「障害年金の2級を通してほしい」「2級にできるなら依頼したい」「3級では困るので、必ず2級にしてください」。
近年、当事務所では、お問い合わせの段階から希望する等級を指定し、その結果を依頼の条件とするご相談が急増しています。
10年以上前には考えられなかったような依頼のされ方に、強い違和感を覚えています。
最初に、当事務所の方針を明確にお伝えします。
障害年金の等級を指定し、その等級にすることを求めるご依頼は、一切お断りしています。
「2級を約束してくれるなら契約する」という条件に応じることもありません。
希望等級の獲得を請け負う仕事には、関わる考えがありません。
障害年金は、本人や家族が好きな等級を選び、社労士に実現させる制度ではありません。
法令や障害認定基準に照らし、実際の障害状態に基づいて認定されます。本記事では、等級指定の依頼をお断りする理由と、相談の段階では等級を確約できない事情、適切な請求に必要な考え方を説明します。
目次
障害年金の等級指定とは何か|当事務所がお断りする依頼
「2級にできるなら依頼する」という条件には応じません
本記事でいう等級指定とは、単に「自分は何級に該当する可能性がありますか」と質問することではありません。
自分が希望する等級を先に決め、その等級にすることや、その結果を約束することを社労士への依頼条件にすることを指します。
例えば、「2級で受給できるようにしてほしい」「1級になるならお願いしたい」「ほかの事務所では3級と言われたが、こちらなら2級にできるか」といった依頼です。
これでは、ご本人の障害状態を基準に照らして検討する前から、到達しなければならない結論が置かれてしまいます。
当事務所は、このような依頼のあり方に強い嫌悪感を抱いています。
専門家に依頼することを、希望する等級を購入することのように捉える考え方を受け入れられないためです。
費用を上乗せする、強く希望を伝える、ほかの事務所の回答を示すといったことで、この方針が変わることはありません。
受給への不安を相談することとは区別しています
病気やけがで働くことが難しくなり、生活費の見通しが立たなければ、「どのくらいの年金が受け取れるのだろう」と心配になるのは当然です。
家族に負担をかけている方や、治療を続けながら収入が減った方が、受給の可能性や等級の考え方を知りたいと思うこと自体を否定しているわけではありません。
「2級になる可能性を知りたい。難しい点も含めて説明してほしい」という相談と、「2級にできないなら依頼しない」という条件付きの依頼には、明確な違いがあります。
前者は資料と制度から見通しを確認する問いです。
後者は、確認作業より先に希望する結果を求めています。
ただし、言葉を丁寧に変えれば受任するという意味でもありません。
「保証」という表現を使わなくても、実質的に指定等級の実現を前提とするご依頼であれば、お断りする方針は同じです。
必要なのは言い回しの工夫ではなく、事実に基づく審査で結果が決まる制度だと理解していただくことです。
等級指定の問い合わせが増えていることへの違和感
10年以上前には考えられなかった依頼のされ方です
当事務所の相談対応を振り返ると、近年は「自分が制度の対象になるか」より先に、「2級を取れるか」「希望する等級で通せるか」という結論を求めるお問い合わせが目立ちます。
10年以上前には考えられなかったような依頼が増えているというのが、当事務所の実感です。
これは、全国の問い合わせ件数を集計した統計ではありません。
当事務所で日々相談を受けるなかで感じている変化です。
制度を知る人が増えること自体には意味がありますが、情報に触れる機会が増えた結果、等級まで自由に選べるかのような理解につながっているのであれば、看過できません。
障害年金の申請は、実態を確認して受給要件を検討する手続きです。
希望する結果を提示して、それを実現する業者を探すという順序ではありません。
この順序が逆転した依頼には、当事務所として明確に線を引く必要があると考えています。
受給事例は自分にも同じ等級が認められる約束ではありません
ホームページや動画、SNSなどで「うつ病で2級」「発達障害で2級」といった事例を見ると、自分も同じ病名だから同じ結果になると感じるかもしれません。
しかし、病名が共通していても、症状の経過、生活に必要な援助、仕事の内容、評価対象となる時期などは人によって異なります。
