障害年金を請求したくても、必要書類がわからなくて「請求ができてない!」とお悩みの方は多いはずです。
実際、障害年金請求の必要書類はとても多くて複雑です。集めてみたものの「本当にこれで合っているのか」の不安を感じている方もいるでしょう。
そこで今回は障害年金請求でお悩みの方に向けて必要書類の種類や提出先、よくある質問などを詳しく解説していきます。
目次
障害年金請求のための必要書類は多くて複雑!
まずは障害年金を請求するための必要書類を見てみましょう。
- 年金請求書
- 年金手帳または基礎年金番号通知書等
- 診断書
- 受診状況等証明書
- 病歴・就労状況等申立書
- 障害年金を受取る金融機関の通帳等
上記は障害年金を請求するのに最低限の必要書類で、本人の状況によって提出書類が増えることがあります。また障害や加入している年金によって書類の様式が違うこともあるので、とても複雑です。
医師に作成してもらう書類
障害年金を請求するための必要書類の中には、主治医に依頼して作成してもらう書類が2つあります。
- 診断書
- 受診状況等証明書
診断書
診断書には「障害認定日より3ヶ月以内の治療中であるケガや病気のこと」を記載してもらう必要があります。
障害認定日とは「障害の状態を定める日」のことで、その障害になった原因である病気やケガの初診日から1年6ヶ月経過した日のことです。もしくは1年6ヶ月以内にその症状が固定された場合はその日のことを言います。
また障害年金を請求するときの診断書には障害別に8種類の様式があるため、自分の障害に合った様式を選ばなくてはいけません。
- 眼の障害
- 聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害
- 肢体の障害
- 精神の障害
- 呼吸器疾患の障害
- 循環器疾患の障害
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害
- 血液・造血器・その他の障害
さらに、診断書と一緒に心電図やレントゲンフィルムの提出を求められるケースもあります。
受診状況等証明書
初診日の確認をするための書類です。ただし、初診時と診断書の作成を依頼する病院等が同じ場合や知的障害で療育手帳の写しが提出できる場合は必要ありません。
作成は最初に受診した病院等に依頼しましょう。もし初診の病院等で証明が取得できない場合は2番目に古い病院等に作成を依頼します。
2番目がだめなら3番目、3番目がだめなら4番目といったように古い順番に当たっていきましょう。
しかしカルテがないなどの事情で、受診状況等証明書が取得できない場合もあります。そのようなときは本人や家族などが「受診状況等証明書が添付できない申立書」記入し、初診日を証明できる資料の写しを添付して提出します。
ただし、その場合は必ずしも初診日が認められるとは限りません。
自分で用意する書類
障害年金請求の必要書類は、自分で用意しなければならない書類もあります。
- 年金請求書
- 病歴・就労状況等申立書
- 年金手帳または基礎年金番号通知書等
- 本人確認ができる書類
- 障害年金を受取る金融機関の通帳など
年金請求書
年金請求書は初診日に加入していた年金によって提出する様式が異なります。
- 国民年金の場合・・・年金請求書(国民年金障害基礎年金)様式第107号
- 厚生年金の場合・・・年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)様式第104号
年金請求書は障害の原因になる傷病が複数あったとしても、1通で問題ありません。
病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は発症してから初診日までの経過や現在までの受診状況、就労状況等を記載する書類です。
病歴・就労状況等申立書は、請求者本人が障害の状態を主観的に判断してアピールできる唯一の書類になります。そのためこの申立書では症状や治療の方法、日常生活の様子などを、できるだけ具体的にわかりやすく記載するようにしましょう。
障害年金は決して診断書の内容のみで認定されるのではなく、診断書を補完する書面として病歴・就労状況等申立書の内容もしっかりと審査されます。
そのため、診断書の内容からは等級がギリギリだったとしても、病歴・就労状況等申立書の内容をしっかりと書くことによって認定されるということもあります。
基礎年金番号通知書または年金手帳のコピー
基礎年金番号と加入期間を確認するための書類です。できれば原本ではなくコピーを用意しましょう。
本人の生年月日が確認できる書類
請求者本人の生年月日を明らかにするために、戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれかを用意しましょう。
ただし単身者で日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は、これらの書類は原則不要になります。またマイナンバーを登録していない場合も年金請求書にマイナンバーを記載すれば、本人の生年月日が確認できる書類は不要です。
ただし年金請求書を共済組合に提出する場合は、住民票等の書類が必要になるときがあります。
障害年金を受取る金融機関の通帳などのコピー
障害年金を受け取るために、カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載されている預金通帳またはキャッシュカードのコピーが必要です。
ただし以下のケースの場合、添付は必要ありません。
- 年金請求書に金融機関の証明を受けている
- 公金受取口座の登録を済ませていて、年金請求書の「公金受取口座として登録済みの口座を指定」にチェックを入れている
また、ソニー銀行や楽天銀行、イオン銀行などといったインターネット専業銀行も受け取り先として指定することができます。
障害年金請求に必要な追加書類をケース別にご紹介
障害年金請求は先にお伝えした書類だけでなく、障害の原因や本人の状況によって追加して提出する必要がある書類があります。
配偶者または18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障害の状態の子どもを含む)がいる場合
