脳梗塞は、脳の血管が詰まることで、脳の組織に十分な血液が行き渡らなくなり、脳細胞が壊死してしまう病気です。
命に関わることもあるため、脳梗塞の予防や早期発見・治療はとても重要です。
また、脳梗塞で後遺症が残り、仕事や生活に支障が出た際には、障害年金が請求できることがあります。
本記事では、脳梗塞の原因について、以下の3点を中心にわかりやすく解説します。
- 脳梗塞の種類と主な原因
- 生活習慣やストレスが脳梗塞に与える影響
- 脳梗塞の前兆症状と発症時の対処法
脳梗塞のリスクと適切な対策、経済的負担を減らせる障害年金がわかるので、ぜひ最後まで読んで、お役立てください。
目次
脳梗塞とは?
脳梗塞とは、血栓(血のかたまり)が脳の血管に詰まり、脳細胞が死んでしまうことでさまざまな障害が引き起こされる病気です。
脳梗塞は、「脳内出血」「くも膜下出血」と並ぶ脳卒中のひとつで、厚生労働省の統計によると、2019年には約6万人の人が脳梗塞で亡くなっています。
脳梗塞の種類は、詰まった血管の太さや場所により次の3つに分けられます。
種類 | 特徴など |
---|---|
ラクナ梗塞 | ・脳内の細い血管が詰まって起こる ・影響の出る範囲が狭いので、大きな症状が出ないこともある ・症状がないため、気づかずに生活する人も少なくない |
アテローム血栓性脳梗塞 | ・脳の太い血管が詰まって起こる ・脳の大きな範囲で影響が出やすく、体が麻痺したり、しびれが出るなどの症状が出る ・就寝中などの安静時にも発症する |
心原性脳塞栓症 | ・心臓でできた血栓が脳内の太い血管に詰まることで起こる ・急な頭痛やめまい、視覚の異常などの症状が突然起こる ・心原性脳塞栓症は重症化しやすい |
いずれの脳梗塞でも血管が詰まって発症しますが、症状が全く出ず脳梗塞の発症に気づけないこともあります。
参考:人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡 |e-Site(政府統計の総合窓口)
脳梗塞の原因は?
脳梗塞の直接の原因は、血管内にできた血栓が脳内の血管で詰まることです。
血栓ができないように対策ができれば、脳梗塞の予防につながるといえるでしょう。
ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病により血管が硬くなったり、細くなること(動脈硬化)が関係するといわれています。
また、心原性脳梗塞は、不整脈が原因で血栓ができることから発症することが多いです。
次章では脳梗塞の主な原因となる「動脈硬化」と「不整脈」についてみていきましょう。
動脈硬化
動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態を、動脈硬化といいます。
健康な動脈は弾力性があり、血液の通り道として重要な役割を果たしています。
しかし、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの影響で、血管が厚くなると血流が悪くなります。すると、血栓ができやすくなり、脳梗塞の発症の可能性が高まるのです。
動脈硬化のリスクを上げる要因とは?
動脈硬化は、さまざまな危険要因が重なると発症しやすくなることが知られています。
主な危険因子を下表にまとめました。
危険因子 | 特徴など |
---|---|
加齢 | ・年齢を重ねると血管が老化し、硬くなって、脳梗塞のリスクが高くなる |
高血糖 | ・血管が高血糖の状態に長くさらされると、血管が硬くなり、脳梗塞発症の可能性が上がる ・軽い運動や糖質を避ける、医師に相談するなど、血糖を管理することが望ましい |
高血圧 | ・血管に高い圧力がかかる状態が続くと、血管が硬くなったり、もろくなったりする ・血圧の管理が難しい場合は、医療機関の受診しよう |
脂質異常症 | ・血液中にコレステロールなどの脂質が多い状態が続くと、血管壁に余分な脂が沈着し、血管の壁が厚くなり、動脈硬化になる ・運動や食事の改善をしても、良くならないときは、医師へ相談しよう |
喫煙 | ・喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化の早期発症や重症化につながる ・禁煙するのが理想的 |
過度の飲酒 | ・過剰な飲酒は血圧を上げ、動脈硬化を促進する ・飲酒量を適正な量に調節しよう |
肥満 | ・肥満は、動脈硬化発症の要因となる高血圧や脂質異常症などのリスクを高める ・運動やバランスの良い食事を摂るなどして、適正体重を維持しよう |
規則正しい生活が、生活習慣病や動脈硬化の予防につながることがわかります。
不整脈
不整脈は、高齢者に起こりやすい疾患で、脈のリズムがおかしくなった状態を指し、脈が速くなったり、遅くなったり、不規則になったりすることもあります。
不整脈の原因は、心臓の疾患だけではなく、肺の疾患や高血圧などがあり、加齢やストレスの蓄積、疲労や睡眠不足でも不整脈が起こることがあります。
特に心房細動のある人は、脳梗塞のリスクが2~7倍高くなるといわれているので、健康診断等で指摘されたら、医療機関を受診しましょう。
ストレスで脳梗塞になる?
