特別障害給付金とは【完全初心者向け】

ハート

初診日に国民年金任意加入していなかったために、障害年金の受給要件を満たせず障害年金の受給を諦めている方もいらっしゃると思います。
そのような方を救済するために「障害特別給付金」の制度があります。

障害年金とは法律や請求方法も異なりますので、ここでは障害特別給付金についてわかりやすく解説いたします。ぜひお読みください。

特別障害給付金とは

病気やケガで初めて病院に行った日(初診日)において国民年金に任意加入していなかったことにより、障害基礎年金等を受給することができない方を救済するために「特別障害給付金」の制度があります。

特別障害給付金制度は「特別障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」に定められており、障害年金とは異なる制度です。

参照:特別障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律

支給の対象となる方について

特別障害給付金の支給対象となる方は、次の①または②に該当する方で、現在障害年金で定める1級または2級の障害状態にある方になります。

また、65歳の誕生日の2日前までに障害状態に該当していることが前提です。

当然ですが、障害基礎年金や障害厚生年金を受給できる方は特別障害給付金の支給対象とはなりません。

①平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生

初診日が平成3年3月31日までの間にあり、初診日当時には国民年金任意加入の対象であった学生が特別障害給付金の対象になります。

国民年金任意加入であった学生とは

次の1または2の昼間部在学していた学生(定時制、夜間部、通信を除く)

  1. 大学(大学院)、短大、高等学校および高等専門学校
  2. また、昭和61年4月から平成3年3月までは、上記(1)に加え、専修学校および一部各種学校

一部の各種学校とは

一部の各種学校とは以下のとおりです。

  1. あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)第2条第1項に規定する学校及び養成施設
  2. 理容師法(昭和22年法律第234号)第3条第4項に規定する理容師養成施設
  3. 栄養士法(昭和22年法律第245号)第5条の2第2号並びに第5条の4第3号及び第4号に規定する養成施設
  4. 保健婦助産婦看護婦法(昭和23年法律第203号)第19条第1号に規定する学校及び同条第2号に規定する保健婦養成所、同法第21条第1号に規定する学校及び同条第2号に規定する看護婦養成所並びに同法第22条第1号に規定する学校及び第2号に規定する准看護婦養成所
  5. 歯科衛生士法(昭和23年法律第204号)第12条第1号に規定する歯科衛生士学校及び同条第2号に規定する歯科衛生士養成所
  6. 診療放射線技師法(昭和26年法律第226号)第20条第1号に規定する学校及び診療放射線技師養成所
  7. 歯科技工法(昭和30年法律第168号)第14条第1号に規定する歯科技工士養成所
  8. 美容師法(昭和32年法律第163号)第4錠第4項に規定する美容師養成施設
  9. 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律(昭和33年法律第67号)第15条第1号に規定する学校及び臨床検査技師養成所
  10. 理学療法士及び作業療法士法(昭和40年法律第137号)第11条第1号及び第2号に規定する学校及び理学療法士養成施設並びに同法第12条第1号及び第2号に規定する学校及び作業療法士養成施設
  11. 製菓衛生士法(昭和41年法律第115号)第5条第1号に規定する製菓衛生士養成施設
  12. 柔道整復師法(昭和45年法律第19号)第12条に規定する学校及び柔道整復師養成施設
  13. 視能訓練士法(昭和46年法律第64号)第14条第1号及び第2号に規定する文部大臣が指定した学校及び文部大臣が指定した学校及び厚生大臣が指定した視能訓練士養成所

②昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者等の配偶者

昭和61年3月以前に国民年金任意加入の対象であった会社員や公務員等の配偶者であって、当時任意加入していなかった期間内に初診日がある方が特別障害給付金の対象になります。

配偶者等とは
  1. 厚生年金保険、共済組合等の加入者の配偶者
  2. 上記1の老齢給付受給権者及び受給資格期間満了者(通算老齢・通算退職年金を除く)の配偶者
  3. 上記1の障害年金受給者の配偶者
  4. 国会議員の配偶者
  5. 地方議会議員の配偶者(ただし、昭和37年12月以降)
なぜ特別障害給付金の対象者は、平成3年3月以前の学生と昭和61年3月以前に被用者等の配偶者だった人なのでしょうか?
平成3年4月以降の学生と昭和61年4月以降に被用者等の配偶者である人は、国民年金の強制加入となっています。
任意加入の時期に国民年金に入れることを知らなかった人もいるため、特別障害給付金の制度ができたのです。

