「障害年金が不支給になりました。もう一度請求すれば、今度は認められるでしょうか?」
「最初は自分で申請しましたが、うまく説明できませんでした。書類を作り直せばやり直せますか?」
時間をかけて診断書を依頼し、病歴をまとめ、結果を待っていたところに不支給や却下の通知が届くと、気持ちが沈んでしまうと思います。日常生活や仕事に支障がある方ほど、「これからどうすればよいのだろう」と不安になるのではないでしょうか。
障害年金は、不支給や却下の決定を受けた後でも、改めて請求すること自体は可能です。このように、もう一度障害年金を請求することを、一般に「再請求」と呼んでいます。
ただし、再請求ができることと、最初から何もなかったようにやり直せることは違います。前回提出した診断書や病歴・就労状況等申立書は、その後の請求でも確認の対象になり得るためです。
特に注意したいのが、すでに不支給となった障害認定日の状態について、診断書を取り直して再び請求する場合です。同じ過去の状態を示す書類が前回と大きく変わっていれば、その違いを裏付ける説明や資料が重要になります。
この記事では、「障害年金の再請求にはどのようなデメリットがあるのか」を中心に、前回の書類が影響する理由、障害認定日の再請求が難しくなる場面、再請求を考える前に確認したいことを詳しく解説します。
すでに不支給や却下となった方だけでなく、「まずは自分で出してみて、ダメなら社労士に頼もう」と考えている方にも、知っていただきたい内容です。
目次
障害年金は不支給・却下の後でも再請求できる?
再請求とは、改めて障害年金の請求書を提出すること
再請求は、前回の書類の一部だけを差し替えれば終わる手続きではありません。改めて請求書と必要な資料を提出し、受給要件や障害状態について審査を受けることになります。
例えば、前回の請求では障害等級に該当しないと判断されたものの、その後に症状が悪化した場合には、現在の状態をもとに新たな請求を検討できることがあります。また、初診日の証明が不足していた場合に、以前は確認できなかった資料が見つかることもあるでしょう。
ただ、再請求という名前の特別な制度によって、受給要件が緩くなるわけではありません。「2回目だから事情をくんでもらえる」というものでもなく、今回の請求で何を根拠に受給要件を満たすと説明できるかが大切です。
不支給と却下では、見直すべきところが異なります
同じ「年金を受け取れなかった」という結果でも、障害の程度が等級に届かなかった場合と、初診日を確認できなかった場合とでは、その後に必要な準備が異なります。
障害状態が問題になったのであれば、対象となった時点の診断書や、日常生活・就労の状況を検討します。一方、初診日の認定が問題になったのであれば、症状を詳しく書き足すだけでは、その問題を解消できません。受診歴と、その経過を確認できる資料が必要です。
なお、通知の名称だけで問題を機械的に区分することはできません。まずは通知書に書かれた理由を確認し、分かりにくい場合には年金事務所で説明を求めることが、次の方法を考える出発点になります。
再請求は「白紙に戻してやり直すこと」ではありません
不支給になっても、前回の提出内容まで消えるわけではない
再請求のデメリットを考えるうえで、最初に知っておきたいことがあります。それは、前回の請求で提出した内容を、今回の請求とは無関係なものとして扱えるわけではない、という点です。
日本年金機構では請求に関する文書や記録が管理されています。実際、一定の条件を満たす再請求では、前回提出した初診日証明書類を今回の審査に利用する取扱いも設けられています。
過去の書類は、初診日の証明に役立つこともあれば、今回の説明との違いを確認する資料になることもあります。自分の手元に控えが残っていないからといって、審査する側にも前回の資料が残っていないと考えるのは避けたいところです。
「永久保管だから」「5年たてば消えるから」と単純には考えられません
請求書類の保存については、「一度出したら永久保管される」という説明を見かけることがあります。しかし、紙の書類と画像化された記録の取扱い、文書の種類や保存期間などは区別する必要があり、すべての書類が同じ形で永久に保存されると一律には説明できません。
日本年金機構の文書管理規程には保存や媒体変換などのルールがあり、文書保管に関する公表資料でも、年金記録関係文書を保存期間経過後も当面廃棄しない取扱いや、電子化による保管が説明されています。
ここで大切なのは、「何年待てば前回の内容をなかったことにできるか」という考え方で再請求しないことです。前回の提出内容が確認されることを踏まえ、今回の説明とのつながりを整理する必要があります。
前回の書類との違いが、再請求の重要な確認点になります
再請求では、新しい診断書だけを見て考えると、見落としが生じやすくなります。初診日、治療経過、過去の日常生活、仕事の状況などについて、前回の説明と今回の説明に違いがないかを確認することが重要です。
