障害年金の申請で社労士と精神科医は何をする?それぞれの役割と適切な関係

精神疾患で障害年金を申請するとき、重要な役割を担うのが主治医である精神科医です。

そして、障害年金の申請手続きをサポートする専門家として社会保険労務士(社労士)がいます。

精神疾患による障害年金では、医師が作成する診断書が審査において非常に重要な資料となるため、精神科医と障害年金を専門とする社労士は、同じ障害年金の申請に関わることがあります。

しかし、精神科医と社労士の役割はまったく異なります。

精神科医は、患者を診察し、診断や治療を行い、医学的な判断に基づいて診断書を作成します。

一方、社労士は障害年金制度や申請手続きの専門家として、初診日や保険料納付要件などを確認し、申請に必要な書類を整えて手続きを進めます。

社労士が患者を診断することはできませんし、医師に代わって診断書を書くこともできません。

また、障害年金を受給するために、医師に対して「もっと重く書いてください」「ここはこの評価にしてください」と医学的な判断に介入することも、社労士の仕事ではないと私は考えています。

一方で、精神科医が診察だけでは把握しにくい患者の日常生活の状況があり、それが障害年金の診断書では重要になることも事実です。

では、精神疾患の障害年金において、精神科医と社労士はそれぞれどのような役割を担っているのでしょうか。

この記事では、障害年金を専門とする社労士の立場から、精神科医と社労士の役割の違いと、障害年金申請における適切な関係について詳しく解説します。

目次

精神疾患の障害年金では診断書がとても重要

うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害などの精神疾患も、一定の障害状態に該当すれば障害年金の対象になります。

精神疾患の場合、原則として「精神の障害用」の診断書を使用します。

精神の障害は、肢体の障害における関節可動域や、視覚障害における視力のように、ひとつの数値だけで障害の程度を表すことが難しいという特徴があります。

そのため、

・現在の病状
・治療の内容
・日常生活能力
・家族などから受けている援助
・就労状況
・職場で受けている援助や配慮

など、さまざまな情報をもとに障害状態を判断します。

日本年金機構も、障害等級を適切に決定するためには、診断書の内容ができる限り詳細かつ具体的に記載されていることが重要であるとしています。

精神疾患で障害年金を申請するときに、診断書が重要である理由はここにあります。

障害年金の診断書を書くのは医師

当然のことですが、障害年金の診断書を作成するのは医師です。

精神疾患であれば、通常は患者を診療している精神科医などが作成します。

診断名を決めること。

病状を評価すること。

治療内容を決めること。

日常生活能力について医学的な見地から評価すること。

これらは医師の領域です。

社労士が判断するものではありません。

障害年金を専門として長年多くの精神疾患の申請に関わっていたとしても、社労士は医師ではありません。

その境界を越えないことは、とても重要なことだと考えています。

社労士が診断書を書くことはできない

障害年金の申請を社労士へ依頼すると、

「社労士が診断書を作ってくれる」

と思っている方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、これは違います。

社労士が診断書を作成することはできません。

また、医師が記載すべき医学的評価について、

「ここは一人でできないにしてください」
「日常生活能力の程度を(4)にしてください」
「2級になるように書いてください」

などと指定することも、本来の社労士の仕事ではないと考えています。

障害年金の診断書は、患者の状態を診察している医師が、その医学的判断に基づいて作成するものです。

障害年金申請における精神科医の役割

精神科医の第一の役割は、障害年金の申請を通すことではありません。

患者を診察し、適切な診断と治療を行うことです。

障害年金を受給できるかどうかを判断することを目的として、患者を診察しているわけではありません。

このことは、障害年金を申請する側も理解しておく必要があります。

精神科医は診断と治療の専門家

精神科医は、

・患者から症状を聞く
・診断する
・薬物療法などの治療を行う
・病状の経過を確認する
・必要に応じて治療方針を変更する

といった医学的な役割を担っています。

そして障害年金の診断書を依頼された場合には、それまでの診療経過や現在の状態などをもとに診断書を作成します。

社労士がその医学的判断を変更させるような働きかけをすることは、適切ではありません。

障害年金制度そのものの専門家とは限らない

一方で、精神科医は年金制度の専門家ではありません。

精神科医が障害年金に詳しくないことが問題だという意味ではありません。

医師と社労士では、そもそも専門分野が違うからです。

精神科医は医学の専門家であり、社労士は社会保険制度の専門家です。

そのため、主治医から、

「あなたは障害年金をもらえないと思います」

と言われたとしても、その言葉が医学的な意味で「障害状態が軽い」という趣旨なのか、障害年金制度上のすべての受給要件を確認したうえでの判断なのかは分けて考える必要があります。