社労士 石塚

特別障害給付金の支給額について

特別障害給付金の支給額は、障害年金とは違い年金額ではなく月額で定められております。

支払いは年6回(2月、4月、6月、8月、10月、12月)で、前月までの分が支給されます。
(初回支払いなど特別な場合は、奇数月に前々月までの分が支給されることがあります。)

障害基礎年金1級相当に該当する方:令和2年度基本月額53,650円(2級の1.25倍)

障害基礎年金2級相当に該当する方:令和2年度基本月額42,920円

特別障害給付金で注意すること

65歳の誕生日の2日前までに請求する

特別障害給付金は65歳の誕生日の2日前までに請求しなければなりません。

ただし、一度特別障害給付金の受給資格者となったことがある人であって、その後障害等級に該当しなくなり特別障害給付金が支給されなくなった場合には、65歳以後であっても請求することができます。

福祉的な給付金であるため所得制限がある

特別障害給付金は障害年金が受給できない人の救済制度となり、福祉的な給付金です。
そのため、特定障害者(特別障害給付金を受給する者)の前年の所得が一定額以上であるときは、全部または2分の1が支給停止されます。

これは20前傷病の障害基礎年金と同じ所得制限です。

社労士 石塚

参照:特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律施行令

以下のような場合には特別障害給付金は支給されません。

  1. 日本国内に住所がない場合
  2. 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合

その他

  • 老齢年金、遺族年金、労災補償等を受給している場合には、併給調整されます。
    老齢年金等の額が特別障害給付金の額を上回る場合は、特別障害給付金は支給されません。
  • 特別障害給付金は認定を受けた後、請求した月の翌月から支給されます。
  • 障害年金のような遡及しての支給はありません。
  • 申請により(本人の選択により)国民年金の保険料の全額または半額が免除になります。
    (本人、世帯主、配偶者の所得は問われません。)

請求手続きの方法について

どこで手続きをするのか

請求の窓口は、住所地の市区役所・町村役場になります。

特別障害給付金の審査・認定・支給にかかる事務は日本年金機構が行い、障害基礎年金と同様です。

請求手続きに必要な書類とは

特別障害給付金の請求に必要な書類は以下のとおりです。

書類が全て揃っていなくても窓口では受付けをすることになっておりますので、請求が遅れそうな場合には「特別障害給付金請求書」だけでも先に提出をするとよいでしょう、

①特別障害給付金請求書

②年金手帳または基礎年金番号通知書

③障害の原因となった症状にかかる診断書(請求書の受付日前後3か月以内に作成されたもの)

④病歴・就労状況等申立書

⑤受診状況等証明書

⑥特別障害給付金所得状況届

⑦生年月日についての市区町村長の証明書(住民票)または戸籍抄本
(1の特別障害給付金請求書に個人番号(マイナンバー)を記載した場合は省略することができます)

⑧公的年金制度等から年金等を受給している場合、その受給額を明らかにする書類(年金額改定通知書など)

⑨初診日において国民年金任意加入対象の学生であった方が必要となる書類

  1. 在学(籍)証明書
  2. 在学内容の確認にかかる委任状

⑩初診日において配偶者が会社員や公務員等で、国民年金任意加入対象出会った方が必要となる書類

  1. 戸籍謄本または抄本(生年月日及び婚姻年月日確認のため)
  2. 初診日において配偶者の公的年金等の加入・受給の状況を明らかにすることができる書類が必要になる場合があります

参照:特別障害給付金制度

さいごに

初診日に国民年金に任意加入していなかったため、障害年金の要件を満たせない方を救うのが「特別障害給付金」の制度です。

もしかしたら障害特別給付金がもらえる可能性があるかもしれませんので、「自分も対象かも」と思われた方はぜひ社労士にご相談ください。