ただし、前回と内容が変わっていること自体が、必ず不利になるわけではありません。時間が経過して症状が悪化することもあれば、前回の書類に誤記や説明不足があったと分かることもあります。
大切なのは、その違いが「時点の違いによる病状の変化」なのか、「同じ時点についての説明の訂正」なのかを分けることです。同じ過去の事実が変わって見える場合には、なぜ違うのかを資料とともに説明する必要性が高くなります。
障害年金の再請求で知っておきたい5つのデメリット
1.前回の書類が、今回の説明を難しくすることがある
最も注意したいのは、前回の書類に書かれた内容が、今回伝えたい状況と食い違っている場合です。
例えば、以前の申立書に「家事はすべて自分で行っていた」と書いてあるのに、同じ期間について今回は「家族がほとんど行っていた」と説明する場合、その違いが確認点になります。ご本人としては最初の書き方が不十分だったとしても、今回の説明だけを見て判断してもらえるとは限りません。
当時の家族の援助、受診時の記録、実際の生活の経過などを確認し、前回の記載がどのような意味だったのかを整理することになります。再請求には、今の状態を伝える準備に加えて、過去に提出した内容を検証する負担があるのです。
2.診断書や資料の取得に、もう一度費用がかかる
再請求では、今回の審査に必要な診断書や資料を改めて用意することがあります。医療機関への文書料、資料の取得費用、郵送費などが再び必要になり、社労士に依頼する場合にはその費用も検討することになります。
前回の診断書をそのまま使えるかは、請求する方法や、診断書が証明する時点によって異なります。「書類は一度そろえたから、次はほとんどお金がかからない」とは限りません。
体調がすぐれない中で病院に連絡し、書類を受け取り、内容を確認することにも負担があります。診断書を先に取り直すのではなく、前回何が問題だったのか、今回どの資料が必要かを見極めることが、無駄な出費や手間を減らすことにつながります。
3.準備と審査の時間が、さらに必要になる
再請求したからといって、前回より早く結果が出るとは限りません。前回の書類を確認し、必要な資料をそろえ、今回の請求について審査を受ける時間がかかります。
過去の受診歴が複雑な場合や、同じ時点の診断書に大きな違いがある場合などには、その点の確認も必要になることがあります。「もう一度出せばすぐ決まる」と考えていると、結果を待つ時間が長く感じられるかもしれません。
生活を支えるお金の見通しが立たないまま、何度も手続きを繰り返すのはつらいことです。だからこそ、前回の決定を分析せずに急いで再提出するよりも、何を確認し、どこを補う必要があるのかを明らかにしてから進めたいところです。
4.事後重症請求では、受給開始が遅くなることがある
障害認定日には等級に該当せず、その後に障害状態が重くなった場合の請求を「事後重症請求」といいます。この場合、原則として年金を受け取れるのは、請求した日の翌月分からです。
例えば、前回の不支給後に症状が悪化し、今回の請求で初めて受給が認められたとしても、当然に最初の請求の翌月分まで遡るわけではありません。前回の決定を争う手続きとは区別する必要があります。
再請求を繰り返したり、根拠なく長期間待ったりしている間に、受給開始の時期が後ろへずれることがあります。一方で、資料が不足したまま提出しても問題は解消しませんので、準備の内容と請求の時期を併せて考えることが大切です。
5.再請求しても、前回の不支給理由が解消するとは限らない
病状が重くなったとしても、初診日や保険料納付要件の問題まで解消するわけではありません。再請求が可能であることだけを知っても、その方が受給できるかどうかは別に検討する必要があります。
初診日が認められなかった場合には、その日を証明する新たな資料や、受診の経過の確認が重要です。保険料納付要件を満たしていない場合には、診断書の障害状態を詳しくしても、その要件に代わることはできません。
同じ理由で再び支給されない結果となれば、費用や時間だけでなく、気持ちの面でも負担が大きくなるでしょう。「もう一度なら大丈夫」と考える前に、今回の請求で何が変わるのかを確かめておく必要があります。
参考リンク:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
特に慎重に考えたいのは「障害認定日の再請求」です
今の症状が悪化しても、過去の障害状態は変わらない
障害認定日請求では、原則として初診日から1年6か月を経過した日など、制度上決まる時点の障害状態が問題になります。現在の症状が重くなったからといって、その時点の状態まで重くなるわけではありません。
例えば、2022年の障害認定日について不支給になった方が、2026年に症状が悪化したとします。現在の日常生活に大きな支障があることは、今の状態を考えるうえで重要です。しかし、それだけでは「2022年にも等級に該当していた」という証明にはなりません。