反対に、

「障害年金を申請したほうがいいですよ」

と医師から勧められたとしても、それだけで障害年金の受給が決まるわけではありません。

障害年金には、障害状態だけでなく、初診日や保険料納付要件などの要件もあるからです。

医師の役割と社労士の役割は異なります。

障害年金専門の社労士は何をするのか

では、障害年金を専門とする社労士は何をするのでしょうか。

社労士の役割は、障害年金制度に基づいて申請手続きを適切に進めることです。

具体的には、

・初診日の確認
・加入していた年金制度の確認
・保険料納付要件の確認
・障害認定日の確認
・請求方法の検討
・必要書類の確認
・病歴・就労状況等申立書の作成
・年金事務所などへの書類提出

といった手続きを行います。

そして、障害年金の障害認定基準や精神の障害に係る等級判定ガイドラインなどを確認しながら、申請に必要な書類を整えていきます。

社労士は障害年金制度の専門家

障害年金には、病気や障害の状態以外にも多くの確認事項があります。

たとえば、

「最初に受診した病院が閉院している」
「最初はうつ病だったが、後から発達障害と診断された」
「初診日の頃は会社員だった」
「障害認定日には通院していなかった」
「過去に別の精神疾患で受診していた」

など、ひとつひとつの事情によって申請方法が変わることがあります。

こうした障害年金制度上の問題を整理し、どのように申請するのかを考えるのが社労士の役割です。

病歴・就労状況等申立書を作成する

障害年金の申請では、診断書とともに「病歴・就労状況等申立書」を提出します。

診断書は医師が作成しますが、病歴・就労状況等申立書は本人の発病から現在までの経過や、日常生活・就労状況などを説明するための書類です。

社労士が申請を代理する場合には、本人から詳しく状況を聞き取り、病歴・就労状況等申立書を作成することがあります。

ここは社労士が力を発揮できる部分です。

医師が作成する診断書を書き換えることではなく、社労士が作成できる書類によって、本人の経過や生活状況を正確に審査側へ伝えることが重要です。

なぜ精神科医と障害年金社労士の間で問題が起きるのか

近年、SNSなどで、精神科医から障害年金社労士に対して厳しい意見が示される場面を目にすることがあります。

障害年金を専門としている社労士としては残念なことですが、その背景について考える必要もあると思っています。

そのひとつに、一部の社労士による診断書への過度な関与があるのではないでしょうか。

診断書の「書き方」を医師に指定する

たとえば社労士が、

「この項目はこの評価にしてください」
「ここにこの文章を書いてください」
「この程度では障害年金が通らないので、もっと重くしてください」

など、診断書の記載内容について医師に指示するケースです。

障害年金の認定基準を理解していることと、医学的な評価をすることは別です。

障害年金を何件扱っていても、社労士が患者を診断することはできません。

そのため、診断書の医学的な評価について医師に指示することは、社労士としての役割を越えた関与になりかねません。

「障害年金を通すための診断書」を求めることの問題

障害年金を依頼した方から、

「何とか受給できるようにしてほしい」

と言われることがあります。

その気持ちは理解できます。

しかし、社労士の仕事は「何が何でも障害年金を受給させること」ではありません。

実際の障害状態が2級に該当しないにもかかわらず、2級に認定されるような診断書を医師に求めることは適切ではありません。

社労士がするべきことは、

実際の障害状態が、申請書類に正確に反映されるように手続きを整えること

だと私は考えています。

障害状態を重くすることと、実際の障害状態を正確に伝えることは、まったく違います。

医師が不快に感じるのは当然のこともある

もし医師が医学的な判断に基づいて作成した診断書について、診察をしていない社労士から、

「この評価では軽すぎます」
「この項目を変更してください」
「この内容では2級にならないので直してください」

と言われたら、医師が不快に感じることがあっても不思議ではありません。

それは、自分の専門領域に別の資格者が介入してきたと感じるからでしょう。

こうした経験が積み重なれば、

「障害年金社労士は診断書に口を出してくる」

という印象を持つ医師が出てくることも理解できます。

しかし、すべての障害年金社労士がそのような仕事をしているわけではありません。

医師の医学的判断を尊重し、その領域には踏み込まないという姿勢で障害年金業務を行っている社労士もいます。

社労士は精神科医に何を伝えるべきなのか

では、社労士は医師と一切関わらないほうがよいのでしょうか。

そういうことでもありません。

障害年金では、医師が診察だけでは把握できない情報が重要になることがあるからです。

特に精神疾患では、患者の日常生活の状態が障害等級の判断に大きく関係します。

医師が患者の日常生活をすべて知っているとは限らない

精神科の診察では、限られた時間の中で診察が行われます。

主治医は病状や治療経過をよく理解していても、患者が自宅でどのように生活しているかをすべて把握しているとは限りません。

たとえば、

・食事を家族が用意している
・何日も入浴できないことがある
・部屋を片付けられない
・金銭管理を家族に任せている
・一人では公共交通機関を利用できない
・家族に通院日を管理してもらっている
・薬を家族に準備してもらっている

