待も大きくなるはず。「やっとお願いしたい事務所を見つけたのに」と、気持ちが沈むこともあると思います。期待していたからこそ、落胆する気持ちもよく分かります。そうした落胆まで、否定したいわけではありません。

けれども、その落胆が、事務所を激しく攻撃したり、評判を落とそうとしたりする行動へ変われば、通常の相談とは違う問題になります。感情を伝えるだけでは済まなくなるからです。残念に思うことと、相手を傷つけること。この間には、越えてはいけない一線があります。

これは、あくまでも当事務所で度々起きていることですが、障害年金の無料相談で「ご依頼をお受けできません」とお返事をした後、非常に強い怒りを向けられることがあります。中には、当事務所を貶めようとする言動や、執拗な誹謗中傷につながる場合もあり、心外に感じています。

当事務所がしたのは、1つの社労士事務所として、依頼を引き受けられないと回答したこと。障害年金を受ける権利を奪ったわけでも、ほかの事務所への依頼を妨げたわけでもありません。それなのに、なぜ、相手を攻撃するほどの怒りが生まれるのでしょうか。ここに、今回考えたい問題があります。

この記事では、依頼を断られたときの怒りや逆恨みの背景として考えられる心理を整理し、当事務所が大切にしている受任判断と、相談者との関係についてお伝えします。個人の性格や病気を診断する記事ではなく、期待と現実の食い違いが、どのように行き過ぎた行動へつながり得るのかを考えるものです。

目次

依頼を断った後の執拗な攻撃に、当事務所が困惑する理由

落胆する気持ちと、相手を攻撃する行動は別のもの

依頼したかった相手に断られれば、残念に思うのは自然なこと。「ほかの相談先を探さなければならない」「自分の説明では伝わらなかったのだろうか」と、いくつもの思いが浮かぶかもしれません。当事務所も、お断りの回答をすぐに明るい気持ちで受け止めてほしいとは考えていません。気持ちの整理には、時間が必要なこともあるでしょう。

当事務所が問題にしているのは、その感情を超えて、相手を傷つけることや、事務所の信用を落とすことに向かう行動です。依頼を受けないという判断をしただけで、人格を攻撃されたり、悪意のある評価を広めようとされたりすることには、到底納得できません。

不満を感じたことは、事務所に対して何をしてもよいという理由にはなりません。自分の気持ちと相手への行動を区別することは、相談の場でも必要です。ご自身が傷ついたという事実から、相手の生活や仕事を傷つけてよい理由が生まれるわけではありません。そのつながりを当然のものにしてしまうと、感情の表現が相手への加害に変わってしまいます。

「異常」と感じるのは、通常の相談を超えた言動

当事務所から見ると、単に受任を見送ったという出来事に対し、執拗な攻撃が続く状況は、通常の相談の範囲を大きく逸脱しています。依頼をお断りしただけで、そこまでの敵意を向けられることには、強い戸惑いがあります。その出来事と言動の釣り合わなさに、異常な事態だと感じるのです。

ただし、そのことをもって、相手を医学的に「異常な人」と決めつけるつもりはありません。メールなどの限られたやり取りで、どのような病気や性格なのかを判断することはできませんし、そもそも当事務所が指摘したいのは診断名ではありません。

問いたいのは、怒りの強さを理由に、相手への攻撃を続けてしまう行為そのもの。ご相談に至るまでの事情を想像し、配慮することは大切でしょう。ただ、その配慮には、行き過ぎた言動を受け入れ続けることまで含まれているわけではありません。事情を理解する姿勢が、攻撃への容認になるものではないからです。この2つは分けて考える必要があります。

依頼への大きな期待が「裏切られた」という怒りに変わるとき

相談前から「引き受けてもらえる」という期待が育つ

ホームページや受給事例を読んで、「この社労士なら自分を理解してくれそうだ」「ここにお願いできれば、先が見えるかもしれない」と感じることはあるでしょう。当事務所にそのような期待を寄せていただくこと自体は、ありがたいことだと思っています。

