うつ病の回復には、休養を取って心身ともに休むことが何より大切です。
しかし、さまざまな事情から、うつ病の治療と仕事を両立して働く人もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、うつ病を抱えながら仕事を続ける方に向けて、
- うつ病の原因
- 仕事を続ける上で気をつけるべきこと
- 仕事で支障が出たときに対応
などについて解説します。
うつ病を抱えながら仕事を続ける方法で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
うつ病の原因とは?
うつ病を発症する原因は、まだ全容は解明されていませんが、一般的には、心理的ストレスや、脳内の神経物質の変化が大きく関係しているとされています。
心理的ストレスとは、過労や人間関係のトラブル、離婚や死別といった生活上のさまざまな問題が原因となるストレスのことです。
ただし、ストレスの要因はネガティブなものに限りません。
例えば、「昇進」や「結婚」といった喜ばしい出来事であっても、環境の変化に大きなストレスを感じる場合、心理的ストレスの要因となります。
そして、これらの心理的ストレスによって、脳内にある「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といった神経伝達物質の働きが悪くなることで、うつ病が発症すると考えられています。
さらに、性格タイプもうつ病を発症する要因のひとつです。
うつ病になりやすい性格タイプの人としては、以下のような傾向にあります。
- 真面目で責任感が強い
- 几帳面で完璧主義
- 他人への配慮を大切にする
このような性格タイプの人は、仕事を頑張りすぎてしまったり、ストレスをため込んでしまったりしやすいため、うつ病を発症しやすいことが分かっています。
うつ病を抱えながら仕事を続ける上で気をつけたい5つのこと
うつ病と仕事を両立するためには、ストレスをためないようにしたり、症状のことを理解したりといくつか注意点があります。
そこでここからは、うつ病を抱えながら仕事を続ける上で気をつけたい5つのことをご紹介します。
生活リズムを整える
まずは、生活リズムを整えることが大切です。
生活リズムが乱れていると、疲れやストレスがたまり、うつ病の症状が悪化してしまう可能性があります。
そのため、夜は早めに寝る、バランスの取れた食事を摂るなど、生活リズムを整えましょう。
また、日中は適度な運動や外出する機会を設けて、太陽の光を浴びることも効果的です。
気分の浮き沈みがあることを理解する
うつ病には、気分の浮き沈みがあることを理解するのも大切です。
うつ病の症状には、午前中は抑うつ気分が強く、お昼から夕方にかけて徐々に抑うつ気分が軽くなる傾向が多いです。
人によっては、午前中気分が良く、夕方にかけて気分が重くなる場合もあります。
調子が良かったのにまた抑うつ気分が強くなると、「早く治したいのに、また症状が悪化してしまった…」と不安や焦燥感を感じてしまうこともあると思います。
しかし、うつ病には気分の浮き沈みがあることを理解して、焦らずに1歩ずつ克服していくことが重要です。
悩みを一人で抱え込まない
悩みを一人で抱え込まないこともうつ病を抱えながら仕事をする上で大切です。
うつ病は孤独感を感じやすい病気なので、周囲にうつ病や仕事、プライベートの悩みを話せる人がいると、ストレスの緩和につながります。
特に、職場にうつ病のことを理解してくれる人がいると、非常に心強いです。
しかし、周囲に理解してもらえる人を作ることはなかなか難しい場合もあるかと思います。
そのような場合は、医師やカウンセラーの方などに相談してみることもおすすめです。
無理をしない
心身の調子が優れないときは、無理をせず休むようにしましょう。
無理をしてうつ病気の症状が悪化すると、回復にも時間がかかってしまいます。
長く仕事を続けていくためにも、調子が悪いときは勇気を持って休むようにしましょう。
すぐに病気を治そうと焦らない
うつ病はすぐに調子が良くなるものではありません。
うつ病を抱えながら仕事を続ける場合、症状の影響で作業効率が下がったり、疲れが取れなかったりと、思うようにいかないことも多いです。
このような状態を早く抜け出したいと思い、うつ病を早く克服したいと焦りを感じることも少なくありません。
しかし、その焦りがプレッシャーとなり、状態が良くならないと落ち込んだり、症状を悪化させてしまうことがあります。
「すぐに治そう」と焦るよりも、時間をかけてゆっくりと治そうと前向きに捉えた方が、少しずつ病気の回復へと近づきます。
うつ病を抱えながら仕事を続ける際は、ゆっくりと時間をかけて治療を進めることが大切です。
うつ病で仕事に支障が出たときに取るべき対応
最後に、うつ病で仕事に支障が出たときに取るべき対応についてご紹介します。
病院での診断を受ける
うつ病は他の病気と同じく、早く治すためには早期治療が重要です。
しかし、うつ病は自分では気づくのが難しいことも多く、日々の仕事を優先して気づいたら症状が悪化している場合もあります。
そのため、うつ病の症状が出てきたら、早めに専門の病院で診断を受けましょう。
特に、うつ病の思考力と判断力が鈍ってしまうため、自分自身ではまだまだ働けると思っても、専門家の目からみると、すぐにでも治療をした方がいい状態のケースもあります。
症状が悪化して長期療養が必要になる前に、うつ病の症状が気になり始めたら、まずは専門の医師やカウンセラーに相談してみましょう。
無理をせず休職する
仕事を続けながらうつ病を克服しようと頑張ってみたものの、仕事に支障が出てきた場合は、無理をせず休職を検討しましょう。
特に、医師から「休職を要する」と診断書が発行された場合は、無理をせずにすみやかに休職することが大切です。
休職で長期間休むことに抵抗がある方もいるかもしれませんが、一定期間、仕事から離れて治療に専念することによって、病気の早期回復につながります。
復職支援を活用する
休職をして心身の調子が良くなり、医師から復職の許可が出たら復職の準備をゆっくりと進めましょう。
うつ病の休職期間の目安については、こちらの記事をご参照ください。
この復職というのは、現在の職場への復帰だけでなく、場合によっては転職も検討することも含まれます。
うつ病の方の復職・転職活動は、健康的な人と比べて考慮しなければならないことが多いため、「復職支援(リワーク支援)」を活用することがおすすめです。
復職支援とは、社員が傷病などの休職からスムーズに職場復帰するための事業所、病院、公的機関による支援体制やプログラムのことです。
復職支援では、障害福祉や就労について幅広い知識と経験を持つスタッフのサポートを受けることができます。
復職支援を実施している施設は、主に下記の施設が挙げられます。
- 障害者職業センター
- 精神保健福祉センター
上記以外にも、精神科などの病院でも支援を実施しているところもあるため、まずは気になる機関に相談してみることをおすすめします。
さいごに
うつ病はストレスだけでなく、環境の変化、身体の病気などさまざまな原因が重なって発症します。
うつ病を抱えながらでも、仕事内容や人間関係、職場環境などを会社と相談して調整ができれば、うつ病を抱えながらでも仕事を続けることが可能です。
しかし、無理をして仕事を続けた場合、症状が悪化してしまうケースもあります。
うつ病の症状が出たら、専門の医師やカウンセラーなどにまずは相談するようにしましょう。