公開された事例には、診断書の全項目や、審査で確認された事情のすべてが掲載されているわけではありません。
個人情報に配慮して省略されている情報もあります。
記事に書かれた短い説明だけから、別の方の等級を決めることはできません。
過去の受給実績がある事務所でも、新しい依頼の結果を決定できるわけではありません。
「この社労士に頼めば同じ等級になる」という理解は、事例の役割を取り違えています。
受給事例は制度を考える参考資料であり、等級の保証書ではないのです。
障害年金の等級を決めるのは本人でも社労士でもありません
判断の物差しになるのは法令と障害認定基準です
障害年金の等級は、法令に定められた障害の程度と、国民年金・厚生年金保険の障害認定基準に基づいて判断されます。
障害の種類に応じた認定要領があり、診断書や必要な資料から、基準に該当する状態かどうかが確認されます。
ここで重要なのは、「どれほど2級を必要としているか」が等級の基準にはならないことです。
家賃や治療費の負担が重いことは生活上の切実な問題ですが、それによって障害の程度の認定基準が変わるわけではありません。
必要な年金額から逆算して等級を決める制度ではないためです。
また、2級という数字だけで、あらゆる病気の状態を同じように説明することもできません。
視覚、聴覚、肢体、精神、内科的疾患などでは確認する事項が異なります。
インターネット上の簡単な判定だけで、自分の等級が確定したと考えないことが大切です。
日本年金機構の審査によって認定されます
日本年金機構が取り扱う障害年金では、提出された診断書や請求書類などに基づき、機構の審査を通じて障害等級が判断されます。
社労士が申請書に希望等級を書いたり、電話で「2級でお願いします」と伝えたりすれば、そのとおりに決まる仕組みではありません。
法令上の裁定と実務上の審査を厳密に区別することはありますが、相談の場で理解していただきたい点は明確です。
依頼を受ける社労士には、等級を決定する権限がありません。
なお、共済組合等が取り扱う請求では窓口等が異なる場合がありますが、希望を条件に等級を選べないことは同じです。
医師も、年金の最終的な等級を決定する立場ではありません。
主治医が受給を勧めてくださることや、等級の見通しを話されることがあっても、それは支給決定そのものではありません。医学的な評価、請求の支援、行政の認定という役割を混同しない必要があります。
参考リンク:日本年金機構「障害年金の診断書を作成する医師の方へ」
「2級がほしい」より先に確認すべき年金の種類と要件
障害基礎年金には1級・2級、障害厚生年金には1級から3級があります
障害基礎年金の支給対象は1級・2級であり、3級はありません。障害厚生年金には1級から3級があります。
どちらの年金を検討するのかは、原則として初診日に加入していた年金制度などによって決まります。
現在の勤務先や、いま厚生年金に加入しているという事情だけでは判断できません。
この違いから、障害基礎年金の対象となる方が「3級では年金が出ないので2級にしてほしい」と希望されることがあります。しかし、基礎年金に3級がないことは、3級相当の状態を2級として認定してよい理由にはなりません。
支給対象となる障害の程度に達しているかどうかは、別に判断されます。
制度上の区分に納得しにくいお気持ちがあっても、社労士が加入制度を選び直したり、等級の基準を下げたりすることはできません。
相談では、まず初診日と年金加入記録を確かめ、ご本人にどの制度が適用されるのかを整理する必要があります。
障害が重いことだけで受給要件がすべて満たされるわけではありません
障害年金では、障害状態のほかに、初診日に関する要件や、必要な場合には保険料納付要件なども確認します。
「状態が2級に相当すると思う」という話だけでは、請求全体の見通しは立ちません。
等級の議論に入る前に、受給の前提となる部分の確認が必要なこともあります。
例えば、最初の受診先と現在の通院先が異なる場合、過去の受診歴を整理しなければ初診日を判断できないことがあります。ご本人が現在の病名を告げられた日と、障害年金上の初診日が一致するとは限りません。
病名だけを聞いて等級と受給を約束することができない理由の1つです。
また、障害認定日による請求なのか、事後重症による請求なのかによって、確認する障害状態の時点も異なります。
現在の症状を詳しく説明しても、それだけで過去の認定日時点の等級まで分かるわけではありません。