ところが、期待が大きくなるうちに、まだ相談の返事も来ていない段階で、受任してもらうことが当然の予定になってしまう場合があります。ご本人の中では、すでに「この事務所と一緒に請求を進める未来」が具体的になっているのかもしれません。返事を待っているようで、心の中では、もう依頼が始まっているという状態です。

そのように受任への期待が膨らんだ状態でお断りの回答を受けると、その返事の意味も重くなりがちです。単に依頼先が決まらなかったというだけでなく、思い描いていた安心や生活の見通しまで失われたように感じる可能性があります。大きな期待と現実との落差。その落差が、強い落胆や怒りにつながることは、背景の1つとして考えられます。

依頼したいという期待と、事務所の受任の約束は別

ただし、その期待があったからといって、当事務所と受任の約束を交わしたことにはなりません。ご本人の中に期待があったことと、事務所が受任を約束していたことは別の話。依頼したいと思ってくださったお気持ちは尊重しますが、そのお気持ちだけで、当事務所の受任が確定するわけではありません。

「こんなに期待していたのに」という思いが、「期待させた事務所が悪い」という受け止め方に変わってしまうと、まだ成立していない約束を破られたかのように感じることもあるのではないでしょうか。しかし、無料相談は、まさに受給の可能性や受任の可否を確認するための段階です。

実際に誤解を招く案内があったのであれば、その点は具体的に確認すべきことです。けれども、相談前にご本人の中で大きくなった期待について、引き受けるという約束をしていない事務所が、すべての責任を負うことはできません。受任を判断する前の期待には、相手と合意していない部分が残っています。期待の大きさと、相手が約束した範囲を混同しないことが大切になります。

拒絶と怒りの関連を示す研究と、個人の心理を断定できない理由

心理学では、予想していなかった拒絶が、より強い攻撃的反応につながる場合を調べた実験研究があります。また、大学生を対象とした研究では、日常の拒絶経験と怒りや敵意との関連が報告されています。断られた経験が、単なる残念さにとどまらず、怒りとして現れることを考える手がかりになります。

ただし、これらは社労士への依頼を断られた方を調べた研究ではありません。研究の結果から、当事務所に怒りを向けた特定の方の動機を確定したり、「断られた人は攻撃する」と結論づけたりすることはできません。

ここから先に述べる心理も、考えられる受け止め方を整理したものであり、すべての方に当てはまる説明ではありません。同じお断りの回答を受けても、残念に思いながら次の相談先を探す方もいらっしゃいます。期待が大きかったから、攻撃するしかなかった——そういうことではないのです。気持ちと、その後に選ぶ行動は分けて考えたいところでしょう。

参考:Wesselmannほか「Adding injury to insult: unexpected rejection leads to more aggressive responses」研究抄録/岡田涼「大学生における日常の受容・拒絶経験と自尊心,攻撃性との関連」

「選ぶのは自分」という意識と、社労士の受任判断との食い違い

依頼者だけでなく、社労士も引き受けられるかを判断する

社労士事務所を探す際、ご本人がホームページを読み、対応する業務や費用を調べて、依頼したい相手を考えるのは当然のこと。大切な手続きを任せるのですから、納得できる専門家を選びたいと思うでしょう。ご自身に選ぶ機会があることは、決して否定されるものではありません。

一方で、事務所にも、その内容について責任を持って支援できるかを判断する役割があります。依頼者が選んだというだけで、自動的に請求代理を引き受ける仕組みではありません。ご本人の希望と、事務所が対応できる内容の両方が合って、初めて依頼を進められます。

ここで食い違いやすいのが、相手にも依頼を引き受けられるか判断する立場がある、という点です。「選ぶのは自分で、選ばれた事務所は受けるものだ」と思っていると、お断りの回答そのものが予想外になります。自分が比較したり見送ったりすることは想定していても、相手から見送られることは想定していなかった。その食い違いが、納得しにくさを生むのかもしれません。