障害基礎年金の請求の場合には子どもの加算、障害厚生年金の請求で2級以上の場合には子どもと配偶者の加算が付きます。
- 戸籍謄本・戸籍の記載事項証明書・・・配偶者および子の氏名と請求者の続柄、生年月日の確認のため。
- 世帯全員の住民票の写し・・・請求者との生計維持関係を確認するため。
- 配偶者の収入が確認できる書類・・・所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票 等。生計維持関係を確認するため。
- 子の収入が確認できる書類・・・所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票 等。生計維持関係を確認するため。義務教育が終わる前ならば不要。また高等学校在学中の場合は、在学証明書または学生証のコピー等
- 診断書・・・1級又は2級の障害状態にあることを確認するため。20歳未満で障害の状態にあるお子様がいる場合には必要。
「世帯全体の住民票の写し」「配偶者の収入が証明できる書類」「子の収入が確認できる書類」は年金請求書にマイナンバーを記入すれば、添付を省略できます。
障害の原因が第三者行為の場合
- 第三者行為事故状況届・・・所定の様式があります。事故の相手方の情報や、事故状況、損害賠償金などを申告する書類。
- 交通事故証明または事故が確認できる書類・・・事故証明書や事故内容がわかる新聞のコピーなど。事故証明書は自動車安全運転センターで交付されますが、一定の期間が経過すると原則交付されません。
- 確認書・・・障害の原因となった事故で賠償金などを受け取ると、障害年金が一時的に受給停止になることがあります。そのことに対する同意書です。
- 被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類・・・源泉徴収票、健康保険証のコピー、学生証のコピーなど
- 損害賠償額のわかる書類・・・裁判の示談書や保険の支払いなど、受け取った金額のわかる書類
- 損害保険会社等への照会に係る「同意書」・・・所定の様式があります。
「第三者行為事故状況届」「確認書」「同意書」は所定の書式があり、年金事務所や街角の年金相談センターで受け取れます。
本人の状況によって添付する必要書類
本人の状況 | 書類名 |
---|---|
共済組合に加入していた期間がある | 年金加入期間確認通知書 |
他の公的年金から年金を受けている | 年金証書(配偶者含む) |
障害認定日から1年以上過ぎている | 請求事由確認書(遡及請求する場合)
障害認定日から3ヶ月以内の診断書 |
初診から1年6か月を経過した日(認定日)の翌日から5年経過している | 年金裁定請求の遅延に関する申立書 |
配偶者が国民年金以外の公的年金の被保険者または組合員であった期間がある | 配偶者が組合員または被保険者であったことが明らかになる書類 |
本人が国民年金以外の公的年金や恩給法等による遺族年金等を受給できた期間がある | 本人が年金等を受給できたことを明らかにする書類のコピー |
配偶者が国民年金以外の公的年金や恩給法等による老齢年金・退職年金を受給できた期間がある | 配偶者が年金を受給できたことを明らかにする書類のコピー |
海外に住んでいた期間がある | 海外に住んでいた期間を明らかにする書類 |
障害年金請求の必要書類の提出先
障害年金請求の必要書類を提出する先は、初診日に加入していた年金によって違います。
初診日に加入していた年金 | 提出先 |
---|---|
国民年金 | 住所地の市町村役場の窓口。
また初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センター |
厚生年金 | お近くの年金事務所または街角の年金相談センター |
共済年金 | 初診日に加入していた共済組合 |
障害年金請求の必要書類でよくある質問
ここまで障害年金請求の必要書類や提出先について、ご説明してまいりました。しかし障害年金請求が認定されるのは、あくまでも障害年金の要件を満たしていることが前提となります。
ここでは、障害年金を受け取れるか不安に感じている方によくある質問にお答えします。
うつ病などの精神疾患のとき特別に提出する書類はありますか?
呼吸器疾患の場合にレントゲンフィルムや循環器疾患の場合に心電図のコピーを求められることがありますが、障害が「うつ病などの精神疾患」という理由で特別に提出を求められる書類はありません。
障害年金は過去にさかのぼって請求することはできますか?
障害認定日において障害年金の障害状態に該当しており、その時点の診断書を提出できれば障害認定日までさかのぼることができます。
しかし、障害認定日が5年以上前にある場合には、5年を超えた分は時効で消滅します。
障害認定日請求が認められれば、障害認定日にさかのぼって請求が遅れた分を初回支払いのときにまとめて受け取ることが可能です。
ただし請求が遅くなると、初診日の証明や診断書の作成が困難になる可能性が高いです。書類が揃わないばかりに障害年金が受け取れなくなることもあるので、注意しましょう。
障害年金に更新はありますか?
障害年金には永久認定と有期認定があり、四肢の切断や失明のような場合には更新がない永久認定となります。
それに対し、精神障害や内部疾患のように障害状態に変化が予想される障害の場合には基本的に更新がある有期認定となります。
有期認定の場合には、1~5年のいずれかの更新時期が決められます。
また障害年金は自動更新ではありません。更新月の3ヶ月前に日本年金機構から障害状態確認届が送付されるので、医師に診断書を作成してもらい誕生月の末日までに提出する必要があります。
さいごに
今回は障害年金請求の必要書類について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
障害年金請求のための書類は非常に多く、複雑です。書類の様式や記載するべき内容などを正しく理解し提出しないと、窓口で受け付けてもらえません。
障害年金申請の必要書類に疑問や不安がある場合は、お近くの年金事務所や障害年金を専門にしている社労士へ相談してみてください。