等級は、どの時点の状態を評価しているのかと合わせて検討するものです。
問い合わせの段階で確実な等級を判断できない理由
短い説明だけでは生活全体や医学的な状態を確認できません
お問い合わせでは、病名、通院年数、休職や退職の有無などを伺うことがあります。
しかし、「うつ病で3年通院しています」「現在は仕事をしていません」といった情報だけでは、生活全体にどの程度の制限があるのかは分かりません。
病気の重さを表す情報として十分とはいえないためです。
同じ「食事はできる」という説明でも、自分で献立を考えて買い物や調理ができるのか、家族が用意すれば食べられるのか、声かけがないと食事を抜いてしまうのかでは事情が異なります。
表面上の行動が同じでも、支援があることで成り立っている生活かどうかを確認する必要があります。
一方で、すべてを最も悪かった日の状態で説明すれば正確になるわけでもありません。
症状に波があれば、悪い日と比較的落ち着いている日の頻度や、治療後の変化も重要です。
短い問い合わせ文から、そうした時間的な経過まで確定することはできません。
診断書や検査結果などを確認する前に断定できません
診断書には、傷病名だけでなく、経過、症状、検査所見、日常生活や労働に関する評価など、その障害に応じた情報が記載されます。
ご本人の説明をうかがうことは重要ですが、それに加えて医学的な資料を確認しなければ、認定基準との関係を十分に検討できません。
例えば、ご本人は悪化したと感じていても、評価対象となる時点の記録がまだ確認できていないことがあります。
逆に、長年家族の援助を受けてきたために、本人が生活上の困難を十分に言葉にできていないこともあります。
どちらも、資料を見ずに等級を決めつけてよい理由にはなりません。
日本年金機構の認定基準でも、診断書等だけでは認定が難しい場合や、記載内容に整合性を欠く点がある場合には、必要な調査等を行う取扱いが示されています。
審査で追加確認が生じる可能性もある以上、問い合わせへの回答を確実な結果として約束することはできないのです。
資料を確認した後の見通しと結果の保証も違います
十分な資料があれば、認定基準との関係から、該当を検討できる点や難しい点について説明できる場合があります。
しかし、その説明は、審査機関に代わって決定を出すことではありません。
「可能性がある」という説明を「必ず2級になる」と読み替えないことが大切です。
経験のある社労士でも、不明な部分が残っていれば、その部分を不明と説明する必要があります。
確認が必要な資料や、判断が分かれ得る事情を示すことも専門家の仕事です。
即答できることと、正確に検討していることは同じではありません。
当事務所は、契約していただくために、確実でない等級を確実であるかのように伝えることはしません。
見通しの説明を求めることはできますが、その説明を指定等級の実現という契約条件に変えられても、お受けすることはありません。
精神の障害は点数だけで2級が確定するものではありません
等級判定ガイドラインの「目安」は保証ではありません
精神の障害に係る等級判定ガイドラインには、日常生活能力の判定と程度の評価を組み合わせた、等級の目安が示されています。
この表を見て「この評価なら必ず2級」と考える方もいますが、目安をそのまま最終結果とする理解は適切ではありません。
ガイドラインでは、診断書の記載内容等からさまざまな要素を考慮し、総合的に判断することが示されています。
表の数字だけを切り取って、病状や生活環境、療養状況、就労状況などを無視してよいわけではありません。
個別の事情によって、目安と異なる等級になる場合もあります。
そのため、「2級の位置になるように診断書の項目を選んでもらう」という考え方は順序が逆です。
先に実際の状態があり、それに基づく医師の評価があります。
受給したい等級に合わせて評価欄を埋めるための表ではありません。
働いているか、無職かという情報だけでも決まりません
精神の障害について、働いていることだけを理由に、直ちに日常生活能力が向上したと捉える取扱いにはなっていません。
仕事の種類、内容、職場で受けている配慮、意思疎通、勤務の継続状況などを踏まえる必要があります。
就労という事実を、単純な不支給の印にすることはできません。
反対に、無職であることだけで2級に決まるわけでもありません。