といったことを、診察で一度も話していないことがあります。

本人にとっては、それが長年当たり前の生活になっているため、「困っていること」として医師に話していない場合もあります。

社労士ができるのは「情報を整理すること」

障害年金専門の社労士ができることのひとつは、本人から日常生活について詳しく聞き、その情報を整理することです。

たとえば本人が、

「食事はできます」

と答えたとします。

詳しく聞いてみると、

「自分では作れないので母親が毎日作っている。食卓に出してもらえば食べられる」

ということがあります。

また、

「通院は一人でできます」

と言っていても、

「母親が受診日を管理して、当日の朝に起こしてくれ、電車に乗る時間まで教えてもらっている」

ということもあります。

こうした情報を整理することはできます。

しかし、その情報をもとに、

「だから日常生活能力の判定はこの評価にしてください」

と決めるのは社労士の役割ではありません。

実際の生活状況を医師に伝え、その情報を踏まえて医学的にどのように評価するかは、医師が判断することです。

「診断書を重く書いてもらう」のではなく「正しく伝える」

障害年金の申請について、

「診断書を重く書いてもらうことが大切」

という表現を目にすることがあります。

しかし、私はこの考え方には賛成できません。

診断書は重く書いてもらうものでも、軽く書いてもらうものでもありません。

実際の状態を正確に書いてもらうものです。

本人が自分の状態を軽く伝えていることもある

精神疾患では、本人自身が日常生活上の問題をうまく認識できていない場合があります。

また、診察で医師から、

「食事はできていますか?」
「お風呂には入れていますか?」
「買い物には行けますか?」

と聞かれたときに、

「はい」

と答えてしまうことがあります。

嘘をついているわけではありません。

本人の中では、

「何とかやっている=できている」

と考えているからです。

しかし、障害年金の診断書では、どの程度援助が必要なのかという視点も重要です。

そこで社労士が本人とのやり取りの中で生活状況を整理し、

「このことは主治医の先生に伝えていますか?」

と確認することがあります。

伝えていなければ、次回の診察で本人から主治医に伝えてもらう。

これは、医師に診断書の評価を指定することとはまったく違います。

医師の評価と本人の希望が違うこともある

本人が、

「自分は2級だと思う」

と考えていても、医師が同じ評価をするとは限りません。

また、社労士が障害認定基準を確認して2級の可能性があると考えても、医師が医学的な見地から異なる評価をすることもあります。

その場合に、

「2級になるように診断書を書いてください」

と医師に求めることはできません。

社労士ができるのは、必要な情報が医師に伝わっているかを確認するところまでです。

情報を把握したうえで医師がどのように評価するかは、医師の判断を尊重する必要があります。

診断書が予想より軽かった場合、社労士はどうするのか

障害年金の実務では、完成した診断書を確認すると、本人から聞いていた状態より軽い内容になっていることがあります。

このようなときにも、慎重な対応が必要です。

まず事実関係を確認する

たとえば、本人から、

「金銭管理はすべて母親がしています」

と聞いていたのに、診断書では金銭管理について「できる」という趣旨の評価になっていたとします。