報酬を払う予定があっても、受任が決まるわけではない

「こちらはお金を払って頼もうとしているのに」。その思いが浮かぶ方もいるかもしれません。けれども、報酬を支払う予定があるというだけで、相手が必ず契約しなければならないわけではありません。報酬と引き換えに、どのような依頼でも受ける仕事ではないからです。専門家の仕事には、対応範囲や実際の見通しを踏まえた判断が欠かせません。費用のお話に進む前に、引き受けられる内容かを確かめる段階があるのです。

例えば、ご希望が当事務所の受任方針と合わない場合や、請求を支援できるだけの見通しがない場合に、費用をいただくためだけに引き受けることはできません。引き受けてからの責任を考えるほど、最初の判断は慎重になるものです。

いわゆる「お客様は神様」という意識が、「自分の希望を優先し、事務所は従うべきだ」という考えにつながると、専門家の判断と衝突してしまいます。相談者を大切にする姿勢には、ご希望に沿えないときにも、見通しに基づいて判断することが含まれます。希望する答えを必ず返すことだけを指すものではないはずです。

受任を断られたことを、自分自身への否定と受け取る心理

業務上の判断が「自分には価値がない」という思いに重なる

当事務所がお伝えしているのは、「今回のご相談について、当事務所ではお引き受けできない」という業務上の判断。その方の人間としての価値を評価しているわけでも、苦しさを認めないと宣言しているわけでもありません。判断の対象は、今回の依頼を当事務所が引き受けられるかどうか、という点なのです。

それでも、相談に大きな思いを込めていた場合には、業務上の回答を、ご自身への評価として受け止めてしまうことがあるかもしれません。「自分は助ける価値がないと思われた」「困っているのに見捨てられた」と感じてしまうことも、可能性としては考えられます。業務上の判断と、ご自身への評価が重なれば、傷つき方も大きくなるでしょう。本来は別の話が、心の中で結びついてしまうのかもしれません。

だからこそ、受任できるかどうかと、ご本人の尊厳は切り離して考えていただきたいと思います。引き受けられないと回答したことは、苦しんでいる事実を否定したことではありません。また、当事務所に依頼できないからといって、その方の人生や価値が決まるものでもありません。

希望どおりの返事がないだけで、相手への評価が急変する

相談前には、信頼できそうな専門家だと思っていた。それなのに、望んだ返事が来なかった途端、「冷たい事務所だ」「自分を傷つける相手だ」と評価が大きく変わってしまうことも考えられます。同じ相手であるはずなのに、受任するかどうかだけで、見え方が一変するというわけです。

この場合、相手の業務や対応を落ち着いて考えるより、「受け入れてくれる相手か、自分を拒む相手か」という受け止め方が中心になっているのかもしれません。しかし、希望どおりに受任しなかったという1点だけで、その事務所の仕事全体や人格まで否定するのは、飛躍があります。

依頼先として期待していた相手が、お断りの返事だけで、貶める対象へ変わってしまう。当事務所が残念に感じるのは、まさにこの点です。そのような反応を受けると、当初の信頼は、専門家の判断そのものに向けられていたのか、それとも希望に応じてくれるという期待に向けられていたのか。そう考えざるを得ません。

次の相談先を探さず、断った事務所にこだわってしまう心理

受給に向けた準備より「断られたこと」が中心になる

障害年金の相談をする本来の目的は、ご自身に受給の可能性があるかを確かめ、必要な手続きを考えることだと思います。生活や治療の見通しを立てるために、その第一歩として相談を始めた方もいらっしゃるでしょう。受任してもらえなかったなら、別の相談先や今後の進め方を検討する。その行動が、もともとの目的につながっていきます。

ところが、怒りが強くなると、「なぜ自分を断ったのか」「事務所に間違いだったと認めさせたい」といった思いが中心になってしまうことがあります。これは個々の方の内心を断定するものではありませんが、攻撃が続く状況を理解するうえで、考えられる変化です。

