発達障害の種類一覧!それぞれの特徴や支援先もご紹介

いろいろな花

職場の人とうまく話せなくて毎日憂鬱・・・
今日もうっかりミス。気を付けているのにミスが減らなくて落ち込む

もしあなたにこんな悩みや不安があったら、その原因は発達障害かもしれません。

発達障害の方は、生きづらさを抱え日常生活や仕事面でうまくいかないことが多くあります。

近年認知されつつありますが、発達障害にはどんな種類があるのかよく知らない方も多いです。

そこで本記事では、発達障害の種類や特徴についてくわしく解説します。
発達障害の方の支援先や発達障害との付き合い方もご紹介するので、自分は発達障害かもしれないとお悩みの方は参考にしてください。

発達障害とは

発達障害は生まれつきの脳発達の偏りからくる特徴のことです。
人は誰でもそれぞれの特徴を持ち生活していますが、日常生活や職場、学校で支障をきたしている状態になると発達障害と診断されることがあります。

出典:発達障害って、なんだろう?(政府広報オンライン)

発達障害は生活環境などの要因が複雑に関係し、さまざまな特徴を持つことが知られています。

代表的な発達障害は、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如多動症)、LD(学習障害)の3つです。

大人になってから気づく発達障害は、ASDとADHDが大部分を占めています。

参考:発達障害の理解のために(厚生労働省)

発達障害の種類と特徴

主な発達障害の種類は次の通りです。

青字をクリックするとジャンプします。

それぞれの発達障害の特徴について順にご紹介します。

ASD(自閉症スペクトラム障害)

人とコミュニケーションを取ることが苦手で、こだわりが強いなどの特徴がある障害です。

ASDの主な特徴は下記の通りです。

  • 他人の感情や考えを推測するのが苦手
  • 特定のものや行動へのこだわりが強く、変更ができない
  • 決められらたことや手順を守り、真面目に取り組む
  • 興味のあることを徹底的に調べる
  • 感覚過敏や感覚鈍麻

感覚過敏のある方は、職場での周囲の会話や物音が気になり作業に集中できません。一方で感覚鈍麻の方は、気温の変化があっても暑さや寒さを感じづらかったり、けがをしても痛がらないこともあります。

参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について(e-ヘルスネット)

ADHD(注意欠如多動症)

ADHDは、不注意や多動、衝動性が見られる障害です。それぞれの主な特徴をまとめました。

【不注意に見られる特徴】

  • 忘れ物が多く、鍵や財布など大切なものをなくしてしまう
  • 集中力が長く続かない
  • 飽きやすく、すぐに注意が散漫になる

【多動・衝動性に見られる特徴】

  • 待つことが苦手で、衝動的に行動する
  • 他の人が話していても割って入る
  • 思いついたことをよく考えずすぐに口に出してしまう

ADHDは、どちらかの特徴のみを強く持つ人もいれば、上記の2つを併せ持つ人もいるため、特徴の出方には個人差があります。

ADHDについて下記の関連記事で更にくわしく解説しています。

ADHD(注意欠如・多動性障害)とは?原因・症状・治療法を解説


参考:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療(e-ヘルスネット)

LD(学習障害)

LD(学習障害)は全体的な発達の遅れはないのに、学習する上で必要な読み、書き、計算の分野だけがうまくできない障害です。
LDには次の3つの特徴があります。

読字障害(ディスレクシア)

読むことが困難なため書くことも難しい障害で、「発達性読み書き障害」と呼ばれることもあります。
読むことが極端に遅く、単語を途中で区切ったり、文字を一つ一つ拾って読む特徴があり、読むことで疲れてしまい読書に対する拒否感が生まれやすいです。

「お」と「を」など同じ音で発音される文字の表記が苦手で、画数の多い漢字にも誤りが多く見られます。

参考:ディスレクシア(国立成育医療研究センター)

書字表出障害(ディスグラフィア)

文字や文章を書くことを苦手とする障害で、表面化する特徴は一人ひとり違います。
書字表出障害(ディスグラフィア)の主な特徴は下記の通りです。

  • 文字を書くと左右が反転した鏡文字※になる
  • 字を書き写すことができない
  • 文字の大きさを揃えて書くことが難しい

※鏡文字は幼少期の発達過程で誰にでも起こるもので、必ずしも書字表出障害であるとは限りません。

算数障害(ディスカリキュリア)

算数や計算が苦手となる障害で、数学的な考え方をすることが難しい状態です。

算数障害の主な特徴には次のようなものがあります。.

  • 図形の理解が苦手で、模写ができない
  • 時計が読めなかったり、九九が覚えられない
  • 数の大小がわからない

他人とのコミュニケーションには問題がなく、国語などの習熟度が周囲と変わらない場合、算数障害(ディスカリキュリア)である可能性があります。

発達性協調運動障害


発達性協調運動障害とは「不器用」のことであり、手足などの身体の動きをコントロールして行うことができず、日常生活に支障が出る状態です。

発達性協調運動障害の主な特徴は下記の通りです。

  • お箸が使えない
  • 自転車に乗れない
  • よく転ぶ
  • 階段の昇り降りがぎこちない

発達性協調運動障害は学童期では5~6%程が該当すると報告されており、ADHDやLDと併存するケースも多く見られます

参考:こころの情報サイト

チック症

チック症とは、まばたきや奇声などが本人の意思に関係なく繰り返し出てしまう障害です。

チック症の症状には音声チックと運動チックがあり、それぞれの主な特徴は下記の通りです。

【音声チック】

  • 咳払い
  • 鼻すすり
  • 奇声を発する

【運動チック】

  • まばたき
  • 肩をすくめる
  • 他人を触る

チック症は5~7歳で発症することが多いですが、大半のケースでは1年以内に症状が消失します。

参考:こころの情報サイト

トゥレット症

運動チックと音声チックが1年以上続き、日常生活に支障をきたすものがトゥレット症です。
チック症と同じように本人の意思とは関係なくチックが出てしまうのが特徴で、1万人に数人程度の割合で発症します。