この場合、

「先生、この評価を変えてください」

と要求するのではなく、まず、

「金銭管理を家族が行っていることを先生に伝えていますか?」

と本人に確認します。

本人が医師に一度も伝えていなければ、医師はその事実を知らずに診断書を作成した可能性があります。

その場合には、本人から実際の生活状況を主治医に説明し、必要があれば医師に再度確認してもらうという方法があります。

一方、医師がその事実を知ったうえで現在の評価をしているのであれば、それは医師の医学的判断です。

「修正」と「医学的判断の変更」は違う

診断書に明らかな事実誤認がある場合もあります。

たとえば、

・一人暮らしなのに家族同居となっている
・現在無職なのに就労中となっている
・入院歴の日付が違っている

などです。

こうした客観的な事実について確認をお願いすることと、医師の医学的評価を変更するよう求めることは別の話です。

この区別をきちんと持つことが、医師と社労士の双方にとって大切だと考えています。

「障害年金に詳しい精神科医」を探す必要はある?

障害年金を申請しようとすると、

「障害年金に詳しい先生に転院したほうがいいですか?」

という質問をいただくことがあります。

しかし、障害年金のためだけに安易に転院することはおすすめできません。

精神科の治療では、これまでの病状や治療経過を長く見てきた主治医との関係も大切だからです。

障害年金のための治療になってはいけない

医療の目的は障害年金を受給することではありません。

治療が第一です。

「障害年金を書いてくれる先生」
「重い診断書を書いてくれる先生」

を探して医療機関を転々とすることは、本来の医療のあり方から離れてしまいます。

現在の主治医との間で良好な治療関係ができているのであれば、まずは自分の日常生活の状態を主治医にきちんと伝えることが大切です。

診断書を書いてくれることと受給できることは別

また、医師が障害年金の診断書を書いてくれたからといって、障害年金を受給できるとは限りません。

逆に、医師が障害年金制度にそれほど詳しくなくても、患者の病状や生活状況を十分に把握し、実態に沿った診断書を作成してもらえれば、適切な審査につながります。

障害年金制度について必要な部分は、社労士など制度の専門家が補えばよいのです。

それぞれの専門家が、それぞれの役割を担うことが大切です。

精神科医と障害年金社労士は敵対する必要はない

精神科医と障害年金社労士は、本来、競合する資格ではありません。

どちらかが相手の仕事を奪う関係でもありません。

医師は医療の専門家です。

社労士は社会保険制度の専門家です。

専門分野が異なります。

お互いの専門領域を尊重する

社労士は、医師の医学的判断を尊重する。

医師は、障害年金には医学以外にも初診日、保険料納付要件、請求方法など制度上の問題があることを理解する。

そして本人は、医師には治療や生活状況について伝え、社労士には障害年金の申請に必要な情報を伝える。

このように役割を分ければ、本来は対立する必要のない関係です。

むしろ、それぞれの専門性が異なるからこそ、補い合うことができます。

一部の社労士の行動がすべてではない

一部の社労士による診断書への過度な介入によって、障害年金社労士全体に対して良くない印象を持つ医師がいることは、障害年金を専門とする社労士にとっても残念なことです。