相手を困らせることや評価を下げることに時間を使い続けても、障害年金の準備は進みません。ご本人にとって大切なはずの生活や治療の問題より、断った相手との関係が優先されてしまうのです。ここで一度、今使っている時間が、ご自身の生活を支える方向へ向かっているかを振り返ることも大切です。怒りのために本来の目的が後回しになっていないか、整理するきっかけになります。

不安から、強い要求で相手の判断を変えようとする

障害年金を受給できるかは、相談者の希望だけでは決められません。受任してもらえるかどうかにも、相手の判断が関わります。自分の思いだけでは動かせないことが重なると、不安やもどかしさが強まる場合はあるでしょう。だからこそ、「相手を動かせば何とかなる」という方向へ気持ちが向かっていないか、考える余地があります。

そのとき、「もっと強く伝えれば相手が折れるのではないか」「怒りを示せば考えを変えるのではないか」という方向に向かう可能性も考えられます。ただし、そうした対応をされても、受給の要件や当事務所が支援できる範囲は変わりません。

相手の返事を変えさせることにこだわるより、次にどのような確認や相談が必要かを考えるほうが、本来の目的に近づきます。何も感じずに我慢してほしい、という話ではありません。限られた気力や時間を、どこに使うか。怒りが生まれた後にも、ご自身のためになる選択肢は残っているはずです。

当事務所に断られても、ほかの相談先を検討できる

障害年金の相談や請求支援を行う事務所は全国にある

当事務所への依頼を希望していただいたことは、ありがたく受け止めています。ただ、障害年金の請求を扱う専門家は、当事務所だけではありません。当事務所への依頼がかなわなくても、次の相談先を検討する余地は残っています。全国には、障害年金の相談や請求支援を行う社労士事務所があります。当事務所は、その中の1つの窓口に過ぎません。

当事務所が依頼を受けないと回答したのであれば、別の事務所の対応範囲や方針を確認し、相談や依頼を検討することができます。もちろん、次の相談先を探す負担があることや、必ず引き受けてもらえるとは限らないことも理解しています。それでも、当事務所のお断りが、すべての選択肢をなくすものではありません。

当事務所に依頼できなかったという理由だけで、事務所を執拗に攻撃し続けても、ご本人の手続きを前へ進めることにはつながりません。次の相談先を考えることとは、方向が異なります。ご本人に合う支援先を探すことと、当事務所に怒りを向け続けることでは、今後につながる意味が違います。次の一歩を考えるためにも、1つの事務所のお断りを、すべての終わりにしないでいただきたいと思います。

社労士の受任見送りと、年金の不支給決定は別

「当事務所では受任できません」という回答は、年金の支給・不支給を決定する通知ではありません。ここは、取り違えないでいただきたい点です。障害年金は、法令上の要件や障害の程度などについて、提出された資料に基づく審査を経て決まるもの。社労士事務所の受任判断とは、役割そのものが異なります。

受任を見送る理由には、受給の見通しだけでなく、対応する業務やご希望の条件などもあります。そのため、当事務所に断られたという事実だけから、「自分はどこに行っても絶対に受給できない」と結論づけることはできません。

一方、制度上の要件に課題があると説明された場合には、その課題を置き去りにしないことも大切です。次の相談先には以前の受診歴や年金記録などをそのまま伝え、ご自身にとって都合のよい回答を得るために事実を変えないようにしたいところです。

参考:日本年金機構「障害年金ガイド」受給要件と請求手続き

無料相談は、依頼を必ず引き受ける約束ではない

受任の可否を判断するため、お断りになる場合もある

無料相談と聞くと、希望に沿って広く応じてもらえる場を想像するかもしれません。当事務所で確認しているのは、依頼を希望される方について受任を検討できるか、という点です。具体的には、受給の可能性と、請求代理を引き受けられるかを検討しています。料金がかからないということと、どのような依頼も受けられるということは、別なのです。