現在の状態を審査してもらうことと、同じ障害認定日の状態について改めて請求することを分けると、必要な資料の違いが見えてきます。
同じ時期の診断書が急に重くなったら、理由の説明が必要に
前回は「日常生活はおおむね自立していた」と読み取れる診断書だったのに、同じ過去の時点について、今回は多くの援助が必要だったという診断書が作成されることがあります。
その場合、単に「今回は詳しく書いてもらえた」と説明するだけでは、違いの根拠が十分に伝わらないことがあります。当時の診療記録や、前回は把握されていなかった生活状況など、なぜ評価が変わったのかを確認することが大切です。
もちろん、診断書の誤記や記載漏れが見つかった場合まで訂正できないという意味ではありません。医学的な判断や記載内容は医師が確認するものであり、訂正や補足の根拠があるかどうかが重要になります。
遡及分への期待だけで、認定日請求を繰り返さないために
障害認定日請求が認められると、過去の年金を受け取れる場合があります。そのため、不支給の後も「もう一度診断書を取り直せば、遡及できるかもしれない」と考える方もいらっしゃるでしょう。
ただ、過去の年金が支給されるには、その時点で受給要件を満たしていたことが必要です。前回の判断に関わった資料を確認せず、遡及分の金額だけを目標に再請求しても、当時の障害状態を裏付けることにはなりません。
時間がたつと、当時のカルテが残っていなかったり、主治医が退職していたりすることもあります。障害認定日の再請求は、過去の状態を証明する難しさに、前回の提出内容との整合性という問題が重なるため、特に慎重な検討が必要です。
前の書類が足を引っ張るのは、どのような場面?
例1|「家事はできる」と書いたけれど、実際は家族任せだった
ここからは、説明のための例を挙げてみます。いずれも特定の受給事例ではありません。
最初の申立書で「食事や掃除は自分でできる」と記載した方が、再請求の準備で詳しく振り返ったところ、食事は家族が用意し、掃除も声をかけられたときに一部を手伝う程度だったと分かった場合です。
ご本人は「全くできないわけではない」という意味で書いたとしても、前回の文章からは、援助を受けずに生活していたように読めるかもしれません。同じ期間について今回は「家族の援助が必要だった」と書くのであれば、前回の表現が何を指していたのかも整理する必要があります。
最初から、できるかどうかの一言だけではなく、どの程度の援助を受け、どのように暮らしていたかを具体的に伝えることが大切だと分かる例です。
例2|初診日を変えたら、前回の受診歴との食い違いが見つかった
前回はA病院の受診日を初診日としていたのに、再請求ではB病院の受診日を初診日とする場合を考えてみましょう。
新たに診療記録が見つかり、本来の初診日が違っていたと分かることはあります。ただし、変更するのであれば、なぜ前回とは異なる日が初診日になるのかを、受診の経過や医学的な関係、証明資料に沿って確認する必要があります。
前の初診日では納付要件を満たさなかったから、今回は厚生年金に加入していた日にしたい、という希望だけで変更することはできません。前回の病歴や証明書も関係するため、今回の書類だけを整えて終わり、というわけにはいかないのです。
例3|退職したので再請求したが、前回と同じ認定日の診断書だった
前回の不支給後に仕事を続けられなくなり、退職した方がいるとします。退職に至る病状の変化は、現在の障害状態を考えるうえで重要な情報です。
しかし、再び請求しているのが、退職より何年も前の障害認定日の年金であれば、その時点の状態を説明する資料が必要です。退職したという現在の出来事だけでは、前回の認定日の評価が変わるとは限りません。
また、働いていた当時も、欠勤や業務上の配慮、家族の援助があった場合には、その実態の確認が大切です。「退職したから通るはず」と考えるよりも、いつから、何が、どのように変わったのかを整理する方が、請求の方法を考えやすくなります。
再請求と審査請求は何が違う?選び方を間違えないために
前回の決定を争うなら、まず審査請求の期限を確認
「再請求」と「審査請求」は、名前が似ていますが、同じ手続きではありません。審査請求は、前回の決定に不服がある場合に、その決定について判断を求める手続きです。
日本年金機構の案内では、年金の決定に不服があるときは、原則として決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、社会保険審査官へ審査請求できるとされています。
再請求を準備していれば、その間は審査請求の期限が止まる、というものではありません。前回の決定自体に問題があると考えている場合は、書類を取り直すことだけに気を取られず、不服申立ての期限も早めに確認する必要があります。
再請求で受給できても、前回の決定が自動的に取り消されるわけではない
再請求によって現在の障害状態で年金が認められたとしても、それだけで前回の不支給決定が取り消されるわけではありません。