そして、医師の領域に踏み込むような仕事の仕方については、同じ社労士だからといって擁護する必要はないと私は考えています。

一方で、すべての障害年金社労士がそのような仕事をしているわけでもありません。

医学的な判断は医師に委ね、社労士としての専門領域の中で障害年金申請を支援している社労士もいます。

「精神科医対社労士」という構図にしてしまうのではなく、問題となっている行為そのものを切り分けて考えることが必要ではないでしょうか。

精神疾患の障害年金では本人・精神科医・社労士の情報がつながることが大切

精神疾患の障害年金では、本人、精神科医、社労士の三者がそれぞれ異なる情報を持っています。

本人は、自分が毎日どのような生活をしているかを知っています。

精神科医は、病状や治療経過を知っています。

社労士は、障害年金制度や障害認定基準、申請手続きを知っています。

誰か一人がすべてを担う必要はありません。

本人が伝えること

本人にとって大切なのは、自分の日常生活を主治医に正直に伝えることです。

「こんなことを話しても仕方がない」
「先生は忙しそうだから」
「病気とは関係ないと思っていた」

と考えて、生活上の困りごとを話していない方もいます。

しかし精神疾患では、日常生活の状態そのものが障害状態を判断するうえで重要です。

普段から主治医に生活状況を伝えておくことは、障害年金のためだけではなく、適切な治療を受けるためにも大切なことです。

精神科医が担うこと

精神科医は、本人から得た情報や診察、これまでの治療経過などをもとに、医学的な判断を行います。

そして障害年金の診断書を依頼された場合には、その医学的判断に基づいて診断書を作成します。

その評価を決めるのは医師です。

社労士が担うこと

社労士は、

・障害年金制度上の要件を確認する
・適切な請求方法を検討する
・本人から病歴や生活状況を聞き取る
・必要な情報を整理する
・病歴・就労状況等申立書を作成する
・必要書類を整える
・申請手続きを行う

という役割を担います。

そして、本人から聞き取った中に「主治医に伝わっていない重要な生活状況」があれば、それを本人に確認し、必要に応じて主治医に伝えてもらいます。

その先の医学的評価は医師に委ねる。

この境界を守ることが大切です。

障害年金社労士を選ぶときに確認したいこと

精神疾患で障害年金を社労士に依頼するときには、受給実績や料金だけではなく、その社労士が医師や診断書とどのように関わっているかを見ることも大切です。

「必ず〇級にします」という説明には注意する

障害年金の等級を決めるのは社労士ではありません。

また、診断書の内容を決めるのも社労士ではありません。

そのため、

「この病気なら必ず2級になります」
「先生にこのように書かせます」
「診断書をこちらで直します」

といった説明には注意が必要です。

経験豊富な社労士であれば、受給可能性についてある程度の見通しを伝えることはできます。

しかし、最終的な認定結果を保証することはできません。

医師の判断を尊重しているか

障害年金専門の社労士には、医学と障害年金制度の境界を理解していることも重要だと思います。

診断書について確認すること自体が悪いわけではありません。

事実関係に誤りがないか、本人から聞いている生活状況が医師に伝わっているかを確認することはあります。

しかし、

「障害年金を受給するために診断書を重くする」

ことと、

「実際の障害状態が正確に診断書へ反映されるよう情報を整理する」

ことは違います。

その違いを理解している社労士に相談することをおすすめします。

さいごに

精神疾患で障害年金を申請するとき、精神科医と社労士はどちらも関わることがあります。

しかし、その役割は明確に異なります。

精神科医は、診断と治療を行い、医学的な判断に基づいて診断書を作成します。

社労士は、障害年金制度に基づいて初診日や保険料納付要件などを確認し、病歴・就労状況等申立書をはじめとする申請書類を整え、手続きを進めます。

社労士が障害年金の認定基準を熟知しているからといって、医学的な判断まで行ってよいわけではありません。

「この項目をこうしてください」
「2級になるように重く書いてください」

と医師に求めることは、社労士の役割ではないと私は考えています。

一方、精神疾患の障害年金では、本人の日常生活の状態が非常に重要です。

診察室だけでは主治医に伝わっていない生活上の困りごとがあれば、それを整理して本人から医師に伝えてもらうことは、実際の状態を診断書に反映してもらうために大切なことです。

これは診断書を「重くする」ことではありません。

実際の状態を「正確に伝える」ことです。

精神科医と障害年金社労士は、本来、対立する必要のない存在だと思います。

医師には医師の専門領域があり、社労士には社労士の専門領域があります。

大切なのは、お互いがその境界を越えず、それぞれの専門性を尊重することです。

そして何より中心にいるのは、障害年金を申請する本人です。

本人の実際の病状と生活状況が正確に医師へ伝わり、医師が医学的な判断に基づいて診断書を作成し、社労士が障害年金制度に基づいて適切に申請手続きを行う。

この三者の役割が適切につながることが、精神疾患の障害年金申請において理想的な形ではないでしょうか。