受任できるかを判断する以上、お受けできないという結論になることもあります。相談を送ったことや、依頼したいと伝えたことによって、引き受けるという合意が成立するわけではありません。

当事務所は、引き受けた後に責任を果たせるかという点まで考えて回答しています。受けられない内容なのに、その場だけ安心してもらうため「大丈夫です」と伝えれば、相談者に根拠のない期待を持たせることになります。その返事は優しく聞こえても、後の準備や結果に責任を持てなければ、かえって無責任な対応になってしまいます。

希望に沿わない回答にも、専門家としての責任がある

相談者に喜んでもらえる返事と、専門家として適切な見通しを伝える返事。この2つは、いつも一致するとは限りません。難しいと考える事情があるのに、反発を恐れて曖昧なまま受任へ進むことはできません。お断りという言葉にも、その先の責任を考えた判断が込められています。

「お断りすれば怒られるかもしれない」。その心配から判断を変えてしまえば、受任後の責任を果たせないまま手続きを始めることになりかねません。ご本人にも事務所にも、望ましい進め方とはいえないでしょう。無料相談の段階であっても、伝えるべき結論を伝えられる関係であることが必要です。望んだ返事かどうかだけでなく、何を考えてその回答に至ったのかにも、目を向けていただければと思います。

相談の目的や範囲については、関連記事「他の事務所との比較を目的としたご相談をお受けしていない理由」でも説明しています。この記事では、その方針を前提として、お断りの後に相手を攻撃しないという、関係のあり方をお伝えしています。

正当な意見と、誹謗中傷・行き過ぎた言動の違い

事実の確認や正当な苦情まで、逆恨みとは扱わない

「説明のこの部分が分からなかった」「この事実が違って伝わっている」。こうした疑問や指摘は、相手を傷つける言動とは区別する必要があります。当事務所の対応に疑問を持つことや、具体的な事実に基づいて意見を述べることを否定しているわけではありません。事実の確認と、相手の人格を傷つける言動とでは、性質が異なります。

当事務所が問題にしているのは、受任してもらえなかったという不満を理由に、相手を傷つけたり、根拠のない内容で信用を落とそうとしたりする行為です。不満を持った人を、すべて攻撃的な人と扱う意図はありません。「気に入らない返事だった」という思いが、どのような行動に変わっているか。見極めたいのは、その点です。

主張に理由があっても、暴言や執拗な連絡は別の問題

確認したい点や意見に理由があったとしても、暴言や人格への攻撃、執拗な連絡が当然に認められるわけではありません。伝えたい内容に理由があることと、その伝え方が適切であることは、それぞれ別に考える必要があります。何を伝えているのかと、どのような手段で伝えているのか。この両方を見なければ、やり取りの問題は捉えられません。

厚生労働省のカスタマーハラスメントに関する説明も、苦情のすべてがハラスメントになるわけではないとしたうえで、言動の内容や方法、頻度、経緯などを総合的に考えるとしています。この視点は、行き過ぎた言動と正当な申入れを混同しないための参考になります。

個々の行為が法的に何に当たるかは、具体的な事情によります。当事務所への不満を表明しただけで犯罪やハラスメントになる、と申し上げているのではありません。問題は、不満という感情を根拠に、相手への加害を正当化してしまうこと。感情が切実であるほど、行動との区別を失わないようにしたいところです。

参考:厚生労働省「あかるい職場応援団」カスタマーハラスメントとは

逆恨みで受任判断を変えない、当事務所の対応方針

攻撃への際限ない対応は、ほかの依頼者への支援にも影響する

病気やけがによる生活の難しさ、不安、説明の負担。障害年金を専門にしている以上、そうした事情を考えながら対応することは大切でしょう。しかし、それを理由に「専門家は一方的な攻撃を受け続けるべきだ」と考えることはできません。支援のための配慮にも、相手の尊厳を守る前提があるはずです。相談者への配慮が必要な仕事であっても、事務所側の尊厳や安全がなくなるわけではありません。

