障害年金をもらえない人とは?支給要件からよくある質問まで解説

障害年金の申請をしたいけれど、申請に必要な要件や必要書類が分からずに申請を諦めている方は少なくありません。

実際、障害年金の申請手続きはとても複雑なため「申請しても支給されないのでは?」と不安になる方も多いと思います。

そこで今回は、障害年金の申請を検討している方のために、障害年金をもらうための要件もらえない人に関するよくある質問、申請方法を解説していきます。

併せて障害年金について相談できる窓口も紹介しているので、この記事を最後まで読めば障害年金の申請に対する不安が解消され、申請の準備までできるようになりますよ。

障害年金の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

障害年金の基本を解説

まず初めに障害年金の基本として、「障害年金の種類」「障害年金の支給額」について解説します。

1つずつ解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

障害年金の種類

障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類があります。

どちらの障害年金を受給できるかについては、初診日(障害の原因となった傷病で初めて病院を受診した日)にどの年金制度に加入していたかによって変わります。

初診日に国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」が、初診日に厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が支給されます。

障害基礎年金は障害等級1〜2級までの方が対象で、障害厚生年金は障害等級1〜3級までの方が支給対象です。

また、障害厚生年金の対象者で障害等級1、2級に該当する場合は、障害基礎年金も併せて支給されます。

障害年金の金額

障害年金の金額は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」でそれぞれ受け取れる金額は異なります。

ここでは、障害基礎年金の金額について紹介します。

障害基礎年金の支給額は以下のとおりです。

障害等級1級 993,750円
障害等級2級 795,000円

18歳年度末(高校卒業時)までのお子さんがいる場合は、以下の金額が加算されます。

2人まで 1人につき228,700円
3人目以降 1人につき76,200円

等級や扶養家族によって金額は異なるので、申請前に自分がいくらもらえるのか確認しておきましょう。

また障害厚生年金の金額については、以下の記事で詳しく解説しているのでご参考ください。

【令和4年度版】障害年金でもらえる金額について

障害年金をもらうための3つの要件

ここからは、障害年金をもらうための以下の3つの要件を解説していきます。

  • 初診日要件
  • 保険料納付要件
  • 障害状態該当要件

上記の要件を1つでも満たしていないと、障害年金はもらえません。

特に初診日要件や保険料納付要件を満たしていないと、却下(門前払い)となり、審査に進むことができませんので、まずはしっかりと確認することが重要です。

初診日要件

病気になって初めて病院に行った日が国民年金や厚生年金の被保険者期間中であることが、受給要件の1つです。

これを初診日要件といい、障害の原因となった傷病で初めて医療機関を受診した日になります。

具体例は以下のようになります。

  • 7月1日:心臓が痛くなり初めて病院を受診する
  • 7月7日:精密検査で心臓疾患が判明し心臓病の診断を受ける
  • その後:心臓病が原因で仕事に支障が出たため障害年金を申請

上記の場合だと7月1が初診日になり、この日に被保険者期間中であった場合は障害年金を受給できます。

保険料納付要件

障害年金を受給するなら、以下のいずれか1つの保険料納付要件を満たしている必要があります。

初診日がある月の2ヶ月前までに、

  1. 保険料納付要件の原則は加入期間の3分の2以上納めている
  2. 直近1年間に滞納期間がない

国民年金や厚生年金の被保険者期間中であっても、上記のうちいずれか1つの納付条件を満たしていないと、障害年金の申請はできません。

ただし例外として、20歳前に初診日がある場合は保険料を支払えないので納付要件は問われません。

障害状態該当要件

障害年金を受給する場合、障害状態該当要件を満たすことが必要です。

障害状態該当要件とは、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害状態にあることです。

なお障害認定日とは、初診日から1年6ヶ月経過した日、またはその期間内にその傷病が治った日のことをいいます。

具体的には、以下の障害等級の診断を受けた方のみが支給対象となります。

  • 障害基礎年金:障害等級1級、障害等級2級
  • 障害厚生年金:障害等級1級、障害等級2級、障害等級3級

また、障害厚生年金には障害等級3級に満たない場合、条件に該当すれば一時金として「障害手当金」がもらえます。

ちなみに、障害等級は日本年金機構の認定医が審査した上で決定します。

障害年金でもらえない人に関するよくある質問

障害年金の申請はとても複雑なため、「どのケースがもらえるのか、もらえないのか」気になる方も多いと思います。

そこでここからは、障害年金でもらえない人に関するよくある質問をいくつか解説します。

障害年金は働いていてももらえますか?