働いていない理由にはさまざまな事情があり、年金では障害による制限を確認します。
「退職しているから2級」「週に何日までなら2級」といった単純なルールに置き換えることはできません。
等級を意識して勤務実態を隠したり、仕事をしていないことだけを強調したりしても、適切な評価にはつながりません。
就労していれば、その働き方と支援の内容を具体的に整理します。
働くためにどのような助けが必要なのかも含め、実態を正確に伝えることが必要です。
参考リンク:日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」
社労士の役割は希望等級に合わせて事実を作ることではありません
実際の困りごとが書類から伝わるように整理します
障害年金を支援する社労士は、受診歴や年金記録を確認し、必要書類を整理し、ご本人の経過や生活状況が適切に伝わるよう手続きを進めます。
話が前後して分かりにくくなっている場合には、時期ごとに整理することが重要です。
事実が伝わらないまま申請することを避けるための支援です。
例えば、家族が毎日服薬を確認しているのに、ご本人が「薬は飲めています」とだけ説明している場合があります。
このとき、確認を受けている事実や、確認がないと飲み忘れが起きる状況を具体的に伝えることには意味があります。
実際に存在する援助を、説明から落とさないためです。
こうした整理と、実際にはない援助を追加したり、できることを一律に「できない」と書いたりすることは違います。
支援の目的は、障害を重く見せることではありません。
本人が抱える制限と、その生活を支えている条件を、読み手が理解できる形にすることです。
医師の医学的判断を指定等級に誘導することはしません
診断書は、医師が医学的判断に基づいて作成する書類です。
本人や家族が生活状況を伝えること、明らかな日付の誤りや記載の不足について確認することはあります。
しかし、希望する等級にするために症状の評価を変更するよう求めることとは区別しなければなりません。
「2級になる書き方でお願いします」「この欄を重くしてもらえば通るはずです」という働きかけを、当事務所が請け負うことはありません。
実態に基づく情報提供ではなく、結果から逆算して医学的評価を変えようとする発想には賛同できないためです。
また、主治医と本人の認識に違いがある場合も、まず何が伝わっていないのか、どの時点の状態について話しているのかを確認する必要があります。
違いがあることを理由に、直ちに医師の評価が間違っていると決めつけたり、希望する評価をする医師を探せばよいと考えたりするのは適切ではありません。
関連リンク:当事務所「障害年金の申請で社労士と精神科医は何をする?それぞれの役割と適切な関係」
等級への希望と不適切な申告を混同しないでください
2級を希望しただけで不正請求になるわけではありません
ここまで厳しい方針をお伝えしましたが、「2級を希望している」と口にしたこと自体が、直ちに不正請求になるという意味ではありません。
生活の見通しを立てたいという希望と、事実に反する申告をする行為は別です。
当事務所の受任方針と、法律上の不正の問題も分けて考える必要があります。
当事務所は、不正な内容を求められたときだけ断るという方針ではありません。
等級を指定し、その実現を依頼の条件とすること自体を受け入れていません。
「嘘を書いてほしいとは言っていない」と説明されても、指定等級にする依頼を受任する理由にはなりません。
他方、受給したい等級に合わせて、受診歴、就労状況、日常生活の状態などを事実と異なる内容にすることは、別の重大な問題です。
正当な受給の検討から外れないためにも、希望が強いことを、申告内容を変える理由にしないでください。
良い面も悪い面も含めて実態を説明する必要があります
実態を伝える際には、「全部できない」とまとめることも、「家族がしてくれるから困っていない」とまとめることも避けたいところです。
できる行為と難しい行為、援助があればできる行為を分け、どのくらいの頻度で、どのような支障があるのかを具体的に整理します。
例えば、外出できる日があるなら、その事実を隠す必要はありません。
同時に、同行者が必要なのか、通院以外は難しいのか、外出後に長時間休む必要があるのかなど、実際の条件も大切です。
行動の有無だけでなく、その行動がどのように成り立っているかを説明することに意味があります。