ストレスは、脳梗塞の間接的な原因となります。
慢性的なストレスは、血圧を上げて血管を収縮させるため、血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクを高めるのです。
また、ストレスを感じると、暴飲暴食やお酒の飲みすぎをしてしまう経験のある方も多いでしょう。
このような行動が続くと、体調不良になることが増えて、後悔や自己嫌悪、自己肯定感の低下を招き、さらにストレスを抱えるといった負のスパイラルに陥ることにもつながります。
ストレスを感じたら、以下のような方法で発散してみてはいかがでしょうか。
- 軽い運動
- ストレッチ
- 気の合う人と話す
- 散歩など、少し外に出る など
過剰なストレスに長期間さらされることがないように、生活リズムや生活環境を快適に整えることもおすすめです。
自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
食事などの生活習慣と脳梗塞の関係は?
不健康な生活習慣は、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を招き、脳梗塞のリスクを高めます。
避けたい生活習慣とその特徴や対処法などを下表にまとめました。
避けたい生活習慣 | 特徴や対処法など |
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食生活の乱れ | ・塩分や脂肪分の多い食事、野菜や果物の摂取不足などの偏った食事は、生活習慣病になりやすい ・1日3食バランスの良い食事を摂るのが理想的 ・魚や海藻、大豆などの豆類も積極的に取り入れよう |
運動不足 | ・運動不足は血流を悪化させ、動脈硬化を促進させる ・散歩などの軽い運動を取り入れよう |
睡眠不足 | ・睡眠不足は血圧の上昇させ、ストレスもたまりやすくする ・十分な睡眠時間を確保できるように、生活を見直そう |
生活習慣を見直し、改善していくことで、脳梗塞だけではなく高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクも下げることができます。
今できそうなことから、少しずつ始めてみましょう。
脳梗塞の前兆と発症時の対処法
「もし、脳梗塞になったらどのように対応したらいいのか」と心配になる方も多いと思います。
そこで、脳梗塞の前兆症状や対処法をみていきましょう。
脳梗塞の前兆としては、次のような症状が「急に」「突然」表れます。
- 突然の頭痛 今まで経験したことのないような激しい頭痛
- めまい 立っているのが困難になるほどの強いめまい
- しびれ 顔、腕、足などの片側にしびれや麻痺
- 言語障害 言葉がもつれたり、呂律が回らなくなる
- 視野障害 片方の視野が欠けたり、見えづらくなったりする
脳梗塞を含む脳卒中は、発症してから4時間半以内に血栓を溶かす治療薬(rt-PA)治療を開始すれば、後遺症を最小限にできる可能性があります。
上記のような症状が表れたら、様子見しないですぐに医療機関を受診しましょう。
脳梗塞の前兆の症状をもっと詳しく知りたい方は、下記の関連記事でわかりやすくご紹介しています。ぜひご一読ください。
脳梗塞の前兆は?頭痛やめまいが出る?予防法もご紹介!参考:くまもと県脳卒中ノート|熊本大学病院 脳卒中・心臓病等総合支援センター
脳梗塞で障害年金は申請できる?
脳梗塞になると、脳内の血管が詰まり、脳細胞が壊死します。
死んでしまった脳細胞は再生することはなく、その脳細胞が司どる機能が失われて後遺症が残るケースが多く見られます。
脳梗塞を患った後に仕事に復帰する人も多いですが、後遺症の影響で以前と同じ仕事には就けず、経済的に困窮することも少なくありません。
脳梗塞で後遺症があり、生活や仕事に支障がある場合は、障害年金を受けられるケースがあります。
脳梗塞で障害年金を申請する場合、後遺症の症状によって、障害等級の認定基準が異なります。
自分の場合は障害年金の請求ができるのかと不安や疑問があるときには、障害年金専門の社労士へ相談してみましょう。
ピオニー社会保険労務士事務所では、脳梗塞での障害年金の申請代行を数多く手がけています。
障害年金でお困りの際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。
脳梗塞での障害年金受給の詳細は、下記の関連記事をご覧ください。
脳梗塞・脳出血で障害年金を受給するためのポイントと障害認定基準脳梗塞の後遺症や仕事復帰については、下記記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご一読ください。
脳梗塞の後遺症とは?言語障害やしびれが出る?症状や仕事復帰を解説まとめ
脳梗塞は、脳内の血管が詰まり、脳細胞に血液が送られず死んでしまうことにより、さまざまな障害がおこる病気です。
また、脳梗塞は命に関わることも多く、幸い命を取り留めたとしても後遺症が残ることも少なくありません。
脳梗塞の主な原因は、動脈硬化や不整脈などで、生活習慣を改善することで予防が期待できます。
もし、脳梗塞で後遺症が残り、仕事や生活に支障がある場合は障害年金が請求できることがあります。
障害年金の申請での不安や疑問があるときは、障害年金専門の社労士へご相談ください。