障害年金はアルバイトはもちろん、一般の方のようにフルタイム勤務で働いても支給されます。

ただし障害によっては、フルタイム勤務やアルバイトをしていると認定されないケースもあります。

例えば、精神疾患の場合は、働けていることで障害の状態が軽いとみなされてしまうことがあります。

ただし、その方の状況によってケースバイケースになりますので、働いている方が障害年金を受給を検討している場合には、専門の社労士に相談されたほうが安心です。

働きながら障害年金はもらえるの?受給者の約28%が就労者です

障害年金は更新しないと継続してもらえませんか?

障害年金は「永久認定」と「有期認定」の2種類があり、有期認定の場合は定期的に更新手続きをしないと障害年金は継続してもらえません。

更新の期間は障害の種類によって異なり、1〜2年ごとに更新が必要な人もいれば5年に一度の頻度で更新が必要な人もいます。

更新の時期になったら、日本年金機構から障害状態確認届(診断書)が届くので、医師と病状を確認したうえで「診断書」欄を記入してもらい提出しましょう。

障害者手帳を持っていなくても支給されますか?

障害年金と障害手帳はまったく別の制度になりますので、「障害手帳をもっていない」からといって、障害年金が受け取れないということはありません。

障害年金は日本年金機構が審査を行い、障害者手帳は各地方自治体が審査をするといった決まりがあり、審査の体制は全くの別体制です。

しかし、障害者手帳の等級は障害年金を受給する上で参考になることがありますし、取得していると様々なサービスを受けることができますので、持っていることはよいと思います。

障害年金の申請方法

ここからは、障害年金「申請に必要な書類」「申請先」について解説します。

障害年金の申請には、多数の書類が必要で障害年金の種類によって申請先も異なります。

1つずつ解説していくので、障害年金を申請する際の参考にしていただけると幸いです。

申請に必要な書類

障害年金の申請に必要な書類は以下の7つです。

障害年金の申請に必要な書類
  • 年金請求書
  • 基礎年金番号の分かるもの(年金手帳など)
  • 世帯全員の住民票
  • 医師の診断書
  • 受診状況等診断書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 受取先の金融機関の通帳等
  • 印鑑
  • 請求者本人の所得証明書(20歳前障害の場合)

障害基礎年金、障害厚生年金ともに上記の書類が必要です。

年金請求書、診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書は年金事務所または年金相談センターの窓口でもらえます。

診断書は障害認定日より3ヶ月以内の現症日で作成されているもの、もしくは申請日以前3ヵ月以内の現症日で作成したものを提出する必要があります。

受診状況等証明書は初診日を証明するための書類で、病歴・就労状況等申立書は障害の状態や日常生活における支障等を自分の言葉であらわす書類です。

書類の数が多くて大変かと思いますが、1つでも足りないと認定されないので事前にしっかり準備してそろえておきましょう。

申請先

障害年金の申請先は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」で申請先が異なります。

以下にそれぞれの申請先をまとめましたので、ご参考ください。

障害基礎年金の申請先 障害厚生年金の申請先
住所地のある市区町村の国民年金課 お近くの年金事務所または年金相談センター

このように、障害年金の種類によって申請場所が異なるので申請する際は注意しましょう。

障害年金の申請について相談できる窓口

最後に、障害年金の申請について分からないことがあるときに、相談できる以下の2つの窓口を紹介します。

  • 年金事務所や市区町村役場
  • 社労士

障害年金の申請は複雑なため、不安な方は相談してから申請することをおすすめします。

1つずつ解説していくので、参考にしてみてください。

年金事務所や市区町村役場

障害年金を相談にできる窓口の1つ目は、年金事務所や区役所などの最寄りの自治体です。

市役所や区役所には、無料で障害年金について相談できる窓口があるので、まずは電話で相談できる窓口について聞いてみましょう。

基本的な手続き方法や必要書類の集め方などを、詳しく教えてもらえます。

ただし、申請について1から10まで徹底的にサポートしてもらえる可能性は低いので、あくまで相談する場所として活用してみてください。

社労士

障害年金を専門に扱っている社労士も障害年金の申請について相談できる窓口の1つです。

障害年金の複雑な申請方法や、障害年金が受給できるか不安な方は社労士の相談も検討しましょう。

社労士に申請の代行を頼めば、手間が省けるのはもちろん以下のようなメリットがあります。

社労士の申請代行を依頼するメリット
  • 複雑な申請手続きをすべて任せられる
  • 不支給の可能性を最小限に抑えられる
  • 受給開始が早くなる可能性がある
  • 更新の時にも相談ができる

障害年金の申請に不安がある方は、社労士も参考にしてみてください。

さいごに

今回は、障害年金の基本をはじめ、申請要件やもらえない人に関するよくある質問について解説しました。

障害年金は申請方法は非常に複雑です。

そのため、申請要件をきちんと理解し必要な書類をすべてそろえて申請しないと、受給すべく等級で正当に受給できなくなります。

もし、障害年金の申請に不安がある方は、最寄りの年金事務所や自治体の窓口や障害年金を専門とする社労士への相談することをおすすめします。