家族が説明を補う場合も、ご本人の状態を正確に理解するための補足にとどめる必要があります。
家計に必要な金額や家族の希望を先に置いて、ご本人の生活を一定の等級に当てはめることは避けてください。
本人の実際の状況を中心に据えることが、請求を考える際の基本です。
認定された等級に納得できない場合にも正当な手続きがあります
不服申立ては希望等級を約束してもらう手続きではありません
決定内容に疑問がある場合、審査請求などの不服申立てを検討できることがあります。
実際の状態が適切に評価されているか、認定基準の適用に問題がないか、提出した資料に何が記載されているかなどを確認することには意味があります。
最初の決定に疑問を持つこと自体を否定するものではありません。
ただし、不服申立ては「希望した等級ではなかったから、その等級にしてもらう」という注文のやり直しではありません。
どの判断に、どのような理由で不服があるのかを整理し、資料や基準との関係から主張する手続きです。結果を約束できない点は、最初の請求と同じです。
当事務所の方針も変わりません。
「審査請求で必ず2級にできるなら依頼したい」といった、等級指定を条件にするご依頼はお断りします。
なお、不服申立てには期限があるため、通知を受けた後に検討する場合は、決定通知書の案内や担当窓口で速やかに確認することが大切です。
決定後の悪化は当初の判断への不服と分けて考えます
決定時の状態をどう評価したかという問題と、その後に障害が重くなったという問題は別です。
受給中に障害の程度が増進した場合には、要件に応じて額改定請求を検討することがあります。
どの手続きが適切かは、悪化の時期や現在の受給状況などを確認して判断します。
「いまは以前より重くなった」という資料があることと、「前の決定も必ず誤りだった」ということは同じではありません。いつの状態について判断を求めるのかを整理しなければ、必要な診断書や主張の内容も定まりません。
手続きの名称だけを先に選ばないようにしましょう。
また、額改定請求を行えば希望する等級に上がるわけでもありません。
請求できる時期等の条件を確認したうえで、実際の障害状態が基準に該当するかが審査されます。
「等級を上げる方法」という情報を、結果が保証された手段として受け取らないことが必要です。
参考リンク:日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」
参考リンク:日本年金機構「障害の程度が重くなった場合はどうすればいいですか。」
障害年金の等級指定についてよくある質問
障害者手帳が2級なら年金も2級にできますか
障害者手帳と障害年金は別の制度であり、等級が自動的に連動するわけではありません。
身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳等の等級があっても、その数字をそのまま年金の等級として指定することはできません。
年金では年金の認定基準により判断されます。
手帳の情報が状況を知る参考になることはありますが、手帳の等級だけで年金の受給要件や診断書の内容まで確認できるわけではありません。
「手帳が2級だから年金も2級にしてほしい」というご依頼にも、当事務所は応じません。
異なる制度の結果を保証の根拠にしないでください。
主治医から2級くらいと言われていても保証はできませんか
主治医の見解は、病状や医学的な評価を理解するうえで大切な情報です。
しかし、その言葉だけで年金の等級が決定したことにはなりません。
実際に作成される診断書の内容や、ほかの資料、初診日等の受給要件を確認する必要もあります。
社労士が「医師が言っているので確実です」と保証することはできません。
また、医師の言葉を根拠に、当事務所へ2級の実現を依頼条件として提示されても、受任方針は変わりません。
医学的な見通しを参考にすることと、最終結果を確約することは分けて考えてください。
3級だと生活できない事情があれば2級になりますか
生活が苦しい事情だけで、年金の障害等級が引き上げられるわけではありません。
年金額の不足という問題と、障害の程度がどの等級に該当するかという問題は異なります。
生活上の不安が大きいからといって、社労士が認定基準を変更することもできません。
家計の問題は切実ですので、利用できるほかの支援について、お住まいの自治体等の相談窓口で確認することも考えられます。
