人工透析は、腎臓の機能を人工的に補う治療法です。
腎臓に疾患のある方にとっては、生命を維持する上で欠かせない治療となりますが、継続的かつ長期的な医療行為が必要となるため、必然的に医療費が高額になります。
そこで役立つのが、支援制度です。
今回は、人工透析でもらえるお金や、対象となる支援制度について詳しく解説していきます。
人工透析の費用負担を可能な限り軽減したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
人工透析でかかる費用と経済的負担の現状
人工透析でもらえるお金と支援制度について解説する前に、まずは人工透析にかかる費用目安と経済的負担の現状について詳しく見ていきましょう。
人工透析1回あたりの費用目安
人工透析1回あたりの費用は、平均で約3万円前後といわれています。
仮に週3回のペースで通院する場合、1カ月に12~13回の治療が必要となり、費用は単純計算で月間36万円、年間では400万円を超える計算になります。
健康保険が適用されるため、自己負担額は原則3割(高齢者や低所得世帯は1~2割)に軽減されますが、どれだけ安く見積もっても1回あたり1万円前後の出費となるため、長期的には大きな負担です。
また、人工透析には血液透析(HD)と、腹膜透析(PD)があり、治療法によっても費用に差が出ます。
血液透析では通院に伴う交通費が発生し、腹膜透析では在宅治療用の消耗品費がかかります。
いずれにしても、毎月一定の医療費が必要となるため、もらえるお金や利用できる支援制度についてしっかり調べておくことが大切です。
支援制度を利用しない場合は経済的負担が大きくなる
支援制度を利用せずに人工透析を受ける場合、医療費だけでなく、生活全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
1回あたり3万円の自己負担が続けば月間36万円、交通費や衣料品費を含めれば実際の支出はそれ以上に膨らみます。
さらに、透析のために勤務時間を短縮したり、退職したりせざるを得ないケースもあり、収入源と支出増が同時に起こることも珍しくありません。
こうした経済的リスクを回避するために、国や自治体では複数の支援制度を用意しています。
制度を正しく活用すれば、実質的な自己負担額を抑えやすくなりますので、積極的に活用していきましょう。
人工透析でもらえるお金・利用できる支援制度一覧
人工透析は生命維持に欠かせない治療ですが、同時に経済的負担が大きくなりやすい治療でもあります。
そんな経済的負担を可能な限り軽減するためには、以下のような支援制度を利用するのがおすすめです。
・障害年金
・高額療養費制度
・自立支援医療制度
・特定疾患医療費制度
・自治体の独自支援
障害年金
人工透析を受けている方の多くが対象となるのが、障害年金です。
透析を受け始めてから3カ月以上経過した時点で「障害等級2級」と認定されるケースが多く、基礎年金または厚生年金として定期的に給付を受けられます。
認定には「初診日の証明」や「保険加入状況の証明」などの他、やや複雑な手続きも必要になりますが、社会保険労務士に依頼することもできるため、自分での手続きに不安を感じる方は、ぜひプロへの依頼を検討してみてください。
高額療養費制度
透析治療では、毎月の医療費が高額になる傾向がありますが、高額療養費制度を活用すれば、自己負担上限を超えた分があとから払い戻されます。
所得区分に応じて上限額が決められており、月ごとの医療費を一定額に抑えられるのが大きなメリットです。
一旦立て替えて、あとから請求することもできますが、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払い額を減らせます。
自立支援医療制度
精神疾患や慢性疾患など、長期治療が必要な方を対象にしたのが「自立支援医療制度」です。
人工透析は「厚生医療」に該当するため、自己負担割合が原則1割まで軽減されます。
市区町村へ申請することで適用され、世帯所得や障害区分によって上限額が設定されます。
他の制度との併用も可能となっているため、経済的負担の軽減に繋げやすいです。
ただし、障害者手帳の取得が前提となりますので注意してください。
特定疾患療養費制度
腎不全など、一部の慢性疾患は「特定疾患療養費制度」の対象になる場合があります。
これは、長期間の高額治療が必要な病気に対する自己負担額を軽減する制度です。
月の自己負担を1万円(高所得者は2万円)に抑えられるため、透析患者にとっては非常に役立つ制度といえます。
自治体の独自支援
多くの自治体では、透析患者などを対象とした独自の支援制度を設けています。
例えば、福祉タクシー券の配布・通院費の一部助成・医療費補助などです。
地域によって内容や条件が異なりますが、利用することで経済的な負担を軽減できます。
公的制度はもちろん、このような地域の支援制度の利用も経済的負担の軽減に繋がるため、積極的に活用していきましょう。
人工透析の障害年金申請は意外と大変?