前回の請求後に症状が悪化した場合には、前回の判断と今回の支給が両立することもあります。「現在は等級に該当する」ことと、「前回の判断が誤っていた」ことは、分けて考える必要があるためです。
どの時点からの年金を求めているのか、前回のどの判断に疑問があるのかによって、検討する方法は変わります。同じ障害認定日の請求を再び行う場合にも、前回の決定や、追加できる資料を確認したうえで、どの手続きを選ぶべきかを考えることが大切です。
再審査請求や更新とも、手続きを混同しないようにしましょう
再審査請求は、審査請求の決定にさらに不服がある場合の手続きです。「障害年金を2回目に請求すること」を意味するものではありません。
また、すでに障害年金を受給している方の更新、障害が重くなった場合の額改定請求、支給停止になっている方の支給停止事由消滅届も、それぞれ役割が異なります。
インターネットでは「再申請」「再チャレンジ」などさまざまな言葉が使われますが、ご自身に必要な手続きは、以前どのような決定を受け、現在どのような状況にあるかによって確認する必要があります。
デメリットがあっても、再請求を検討できるのはこんなとき
前回の請求後に、病状や生活の状況が変わった
再請求の難しさを読むと、「一度不支給になったら、もう諦めた方がよいのだろうか」と感じるかもしれません。しかし、以前は障害等級に該当しなかった方でも、その後に状態が重くなれば、新たに請求を検討できることがあります。
例えば、治療を続けても症状が悪化し、身の回りのことに援助が必要になった場合などです。大切なのは、前回と現在の違いを、ご本人の訴えだけでなく、診療経過や生活状況から具体的に確認することです。
仕事を辞めたことや入院したことだけで受給が決まるわけではありませんが、生活の変化をたどることで、現在の障害状態について何を伝える必要があるかが見えてきます。
初診日や過去の状態を裏付ける資料が、新たに見つかった
前回は確認できなかった医療機関の記録や、当時の状況を示す資料が見つかることがあります。初診日や障害認定日の状態について、検討の前提が変わる可能性がある場面です。
ただし、「資料が1枚増えた」というだけで、前回の問題が解消したとは限りません。その資料が何を証明し、前回不足していたどの点を補うのかを確認する必要があります。
新しい資料と前回の提出内容が食い違っている場合には、その理由も検討します。根拠のある訂正や補足まで諦める必要はありませんが、資料同士の関係を確認せずに再提出することは避けたいところです。
前回の書類に、確認できる誤記や説明不足があった
前回の申立書を読み返して、「この期間の仕事の説明が抜けている」「家族の援助について書ききれていなかった」と気づくこともあります。体調が悪い中で長い経過を文章にするのは、簡単なことではありません。
その場合は、何が足りなかったのかを具体的にし、当時の記録や経過に沿って補足できるかを考えます。診断書の内容については、ご本人が一方的に書き換えるのではなく、作成した医師への確認が必要です。
記載が変われば必ず受給につながるわけではありませんが、実際の状況を正確に伝えるための確認は大切です。「もっと重く見せる」ことよりも、事実がどこまで資料に反映されているかを確かめる視点が役立ちます。
もう一度出す前に、再請求の準備で確認したい4つのこと
1.通知書だけでなく、前回提出した書類一式をそろえる
再請求を考えるときには、決定通知書に加えて、前回提出した診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書、追加資料、照会への回答などを確認したいところです。
最初の申立書と、審査中の質問に対する回答で、説明の内容が変わっていることもあります。そのため、診断書の写しだけで前回の請求全体を理解できるとは限りません。
控えが残っていない場合には、日本年金機構に保有個人情報の開示請求について確認する方法があります。どの資料が保有され、開示の対象になるかは個別に確認が必要で、取得にも時間がかかる場合がありますので、早めに準備を考えることが大切です。
2.今回の請求で、どの時点の状態を審査してもらうかを決める
現在の障害状態について請求するのか、過去の障害認定日の状態について請求するのかによって、必要な診断書や、説明する内容が異なります。
認定日の状態を審査してもらいたいのに、現在の大変さだけを詳しくまとめても、必要な証明にはつながりません。反対に、現在はすでに請求を検討できる状態なのに、過去の遡及請求にこだわって準備が進まないこともあります。
過去と現在を分けて確認することは、どちらかを簡単に諦めるという意味ではありません。それぞれに必要な資料と見通しを整理し、請求の目的をはっきりさせるための作業です。
3.前回と違う内容には、理由と根拠があるかを確かめる
前回の記載と今回の記載を見比べる際には、単に文章が違うかどうかだけではなく、その違いに説明がつくかを確認します。
