あなたが理解しておくべき障害年金5つのデメリット

プレゼン

障害年金を受給中の方、あるいはこれから障害年金を申請しようと考えている方の中には、

「勤務先に知られないか?」

「就職に影響しないか?」

「家族の扶養から外れないか?」

といったデメリットについて不安をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、障害年金はデメリット以上にメリットも非常に多いです。

そこで今回のコラムでは、障害年金を受給する前に知っておきたいデメリットとメリットの両方を解説します。

障害年金を受給する前に知っておきたい5つのデメリット

まずは、障害年金を受給する5つのデメリットについて解説します。

障害年金の受給を勤務先などに知られる場合がある

そもそも障害年金の受給は個人情報ですから、勤務先に報告する義務はありません。

障害年金は非課税なので老齢基礎年金のように課税されることはなく、年末調整での申告も不要です。

また給与額で保険料が決まる厚生年金や健康保険にも関係がないため、勤務先が通常の手続きの中で障害年金の受給を知ることはまずありません。

ただし、病気休業中に健康保険から給付される傷病手当金を申請する場合は、支給申請書に障害年金の受給を申告する項目があるため、勤務先に知られる可能性はあります。

もっとも、勤務先が従業員の障害年金の受給を知ったところで、特に問題視されるものでもなく、デメリットとは言えません。

障害年金の受給を会社に知られたくない方もいると思いますが、必要以上に意識しないことが大切です。

所得制限となるケースも

障害年金は、何らかの障害で生活や仕事に支障をきたしている人が、法令で定める受給要件を満たした場合に支給される年金で、基本的に所得制限は掛かりません。

ただ、国民年金に加入していない20歳前の傷病により、障害基礎年金を受給している場合に限り、公平性の観点から、一定の所得があれば所得制限を課しています。

この20歳前傷病の例外をのぞけば、障害年金に所得制限は一切ありません。

また20歳前傷病の方も、所得制限額さえ超えなければ普通に年金を受給することができるので、所得制限はごく限定的なデメリットと言えるでしょう。

所得制限については以下の記事で詳しく解説していますので、参考になさってください。

年金手帳と電卓障害年金に所得制限が掛かる2つのケースとその計算方法

家族の扶養から外れるかもしれない

健康保険の通常の扶養控除では収入が130万円以上になると世帯主の扶養から外れますが、障害年金を受給している場合は、その金額が180万円以上となります。

障害年金は非課税ですが、健康保険の扶養の計算では収入に加算されます。つまり、障害年金と他の所得の合計が180万円以上になると、扶養から外れることになります。

しかし、障害年金を受給するメリットは、その受給額や国民年金の法定免除なども含め、扶養から外れるデメリットを上回ります。

障害年金を加えた収入が180万円前後の方は注意が必要ですが、180万円を超えることが確実で扶養から外れる方も、障害年金のメリットの方が勝りますので、心配しないでください。

配偶者加給年金が支給停止に

障害年金を受けれるようになると、配偶者加給年金が支給停止となってしまうこともデメリットの一つです。

配偶者加給年金とは、障害厚生年金の受給者に生計を維持している配偶者がいるときに支給される年金です。

配偶者加給年金を受給するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳未満の配偶者であること
  • 受給権者と生計同一関係があること
  • 配偶者の年収が850万円未満(所得の場合は655万5千円未満)であること

上記の要件を満たしてれば、年額223,800円が年金に加算されます。

しかし、配偶者加給年金の対象となっている配偶者が障害年金を受け取れるようになると、加給年金の支給は停止されます。

なお、万一加給年金が支給停止されても、それ以上の額の障害年金がもらえるようになるため、世帯年収の合計額で考えるとデメリットにはなりません。

寡婦・死亡一時金がもらえない

障害年金を受給すると、寡婦年金や死亡一時金が受け取れなくなるので注意が必要です。

寡婦年金とは、第1号被保険者(自営業など)として10年以上保険料を納付(免除期間を含む)した夫が亡くなった場合、婚姻関係が継続10年以上あり、夫に生計を維持されていた妻が60歳から65歳になるまで受給できる年金です(年金額は夫の第1号被保険者期間の老齢基礎年金額の3/4)。

また死亡一時金は、第1号被保険者として36月以上、保険料を納付した方が亡くなった場合に、その方に生計を維持されていた遺族(配偶者、子、父母、孫、兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)に支給される一時金です。寡婦年金も受給できる場合はどちらかを選択します。

この寡婦年金、死亡一時金ともに、年金の掛け捨て防止という観点から第1号被保険者の夫が老齢基礎年金や障害基礎年金等を受給したことがないことを条件としているため、亡くなった方が障害基礎年金を受給していた場合は、どちらも支給されません。