ただし、その切実さを理由に「だから必ず2級にしてほしい」という依頼にすることはできません。
当事務所は、生活費から逆算した等級指定にも応じません。
ほかの社労士が2級にできると言っていても断られますか
当事務所は、ほかの事務所の発言を確認していない段階で、その真意や業務の適否を断定することはしません。
「可能性がある」という説明を、相談者が「必ずできる」と受け取っている場合も考えられます。
言葉の一部だけを比較しても、判断の前提が同じとは限りません。
そのうえで、ほかの事務所の回答がどうであっても、当事務所が指定等級を約束することはありません。
「他ではできると言われたから、そちらも同じ条件で」というご依頼はお断りします。
他者の発言によって、当事務所に等級を決める権限が生じることはないためです。
等級指定で断られたら障害年金を請求できないのでしょうか
当事務所が受任を断ることと、ご本人が制度上の受給要件を満たすかどうかは別です。
依頼条件が当事務所の方針と合わないという理由でお断りしたことだけで、年金の請求権が失われるわけではありません。
自分で請求を進めることも制度上可能です。
ただし、どの方法で請求する場合も、希望等級を自由に選べない点は変わりません。
当事務所の方針を別の窓口で交渉し直す話ではなく、制度の要件と実際の状態を確認する話として捉える必要があります。
相談先が変わっても、事実に基づいて請求するという基本は共通です。
相談で伝えていただきたいのは希望等級より具体的な事実です
受診歴と生活上の困難を時系列で整理してください
障害年金の検討を始める際は、最初にどのような症状で受診したのか、その後どこに通院したのか、休職や退職はいつか、といった経過を整理することが役立ちます。
日付が不確かなところは、記憶に合わせて断定せず、不明であることをそのまま伝えてください。
生活面では、食事、清潔の保持、金銭の管理、通院、対人関係などについて、何が難しく、誰がどのように支えているかを具体的に整理します。
身体の障害等であれば、その障害に関する検査や動作の状況なども確認します。
「2級くらい大変」という等級を使った説明より、実際の場面が分かる説明が必要です。
勤務している方は、勤務時間や仕事内容だけでなく、欠勤の状況、担当業務の変更、周囲の補助なども事実に沿って伝えてください。
ただし、問い合わせのために資料を作り込んだからといって、直ちに等級が確定するわけではありません。
確認すべき点を整理するための情報と考えてください。
希望する結果と確認できる事実が異なる可能性を受け止めてください
検討を進めると、想定していた初診日とは異なる日が問題になったり、現在の状態だけでは希望する等級の見通しを立てられなかったりすることがあります。
自分に都合のよい説明だけを採用しても、制度上の問題が解消するわけではありません。
難しい事情も含めて確認する姿勢が必要です。
当事務所が重視するのは、依頼者の希望に沿う言葉を返すことではなく、適用される制度と確認できる事実を踏まえて検討することです。
診断書の作成が可能か、いつの状態を請求するか、説明に不足がないかといった確認には、それぞれ意味があります。
結果だけを求めて、その過程を省くことはできません。
これは、希望を口にしてはいけないという要求ではありません。
希望と事実を区別し、指定した等級の実現を社労士の仕事として要求しないでいただきたいということです。
当事務所の方針に合わない場合には、受任には至りません。
等級の約束を求めるためのお問い合わせはお控えください。
さいごに
障害年金は、自分で等級を選んで受給する制度ではありません。
等級の判断は、法令や障害認定基準に基づく審査によって行われます。
問い合わせの段階で確実な等級を判断することはできず、社労士が指定された等級を実現する権限もありません。
当事務所は、「2級を通してほしい」「希望する等級にできるなら依頼する」といった、等級指定を条件とするご依頼を一切お断りしています。
このような依頼のあり方を受け入れるつもりはなく、希望等級の獲得を請け負う仕事には関わりません。
受給への不安や生活の悩みがあるからこそ、最初に確かめるべきなのは、ご本人の受診歴、年金記録、障害状態、生活や就労の実態です。
希望する等級を先に決めるのではなく、制度と事実から受給の可能性を検討することが、障害年金を適切に請求するための出発点になります。