現在の診断書で援助の必要性が増えているのであれば、前回以降の病状の変化や生活状況をたどります。同じ過去の時点について生活状況を訂正するのであれば、以前の表現が不正確だった理由や、それを確かめられる資料が重要です。
実際には悪化しているのに、前回の記載に合わせて軽く説明する必要はありません。逆に、受給のために実際より重くすることも適切ではありません。過去と現在の両方について、事実に沿った説明を組み立てることが大切です。
4.請求の時期と、期限のある手続きを確認する
事後重症請求には、原則として65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります。また、老齢年金の繰上げ受給など、別途確認しなければならない事情がある方もいらっしゃいます。
障害認定日請求では、過去の年金について時効の問題があります。再請求すれば必ず5年分受け取れるという意味ではなく、受給要件を満たすことや、どの期間の支払を受けられるかを確認する必要があります。
「再請求は1年待たなければならない」と一律に考えるのも適切ではありません。病状や資料、請求方法を確認せず、根拠のない待機期間を設けないことが大切です。審査請求を検討する場合には、その期限も別に管理する必要があります。
参考リンク:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
前回の書類を使えることもある?初診日証明の負担軽減について
同じ傷病・同じ初診日なら、以前の証明書類を利用できる場合があります
再請求には負担がある一方で、同一傷病・同一初診日で再び請求する場合、一定の条件のもとで、前回の初診日証明書類を利用できる取扱いがあります。
日本年金機構の申出書では、2017年度以降に提出され、かつ、その申出書の提出日から5年以内に提出された初診日証明書類が対象とされています。利用を希望する申出や、前回の資料の確認などが必要になりますので、ご自身が該当するかは年金事務所で確認することになります。
この取扱いは、前回の診断書が今回の障害状態の証明にもそのまま使えるという意味ではありません。また、この利用条件の「5年」は、請求記録が5年ですべて消えるという意味でもありません。書類の利用条件と保存の取扱いは、分けて理解することが大切です。
初診日が認められず却下された場合には、そのまま使えません
前回の請求で初診日が認められずに却下された場合は、この申出書による簡素化の取扱いを利用できないとされています。
もともと初診日の証明として認められなかった資料を、再請求というだけで有効な証明に変えられるわけではないためです。その場合は、受診の経過や証明方法について、改めて検討する必要があります。
前回の書類は、常に不利になるものではありません。確認に使える資料であるからこそ、役立つ面も、説明が難しくなる面もあります。何を再利用でき、何を新たに用意する必要があるのかを整理することが、再請求の準備では重要になります。
参考リンク:日本年金機構「障害年金前回請求時の初診日証明書類の利用希望申出書」
参考リンク:厚生労働省「同一傷病かつ同一初診日で障害年金を再請求する場合における初診日証明書類の取扱いについて」
「ダメなら社労士に頼めばいい」と考える前に知ってほしいこと
最初の請求には、再請求にはない準備のしやすさがあります
これから初めて障害年金を請求する方は、まだ提出していない段階で、初診日や診断書、申立書の内容を確認できます。不明な点を整理し、必要な資料がそろっているかを考える時間があることは、大切な意味を持ちます。
もちろん、初回の請求でも時間的な制約があることはありますし、準備をすれば必ず受給できるというわけではありません。それでも、提出してから説明の不足や矛盾に気づく場合とは、対応できる範囲が異なります。
一度提出した内容がその後にも関係するからこそ、「不支給なら直せばよい」という前提ではなく、最初から実態に沿って資料を整えておきたいところです。
社労士に依頼しても、前回の請求をなかったことにはできません
再請求を専門家に任せれば、以前の書類の問題がすべて解決すると思われることがあります。しかし、社労士であっても、過去に提出された内容や、当時の医療記録そのものを消すことはできません。
再請求では、前回何を提出し、どの点が問題となり、今回は何を根拠に請求するのかを確認するところから始まります。そのため、前回の書類が、請求の見通しや準備の方法を左右することがあります。
当事務所でも、再請求は前回提出した書類を把握したうえで、事案ごとに対応を検討しています。これから初回の請求を考えている方も、すでに不支給となった方も、結果への期待だけで進めるのではなく、確認すべき点を整理してから手続きを考えることが大切です。
関連リンク:最初の障害年金請求が重要な理由について詳しくはこちら
障害年金の再請求についてよくある質問
不支給になった後、すぐに再請求すれば結果が変わりますか?