人工透析を行っている方は、障害年金の受給対象です。
障害年金を受給することで、経済的な負担を軽減しやすくなります。
ただ、障害年金の申請は想像以上に大変です。
中でも苦戦しやすいのが、初診日の証明と手続きです。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
初診日の証明が重要
人工透析の障害年金申請では「初診日の証明」が最大のポイントです。
腎臓の疾患は、最初に症状があり、その後時間をかけて進行して人工透析に至るというケースが多く、初診日が10年以上前になることも珍しくありません。
この場合、初診日にあたる病院のカルテがすでに残っておらず、初診日が証明できなくなってしまうこともあります。
初診日が証明できなければ、障害年金は受給できません。
そのため、何としてでも初診日を証明する必要があるのです。
手続きが複雑
障害年金を受給するためには、所定の手続きを行わなければなりません。
手続きを行うためには、診断書や病歴・就労状況等申立書、受診状況等証明書といった複数の書類を揃える必要があります。
先ほども解説したように、腎臓の疾患は初診から治療までの経過が長期にわたるため、医療機関をまたいで資料を集めることも多くなります。
少しでも不備があると、受理してもらえなくなるため、慎重に進めることが大切です。
スムーズに手続きを行いたい場合は、障害年金に精通した社会保険労務士に依頼するのがおすすめです。
そうすることで、時間と手間を省きつつ、素早く申請を行えるようになります。
人工透析の障害年金申請を自分で行うメリット、デメリット
人工透析の障害年金申請は、自分で行うことも可能です。
しかし、手続きを進める上での注意点やリスクを理解しておかないと、申請が通らず支給までの期間が大幅に伸びてしまう可能性が高くなるため注意が必要です。
ここでは、障害年金の申請を自分で行うメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。
メリット
障害年金の申請を自分で行うメリットは、費用を抑えられる点です。
社会保険労務士に依頼する場合、少なからず費用がかかりますが、自分で行えば費用を最小限に抑えられます。
日本年金機構の公式サイトや、自治体の相談窓口で必要な書類や記入方法を確認できるため、気になる方はぜひチェックしてみてください。
デメリット
障害年金の申請を自分で行うデメリットは、以下2つです。
・手続きが煩雑であること
・書類不備による不支給(却下)リスクがあること
人工透析の申請では、初診日の証明や診断書の内容確認など、細かい要件を整理する必要があります。
例えば、初診日がかなり昔であり、すでにカルテが残っていない場合、他院の受診記録や健康保険記録などを組み合わせて証明を行わなければなりません。
しかし、これらを個人で行うのはとても時間がかかります。
また、内容に不備があると申請が受理されず、支給までに時間がかかってしまうこともあります。
場合によっては、自分で手続きをしたことが原因で不支給もしくは却下になってしまこともあるため、慎重に検討していきましょう。
人工透析の障害年金申請をプロに依頼するメリット、デメリット
人工透析の申請は自分でも行えますが、スムーズかつ安心して手続きを進めたい場合は、障害年金に精通した社会保険労務士に依頼するのがおすすめです。
ここでは、申請をプロに任せるメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。
メリット
障害年金の申請を社会保険労務士に依頼するメリットは、以下の通りです。
・時間と手間を軽減できる
・スムーズに申請できる
・不支給や却下リスクを軽減できる
その道のプロに依頼することで、書類の準備から手続きまでをスムーズに進められます。
初診日の証明が難しい場合でも、社労士が代わりに証拠書類を探し、保険証の履歴や紹介状などから初診日を立証してくれるため、時間と手間を軽減できます。
また、病歴・就労状況等申立書の書き方なども社会保険労務士が作成するため、不支給や却下リスクを軽減したい場合にもおすすめです。
デメリット
社会保険労務士に障害年金の申請を依頼するデメリットは、費用がかかることです。
実際の費用や費用形態については、依頼する社会保険労務士によっても異なりますが、自分で申請するよりは高額な費用がかかります。
とはいえ、必要な書類や準備を任せられる点や、アドバイスを受けられる点などを考慮すると費用対効果は高いといえます。
人工透析を行いながら、障害年金の申請を進めるのはなかなか大変ですので、素早くそして安心して申請を行いたい方は、ぜひプロへの依頼を検討してみてください。
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人工透析の障害年金申請には、専門的な知識が求められます。
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まとめ
人工透析は、生命維持に欠かせない治療である一方、医療費や交通費といった経済的負担が重くのしかかります。
しかし、障害年金や高額療養費制度、自立支援制度や自治体の独自支援などを活用することで、経済的負担を軽減しやすくなります。
中でも、障害年金は人工透析を行っている方にとって、非常に役立つ制度です。
しかし、障害年金を受給するためには、申請を行わなければなりません。
自分で手続きを進めることもできますが、人工透析を行っている方の場合「初診日の証明」が難しくなるケースが多いです。
そんなときは、ぜひピオニー社会保険労務士事務所にご相談ください。
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