障害年金を申請するにあたり、最も大切なのが「診断書」です。
さまざまな疾患によって日常生活に大きな支障が出ていても、診断書が無ければ申請ができません。
そのため、障害年金の受給を希望している方は、ひとまず主治医に診断書の作成を依頼する必要がありますが、主治医の意向や状況によっては「診断書を書けない」といわれてしまうケースもあります。
そこで今回は、障害年金の診断書がもらえないケースと対処法について、詳しく解説していきます。
目次
障害年金の受給申請において診断書が重要になる理由
診断書は、障害年金の受給申請において最も重要な書類です。
なぜなら、診断書は申請者本人や家族以外の「第三者かつ医療の専門家が証明する、客観的かつ信憑性の高い書類」となるからです。
年金機構は、医師から発行された診断書の内容をもとに、障害年金の支給可否や等級を決定します。
冒頭でも解説したように、診断書がなければ障害年金の受給はもちろん、申請すら行えません。
診断書がもらえないことって本当にあるの?
医師法第19条2項には、
「正当な理由がない限り、医師は診断書を交付する義務がある」
という旨の記載があります。
こう聞いて、多くの方は「それなら診断書の作成を拒否されることはないのでは?」と感じるでしょう。
たしかに、上記の通り患者が希望した場合、医師は原則として診断書を作成する義務がありますが、これはあくまでも「正当な理由に該当しない場合」のみです。
医師が「正当な理由に該当する」と判断した場合、診断書の作成を拒否される可能性があるため注意してください。
患者が請求しても診断書がもらえないケース5選
診断書がもらえずに悩んでいる方は、ひとまずその理由を確認することが大切です。
医師が診断書の作成を拒否するケースとしては、以下のようなことが考えられます。
・障害年金の受給対象者・診断書の交付対象者ではないと判断された
・通院回数が少ないと判断された
・正当な理由ではないと判断された
・障害年金の受給が治療の妨げになると判断された
・診断書を作成するのが面倒だと感じている
障害年金の受給対象者・診断書の交付対象者ではないと判断された
「障害年金の受給対象者ではない」と医師に判断された場合、診断書の作成を断られることがあります。
例えば、症状が不安定で医学的根拠に基づく断定ができない場合や、症状が軽微な場合などです。
また、患者本人や患者の法定代理人、もしくは正当な委任を受けた代理人以外から、本人の承諾なしに申請があった場合、そもそも診断書の交付対象ではないと判断されるため、申請書の作成を拒否される可能性が高いといえます。
※法令上の届け出義務、報告義務等に基づく場合は例外
通院回数が少ないと判断された
障害年金の診断書では、症状の継続性や生活への影響が重要視されます。
そのため、通院回数が極端に少なかったり、通院間隔が長すぎたりすると、医師に「状態を十分に把握できない」と判断される可能性が高いです。
特に精神疾患など、長期にわたる通院や治療が必要な症状の場合、一定回数および一定間隔での通院が求められます。
診断書を書いてもらうためには、症状が安定していても定期的な通院を続け、医師に日々の状態や生活への支障を理解してもらうことが大切です。
正当な理由ではないと判断された
先ほども解説したように、医師法第19条2項には「正当な理由がない限り、医師は診断書を交付する義務がある」と記載されています。
逆にいえば、正当な理由がある場合は診断書の作成を拒否できるということです。
医師が考える正当な理由としては、以下のようなものが考えられます。
・患者に病名を知らせることが望ましくない
・診断書が恐喝や詐欺などに不正使用される恐れがある
・医学的な判断が不可能である
・雇用者や友人などが本人の承諾なしに請求してきた
このような場合、あらゆるリスクやトラブルを懸念して、医師が診断書の作成を拒否することがあります。
障害年金の受給が治療の妨げになると判断された
障害年金を受給すること自体が、患者の治療意欲や回復の妨げになると考え、診断書の交付を拒否するケースは意外と多いです。
特にうつ病をはじめとする精神疾患のケースでは、
「障害年金を受け取ることで、社会復帰への意欲が下がるのではないか」
と懸念されることがあります。
このような場合、患者と医師の認識にギャップが生じやすいため、障害年金を受給したい背景(経済的困窮や生活への支障など)を冷静に説明し、認識の相違を防ぐことが大切です。
診断書を作成するのが面倒だと感じている
障害年金の診断書は、一般的な診断書に比べて記入項目が多く、症状や生活状況を詳細に記載する必要があります。
慣れていない医師にとっては時間と労力がかかるため、何らかの理由をつけて拒否するケースがあるのです。
その他、医師が障害年金の診断書の書き方を知らない場合もあります。
このようなときは、障害年金に詳しい社労士に相談して、依頼文を書いてもらったり、医師との間に入ってもらったりするのがおすすめです。
障害年金の診断書がもらえない場合の対処法
医師に診断書の作成を断られてしまったとき、多くの方は「障害年金の受給を諦めるしかない」と感じてしまうでしょう。
しかし、いくつかの方法を取ることで解決できるケースもあります。
ここでは、診断書をもらえないときに取るべき具体的な対処法を紹介します。
医師としっかりコミュニケーションを取る
まず試していただきたいのが、主治医とコミュニケーションを取ることです。
診断書を断られる背景には、さまざまな誤解が潜んでいる場合があります。