障害年金を受給する4つのメリット

障害年金にはデメリットもありますが、それ以上にメリットも多いです。

そこでここからは、障害年金を受給する4つのメリットについて解説します。

国民年金保険料の支払いが法定免除に

障害年金の1級または2級の受給対象者になると、国民年金の支払いが全額免除となります。

これを「法定免除」といいます。

ただし、障害厚生年金3級の場合は、法定免除の対象にはならないため、国民年金保険料の納付が必要です。

法定免除になるのは、認定された日を含む月の前月分からです。

さらに、過去にさかのぼって受給権を取得した場合は、障害認定日以降に納付済の国民年金保険料は還付を受け取れます。

なお、法定免除の対象に該当すれば自動的に全額免除になるわけではなく、市区町村へ「国民年金保険料免除理由該当届」の提出が必要です。

経済的な不安やストレスの軽減

障害年金は傷病による障害で日常生活や就労が困難な方の生活を支える制度です。

障害等級や配偶者の有無、子の人数などによってもらえる年金額は異なりますが、2ヶ月に一度、2ヶ月分(約10〜30万円)が定期的に支給されます。

このように、定期的な収入があることで心に余裕が生まれ、経済的な不安やストレスを軽減させることができます。

具体的な障害年金額については以下の記事をご参考ください。

【令和4年度版】障害年金でもらえる金額について

働きながらでも受給できる

障害年金は働きながらでも受給することが可能です。

しかし、障害や病気の種類によっては、働いていることが審査に影響を及ぼして障害年金が不支給・支給停止となる場合もあります。

特に、精神障害やガンなどの病気は数値で障害の程度を示すことが難しく、働いてることによって重度の症状ではないと判断される可能性があります。

しかし必ずしも、就労しているからといって障害年金が支給されないというわけではありません。

例えば、障害者雇用など一定の援助や配慮のもとに就労している場合は、請求時や更新時に就労に関する状況を具体的に伝えることで障害年金を受給しながら働くことができます。

就労しながらの障害年金の受給についてこちらの記事で詳しく解説しています。

働きながら障害年金はもらえるの?受給者の約28%が就労者です

障害年金は非課税

障害年金は法律上、非課税所得とされています。

したがって、障害年金は所得税や住民税といった税金はかかりません。

ただし、給与収入や事業収入など、年金以外にも収入がある場合は、年金以外の収入金額にもよりますが、確定申告が必要になる場合もあります。

また障害年金は生活保護と異なり、受け取った年金の使用用途に制限がないため、自動車の購入や貯蓄など自由に使うことができることもメリットの一つです。

障害年金の受給でよくある質問

Q.障害年金を受給していることは、再就職に不利となりますか?

A.再就職の際、障害年金を受給していることが不利になることは原則ありません。

そもそも障害年金の受給は個人情報で、自己申告する必要はなく、社会保険や年末調整等の手続きの際に障害年金の受給を知られることもまずありません。

仮に障害年金の受給を就職先に知られても、障害年金は受給要件を満たした方に支給される、法令で認められた制度ですので、その受給が再就職に影響を及ぼすことは基本的にないと言っていいでしょう。

Q.国民年金の保険料納付を法定免除した場合、将来受け取る老齢基礎年金額は減りますか?

A.法定免除を受けている期間は、年金額に反映する納付額が全納者の半分とカウントされるため、その分、受給額は減ります。

一方、免除期間は保険料を納付しなくて済むため、法定免除を申請するかどうかは総合的に判断する必要があります。

例えば、永久認定ではなく、数年ごとに診断書を提出する有期認定の方は、障害の程度が変化する可能性があり、老後も障害年金を受給できる保証がないため、法定免除を受けずに保険料を納付したほうがいいケースもあります。

また、障害認定基準の改正等があると、今まで受給できていた障害が対象外になる可能性もありますので、法廷免除を受けるか、保険料を支払うかは、よく考えたほうがいいでしょう。

Q.家族が障害年金を受給していることを会社に知られたくないのですが

A.被保険者の16歳以上75歳未満の家族が健康保険の扶養に入るか、外れるかを判断する上で、家族の収入を確認する作業は必須です。

その際、家族が障害年金を受給していれば、提出書類の収入欄から障害年金の受給を勤務先に知られることになります。

健康保険の扶養判定をする以外では、通常家族が障害年金を受給していることは知られることはありませんのでご安心ください。

Q.障害年金を受給することで生命保険等に影響を及ぼすことはありますか?

A.生命保険等の加入に際しては、通常、現在および過去5年の健康状態を申告する必要があります。

その際、受給中の障害年金の傷病を告知した結果、加入を断られるケースはありますが、障害年金を受給していることを理由に断られることはありません。

また、すでに生命保険等に加入している方が、新たに障害年金を受給するようになった場合は、これを理由に契約中の保険が解約されることはありません。

生命保険等は加入時の健康状態が問われるもので、契約後、健康状態に変化があり、障害年金を受給するようになっても、保険契約には一切影響が及びません。

さいごに

今回のコラムでは、「障害年金のデメリット」と「障害年金のメリット」について触れてきましたが、障害年金を受給するメリットに比べれば、どのデメリットも大きな問題にはならないことが分かりました。

知識として、障害年金のデメリットを頭の片隅に置いておくことは無駄ではありませんが、そのメリットを正確に認識し、必要以上にデメリットを意識することは避けた方がいいでしょう。

はっきり言えば、障害年金にデメリットはない、と言っても過言ではありません。

法令の定める等級に該当する傷病があり、受給要件をすべて満たす方は、ネット等で散見される障害年金のデメリット情報に惑わされることなく、多大なメリットをもたらしてくれる障害年金という制度を、有効活用することをお勧めします。