再び請求するまでの期間だけで、結果が決まるわけではありません。前回の不支給理由が残っていれば、短期間で書類を出し直しても、その問題を解消できないことがあります。
前回の後に病状が変わったのか、新しい資料が見つかったのか、誤記の確認ができたのかなど、今回の請求で検討できる内容を整理することが大切です。
病院や社労士を変えれば、前の書類は関係なくなりますか?
医療機関や依頼する社労士が変わっても、ご本人の請求歴や提出済みの内容が無関係になるわけではありません。
転院後の医師が作成する診断書についても、どの時点の状態を、どの記録に基づいて証明するのかが重要です。相談先を変えることと、過去の請求を白紙に戻すことは、分けて考える必要があります。
再請求すると、初回より厳しい基準で審査されますか?
再請求という理由だけで、法令上の障害等級の基準が厳しくなるわけではありません。ただ、前回の提出内容があるため、今回の説明との違いを確認する必要が生じ、準備や説明が複雑になることがあります。
「一度不支給だったので、もう認められない」と決めつける必要もありません。大切なのは、今回の請求が要件を満たすことを、資料に沿って説明できるかどうかです。
障害認定日の再請求は、必ず失敗するのでしょうか?
必ず認められないと決まっているわけではありません。新たな資料や、根拠のある訂正・補足によって、検討すべき内容が変わることもあります。
ただし、同じ過去の時点を扱うため、現在の症状の悪化だけでは説明できません。前回の資料、決定理由、今回追加できる根拠を確認し、審査請求との違いも含めて方法を検討する必要があります。
さいごに
障害年金は、不支給や却下の決定を受けた後でも再請求を検討できます。しかし、再請求には、前回の提出内容との確認、費用や時間の負担、請求時期による受給開始への影響など、知っておきたいデメリットがあります。
特に、同じ障害認定日の状態について再び請求する場合は、過去の障害状態を証明する資料と、前回の書類との関係を慎重に確認する必要があります。「診断書を取り直せばやり直せる」とは限らないのです。
一方で、すでに請求したことを後悔し続ける必要はありません。まずは前回の決定理由と書類を確認し、現在の状態や、新たに確認できる資料を整理することが、次の方法を考えるために役立ちます。
当事務所への依頼をご希望で、ご自身の状況で再請求を検討できるか分からない方は、お問い合わせページの対応範囲をご確認のうえ、前回の請求時期、決定理由、書類の控えの有無などを添えてご相談いただければと思います。受給や受任をお約束するものではありませんが、事実関係を踏まえて対応の可否を判断いたします。
なお、当事務所では審査請求・再審査請求のご相談やご依頼はお受けしていません。前回の決定に対する不服申立てを検討している場合は、その手続きを扱う専門家や社会保険審査官の窓口へ、期限に注意して確認することが大切です。
これから初めて請求する方には、再請求できることだけを頼りにせず、最初の請求から丁寧に準備していただきたいと思います。障害年金を必要としている方が、ご自身に合った方法を落ち着いて考えるために、この記事が参考になれば幸いです。