そのため、医師としっかりコミュニケーションを取り、障害年金がなぜ必要なのかを具体的に伝えることが大切です。
また、医師とコミュニケーションを取ることで、なぜ診断書を書いてくれないのか、どうすれば診断書を書いてくれるのかを理解しやすくなるため、次の手を打ちやすくなります。
転院を検討する
どうしても主治医に診断書を書いてもらえない場合は、別の病院への転院を検討するのがおすすめです。
医師にも考えや理念があり、全ての医師が障害年金の申請に協力的とは限りません。
転院することで、症状を理解してくれる医師と出会える可能性が高まります。
ただし、転院する際は「初診日」を証明する書類を取っておくことが大切です。
初診日が分からなくなると、障害年金の申請ハードルが高くなります。
転院を考えるときは、紹介状や診断情報提供書を必ず受け取り、記録を引き継ぐようにしましょう。
社労士に相談する
障害年金の申請や診断書の作成依頼が難航している場合は、障害年金に詳しい社労士に相談するのがおすすめです。
社労士に相談することで、医師への依頼文作成や診断書の修正依頼等、専門的なサポートを受けられるようになります。
また、複雑な手続きも代行してくれるため、スムーズに障害年金を受給しやすくなるのです。
障害年金の受給や申請関連の不安や悩みを抱えている方は、ひとまず社労士に相談してみましょう。
障害年金の受給申請を社労士に依頼するメリット
障害年金の申請は、診断書の依頼から書類作成、年金事務所への提出に至るまで、複雑で時間のかかる作業が多くあります。
一人で対応しようとすると、医師との関係に悩んだり、内容の不備で申請が通らなかったりする可能性が高まります。
そこで頼りになるのが、障害年金に精通した社会保険労務士です。
ここでは、社労士に障害年金の受給申請を依頼するメリットを紹介します。
医師とのやり取りがスムーズになる
障害年金の診断書作成は、医師に依頼しなければなりません。
しかし、医師によっては「どのように書けば良いかわからない」「負担が大きい」と感じるケースもあります。
社労士に相談することで、医師に対する依頼文の作成や修正依頼などを行ってくれるため、やり取りをスムーズに進められます。
また、申請者が直接医師に頼みにくい場合でも、社労士の存在がクッションの役割を果たしてくれるため、より円滑な関係を構築できる可能性が高いです。
複雑な書類作成を代行してもらえる
障害年金を受け取るためには、診断書だけでなく、各種申請書など多くの書類を揃えなければなりません。
これらの書類は記載内容が多く、書式も複雑であり、少しのミスで差し戻しや不支給に繋がる可能性があります。
社労士は、障害年金の受給申請に必要な書類の書き方を熟知しているため、スムーズに手続きを行えます。
同時に、自分で調べながら作成をする手間を軽減できるため、一石二鳥といえるのです。
不支給リスクを減らせる
障害年金は、申請すれば誰でも受給できるというものではありません。
提出書類の内容や状況によっては、不支給になってしまうこともあります。
社労士に依頼することで、専門家の視点から「どうすれば申請に通りやすくなるか」といったアドバイスを含めて対応してもらえるため、不支給リスクを減らせます。
また、万が一不支給となった場合に、不服申し立てや再申請のサポートを受けられる点も安心材料です。
安心して申請を進められる
障害年金の申請は、やろうと思えば自分でも行えます。
しかし、先ほども解説したように、障害年金の申請には医師からの診断書だけでなく、各種申請書など複数の書類が必要です。
これらを自分自身で調べながら用意したり、記入したりするのはとても大変です。
特に、体調が不安定な中で申請作業を進めるのは、心身ともに大きな負担となります。
社労士に依頼することで、障害年金の受給申請にかかわる書類の手配や手続きを一任できるため、終始安心して手続きを進められます。
障害年金の診断書がもらえないときは「ピオニー社会保険労務士事務所」にご相談ください!
障害年金の申請においては、診断書がもらえないという理由で諦めてしまったり、不安や焦りを感じてしまったりする方が少なくありません。
しかし、障害年金は生活を支える大切な制度であり、必要とされる方が適切に受給できるようにすることが何よりも大切です。
ピオニー社会保険労務士事務所では、障害年金のプロフェッショナルとして、多くの案件を受任しています。
相談実績は5,000件を超えており、障害年金受給率は99%を維持しています。
他の社労士事務所に断られた案件も数多く受任していますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。
まとめ
障害年金の申請において、診断書は最も重要な書類です。
しかし、場合によっては医師が診断書を書いてくれないケースもあり、そうなれば障害年金の受給申請が行えなくなります。
このような場合、多くの方は「障害年金を受け取れないのでは」と諦めてしまいますが、正しく対処することで問題を解決できる可能性があります。
特におすすめなのが、社労士に相談することです。
障害年金に精通した社労士に相談することで、医師への依頼文や修正依頼、それから手続き全般を任せられるようになります。
ピオニー社会保険労務士事務所でも、障害年金のサポートを行っていますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。