当事務所にも、仕事を続けるための時間と集中力、そして心身の安全が必要です。すでにお受けしている依頼への責任もあります。お断りの後の攻撃に際限なく対応すれば、ほかの依頼者の大切な手続きを進めるための時間にも影響が及びます。その時間を守ることも、すでに依頼をお受けしている専門家としての責任の一部です。

受任できないと回答した後、攻撃的なやり取りを続けられても、それによって依頼をお受けできるようにはなりません。強い言葉を向けられたからといって、責任を持てる範囲が広がるわけではないからです。無理に関係を続けるより、対応を区切ることが必要な場面もあると考えています。

誹謗中傷には、記録の保存や専門家への相談を検討する

当事務所を貶める目的の言動や執拗な誹謗中傷を、いつまでも通常の相談として受け止めることはできません。やり取りや投稿の記録を残す。関係する窓口や専門家に相談する。そのような備えも含め、状況に応じて必要な対応を検討します。相談に応じる仕事であっても、信用を傷つける行為には別の対応が必要です。

警察庁も、インターネット上の誹謗中傷への対応として、掲載内容や日時、URLなどの記録を案内しています。また、書き込みの内容によっては、名誉毀損や侮辱などの責任が問題になる場合があることを説明しています。

これは、正当な批判を封じるための話ではありません。依頼を断ったという理由だけで、不当な攻撃を受け入れ続けることはできません。相談者の権利を尊重することと、事務所側の被害を放置することは別だからです。当事務所にも、自分たちの仕事と信用を守る必要があります。ご相談の事情に配慮しながらも、守るべき一線を曖昧にすることはできません。

参考:警察庁「インターネット上の誹謗中傷等への対応」

病気や障害と結びつけず、具体的な言動を考える

障問題としているのは、一部の行き過ぎた反応

この記事は、障害年金の相談者は怒りやすい、精神疾患があると逆恨みをするといった主張をするものではありません。相談する方の病名や立場だけで、言動を決めつけることはできません。特定の病名と当事務所への攻撃を結びつける根拠もなく、受任を見送る回答を残念に思いながら、受け止めてくださる方もいらっしゃいます。一部の行動から、相談者全体をひとまとめにしてはならないと考えています。

今回お伝えしているのは、あくまでも当事務所で起きている、一部の行き過ぎた反応についてです。ご本人の病名を知らなくても、執拗な誹謗中傷は問題になりますし、病名が分かったからといって、その行為が無条件に許されるわけでもありません。

ご相談の事情は個別に考え、行動の問題も具体的に捉える。その姿勢を大切にしたいと思っています。限られたやり取りから、人格や病気にレッテルを貼ることは避けなければなりません。病名が何かという問いと、どのような言動があったかという問いは、それぞれ別のものだからです。

必要な配慮を求めることと、受任を強いることを区別する

障害のために文章で説明しにくい、情報を理解するのに工夫が必要といった事情について、必要な配慮を求めること自体は、責められるものではありません。相談の場でも、障害を理由とする不当な差別的取扱いを避け、必要な合理的配慮を個別に考えることが求められます。

一方、ご希望の結論が得られないという不満から、暴言や嫌がらせで受任を迫ることは、それとは異なります。必要な配慮を求めることと、攻撃によって専門家の判断を変えさせることは、目的も方法も異なります。配慮の必要性は個別に考えながらも、行き過ぎた言動とは区別する必要があるのです。配慮すべき事情があるからといって、どのような方法で要求してもよいわけではありません。

当事務所としても、内容や伝え方に誤解がないかを振り返ることは大切にしたいと思っています。そのうえで、お互いの尊厳や業務上の限界が尊重される関係であることは、相談を続けるための前提になります。