トゥレット症は10~15歳頃に症状が強くなる傾向があり、大人になっても強い症状が続くケースもあります。

参考:こころの情報サイト
参考:発達障害って、なんだろう?(政府広報オンライン)

吃音

「どもる」と言われる話し方の障害で、幼児期や学童期に出始めることが多く、2~4歳頃に10~20人に1人くらいの割合で起こります。

吃音の主な特徴は次のようなことがあげられます。

・初めの音や言葉の一部を何回か繰り返す
 (例)「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくね」「あ、あ、あ、あのね」など

・初めの音を引き伸ばす
 (例)「ぼーーーーーくね」など

・最初の言葉が出づらく、力を込めて話す

吃音の大半は自然に消失することが多く、まれに成人しても継続したり、大人になって症状が強くなるケースも見られます。


参考:こころの情報サイト
参考:発達障害って、なんだろう?(政府広報オンライン)
参考:吃音、チック症、読み書き障害、不器用の特性に気づく「チェックリスト」活用マニュアル(厚生労働省)

発達障害との付き合い方

発達障害は脳の発達のしかたに生まれつき凸凹がある障害です。
生まれつきの個性の一部なので「治す」よりも、発達障害の特徴とうまく折り合いをつけて付き合いましょう。

特に、お子さんの場合は本人の成長とともに改善されていく課題や困りごともあります。
発達障害は治らないという先入観を持たずに、生活習慣を工夫して困りごとを減らしましょう。

生活習慣の工夫の例を以下の表にまとめました。

困りごと対策や工夫
時間管理が苦手スマホのアラームを活用する
文字を読むのが難しいPCやスマホの読み上げ機能を使う
スケジュール管理ができないやるべきことをToDoリストにして、優先順位を確認してから作業を始める

生活習慣を工夫してもできないことや苦手なことは周りに相談してサポートしてもらうことも大切です。

次章では発達障害の相談や支援についてご紹介します。

発達障害の相談がしたいとき

発達障害の相談ができるところは、下記の4つがあげられます。

※青字をクリックするとジャンプします

それぞれ順番に見ていきましょう。

精神科・心療内科


精神科や心療内科では、発達障害の診断や治療について相談できます。

発達障害を診療できる病院はまだ多くはないので、事前に確認してから受診しましょう。

発達障害の診断の際には子どもの頃からの様子をくわしく聞かれるため、成長記録や通知表、両親の証言を準備するとスムーズに診察が進みます。

発達障害と診断されると、障害者手帳や障害年金の申請ができることがあります。

障害者手帳を交付を受けると、税金の優遇や各種福祉サービスを受けることが可能です。
また、障害年金の受給が決定すると年金として現金が支給されます。
いずれの制度も発達障害の方の生活を経済的に支える重要な制度です。

障害者手帳と障害年金については下記の関連記事でくわしく解説しています。

四葉のクローバー精神障害者保健福祉手帳とは?申請方法まで徹底解説 年金手帳と電卓障害年金とは【専門家がわかりやすく解説します】

発達障害者支援センター


発達障害者支援センターでは、発達障害の方が豊かな地域生活を送れるように、関係機関と連携し生活全般や仕事など様々な相談に応じています。
発達障害のある方のご家族や、発達障害の診断を受けていない人でも相談可能です。

また啓蒙活動として、発達障害をより多くの人に理解してもらうために地域住民向けの講演会を開催しています。

参考 発達障害者支援センター・一覧発達障害者支援センター

発達障害情報・支援センター


発達障害情報・支援センターでは、発達障害の国内外の文献や研究成果など正確で信頼できる情報の発信や啓蒙を行っています。

ライフステージに合わせた情報提供を行っており、子どもから大人まで切れ目なく発達障害についての正確な情報収集が可能です。

参考 発達障害情報・支援センター発達障害情報・支援センター

障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)


障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)は、障害のある方の生活から仕事まで一体的な相談・支援を行い、全国に337か所設置されています。(令和5年4月1日時点)

健康管理やお金の管理などの日常生活に必要な自己管理の助言や、住居や生活設計の相談にも応じており、障害のある方の自立した職業生活をサポートします。

参考 障害者就業・生活支援センターについて厚生労働省


発達障害の方への就労支援や仕事についてさらに知りたい方は、下記の関連記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

ハートと手発達障害に向いている仕事とは?ASD・ADHD・LDの特性や就労支援もご紹介

まとめ


発達障害は代表的なADHD、ADS、LDのほかにも、発達性協調運動障害(DCD)やチック症など多くの種類があります。

一つの障害だけではなく、複数の障害を併せ持つことも少なくないため、発達障害の特徴の表れ方には個人差が大きいです。

スケジュール管理ができないなどの困りごとを多く抱えやすい発達障害ですが、本人の成長や生活習慣の工夫で改善されることも多くあります。

発達障害の困りごとが自分の力や工夫で解決できないときは、ひとりで悩まず周囲の人や支援先へ相談しましょう。