参考:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答」

依頼を断られた後、ご自身のためにできること

行動を起こす前に、回答の事実と受け止め方を整理する

依頼を断られ、強い怒りが湧いたとき。怒りをぶつけたり誹謗中傷や業務妨害をする前に、「実際に何と回答されたのか」と「自分がどう感じたのか」を、いったん分けて整理してみると、気持ちに引っ張られすぎずに考えやすくなります。事実と受け止め方が重なっているところに気づければ、次の行動を考える手がかりになるかもしれません。

「当事務所ではお受けできないと回答された」ことと、「自分は誰からも助けてもらえない」という受け止め方には違いがあります。「自分は依頼したかった」ことと、「相手には引き受ける約束があった」ことも別です。この違いを整理できれば、次に確認するべきことも見えやすくなるでしょう。

納得できない気持ちが、すぐになくなるとは限りません。それでも、その気持ちのまま攻撃的なメールや投稿を急いで送る必要はありません。少し間を置いてから考えても、次の相談先を探すことはできます。まずは返事から少し離れ、ほかの相談先や公的な制度案内を落ち着いて確認する。その時間に変えることも、ご自身のためになる選択肢です。

1つの事務所のお断りを、すべての終わりにしない

信頼してお願いしたいと思える専門家との出会いは、大切なものです。ただ、その1人が引き受けなければすべてが終わる、と考える必要はありません。専門家を信頼していたことと、相談できる道がほかにあることは両立します。そこまで期待を背負わせてしまうと、お断りの回答が必要以上に重くなってしまいます。信頼することと、1つの事務所だけを唯一の道にすることは、分けて考えられるはずです。

当事務所が受任を見送った場合でも、別の事務所の対応範囲を調べたり、年金事務所などで制度や必要な手続きの確認をしたりすることは可能です。別の事務所へ相談する際には、お断りの理由が分かっていれば、その内容も含めて事実を伝えるとよいと思います。

断った相手に謝らせようとすることより、ご自身の生活を支える道を探すことに、時間や気力を使っていただきたいと思います。次に進むための確認や相談は、ご本人のために残されている選択肢です。障害年金を検討し始めたときの目的を、相手への怒りの中で見失わないでいただきたいと思います。次にどこへ相談するか、何を確認するか。その一歩に、力を使っていただければと思うのです。

さいごに

障害年金の依頼を断られたとき、期待が大きかった分だけ落胆することはあるでしょう。予想外の返事に、自分自身まで否定されたように感じたり、「選ぶのは自分のはずだった」と戸惑ったりすることも、怒りの背景として考えられます。けれども、その気持ちを相手への攻撃に変えてしまえば、ご本人が求めていた支援からも遠ざかってしまいます。感情と行動を分けて考えることが大切です。

心理を理解しようとすることと、逆恨みや誹謗中傷を受け入れることは別です。たった1つの社労士事務所が受任を見送ったという理由で、事務所を貶めたり、評判を落とそうとしたりする行為は、正当な反応とは考えられません。当事務所としては、大変遺憾であり、心外。その思いを、今回ははっきりお伝えしたいと思います。

当事務所への依頼がかなわなかったとしても、ほかの相談先を検討する道は残っています。当事務所のお断りは、その方の人格を否定するものでも、障害年金の支給・不支給を決めるものでもありません。

ピオニー社会保険労務士事務所が大切にしているのは、その場で喜ばれる答えよりも、事実と制度に沿い、責任を持って引き受けられるかを考えること。そのために、お受けできないとお伝えする場合もあります。お断りも含めて専門家の判断を伝えられる関係こそ、安心して手続きを進めるための土台になると考えています。

この記事を読んで、相談すること自体を怖がる必要はありません。ご自身で受給の結論を出したり、すべての経過を完璧に整理したりしてからでなければ相談できないということではないからです。当事務所の方針をご覧になり、依頼を希望される方は、無料受給判定・相談のご案内をご確認いただければ幸いです。お互いの立場を尊重しながら、ご自身にとって必要な支援を考えていけることを願っています。