「発達障害では障害年金をもらうのが難しいと聞いた」「働いているので申請しても無理なのではないか」「大人になって診断された場合、何を証明すればよいのか」。
発達障害の障害年金を調べる中で、このような疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
発達障害は、障害年金の認定対象となり得る障害です。
ASDやADHDなどの診断名がついたことだけで受給が決まる制度ではありませんが、発達障害だから一律に対象外になるわけでもありません。
初診日や保険料納付の要件を満たし、日常生活や労働への支障が認定基準に該当すれば、受給を検討できます。
発達障害の請求で難しさが生じるのは、外見や短い会話からは分かりにくい生活上の困難を、書類で具体的に示す必要があるためです。
家族や職場の援助によって生活や勤務が成り立っている場合、その援助が資料から見えなければ、本人の実際の能力を把握しにくくなります。
また、成人後に診断された方では、過去の受診歴と初診日の整理が問題になることもあります。
この記事では、「障害年金と発達障害は難しい」と感じたときに確認したい点を、生活の評価、就労、初診日、書類の準備に分けて解説します。
受給できるかどうかを病名や印象で決めず、ご自身のどこに確認が必要なのかを考える参考にしてください。
目次
発達障害の障害年金が「難しい」といわれる理由
診断名と年金の認定基準は別の問題だから
医療上の診断は、発達障害の特性を理解し、治療や生活上の支援を考えるために重要です。
一方、障害年金では、その障害が日常生活や労働にどれほど影響しているかを確認します。
この二つは判断する目的が異なります。
同じASDの診断があっても、援助がほとんどなく生活を維持できる方もいれば、予定の管理、金銭管理、対人関係などで継続的な支援を必要とする方もいます。
同じADHDでも、症状の程度、周囲の援助、仕事への影響は一人ひとり異なります。
そのため、「診断されたので年金も当然もらえる」と考えると、制度との違いに戸惑うことがあります。逆に、「働いている人もいる病気だから自分も対象外」と考える必要もありません。
病名に加えて、現在どのような制限や援助の必要性があるかを確認します。
短い場面での様子と普段の生活に差があるから
診察室で受け答えができることと、毎日の生活や社会的な手続きを一人で適切に行えることは、同じではありません。
慣れた相手とは会話できても、予想外の質問に対応できない、相談が必要な場面で助けを求められない、説明を誤解して手続きを止めてしまうなどの困難がある場合があります。
書類では「会話ができる」「外出ができる」といった短い表現だけでは、条件や限界が分かりません。
誰と、どのような場面ならできるのか、予定変更があったときどうなるのか、他者がどの部分を助けているかを整理することが必要です。
特定の場面でできることを過大評価しない一方、できることまで全くできないと書く必要もありません。
得意な場面と困難な場面の両方を示すことで、生活の全体像が伝わります。
申請準備の難しさと受給要件の問題が混ざりやすいから
「障害年金は難しい」という言葉には、さまざまな意味があります。初診日の証明が難しい、書類を集める作業が大変、生活の説明がうまくできない、あるいは障害状態が等級の基準に達していないなど、理由は同じではありません。
受給要件を満たさない問題と、必要な事実が資料に十分示されていない問題では、対応が変わります。どこに課題があるかを確かめず、病名だけから「無理」と決めつけたり、反対に文章を詳しく書けば必ず受給できると考えたりしないことが大切です。
発達障害という病名だけで、個人の受給の可否や受給確率を示すことはできません。
インターネットで見た成功例や不支給例は、初診日、加入制度、障害状態などが自分と同じかを区別して読む必要があります。
発達障害の認定では社会生活への適応も重要
知能指数や学歴だけで判断されるわけではない
障害認定基準では、発達障害について、知能指数が高くても社会行動やコミュニケーションの障害によって日常生活に著しい制限を受けることに着目するとされています。
知的障害を伴わないことだけで、障害年金の対象外になるわけではありません。
例えば、学業の成績が良くても、生活の予定を立てることや、場面に応じた意思疎通に大きな困難がある方はいます。反対に、困難を感じていても、日常生活や労働への制限が年金の認定基準に達しているとは限りません。
学歴や検査の数値は情報の一つですが、それだけから等級を決めることはできません。「大学を卒業した」「資格を持っている」といった経歴のほかに、現在の生活がどのように成り立っているかを確認します。
1級・2級・3級の違いを大まかに理解する
発達障害では、社会性や意思疎通、社会行動に関わる困難と、日常生活への適応に必要な援助、労働の制限などを踏まえて等級を検討します。
常時の援助を要する状態、日常生活への適応に援助を要する状態、労働に著しい制限がある状態では、評価の対象となる程度が異なります。
障害基礎年金には1級と2級があり、障害厚生年金には1級から3級があります。「3級なら可能性がある」と考えていても、初診日の加入制度が障害基礎年金の対象であれば、3級の年金はありません。現在の勤務先や加入制度ではなく、初診日の年金加入状況を確認する必要があります。
この説明は個別の等級を判断するための簡易診断ではありません。
診断書の医学的な評価と生活・就労の情報を合わせて確認することが前提です。
等級判定ガイドラインの目安だけでは決まらない
精神の障害に係る等級判定ガイドラインでは、診断書の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の評価から、等級の目安を確認します。
その後、病状、療養、生活環境、就労などの情報を考慮して総合的に判断します。
したがって、日常生活能力の評価の平均を計算して、特定の数字に合わせることが申請の目的ではありません。
発達障害では、項目によってできることと困難なことの差が大きい場合もあります。
平均値だけでは伝わりにくい支障があるなら、どの場面でどのような援助が必要かを具体的に説明します。
ガイドラインの詳しい仕組みは、当事務所の関連記事でも解説しています。本記事では、数字だけで判断せず、根拠となる生活情報を確認する点を押さえてください。
生活が成り立っているように見えても援助を確認する
「できる」と「助けてもらってできる」を分ける
家族が毎日食事を用意し、服薬や受診予定を管理し、支払いの期限を確認している場合、本人の生活は安定して見えることがあります。
しかし、その安定が援助によって維持されているなら、何を誰が担っているのかを整理する必要があります。
例えば「薬を飲める」という説明でも、自分で服薬を管理できるのか、家族が薬を分けて渡し、毎回声をかけているのかで事情は異なります。
「買い物ができる」場合も、一人で必要な物を選んで予算内で購入できるのか、家族がリストを作り、会計や購入後の確認を行っているのかを分けます。
援助は身体を支える介助だけではありません。
声かけ、見守り、判断の補助、手続きの代行なども、生活を理解するための情報になります。
ただし、家族の手伝いがあるというだけで一定の等級になるわけではなく、援助を必要とする理由と程度が重要です。
同じ行為でも頻度と継続性を見る
一度できた行動が、日常的に適切にできているとは限りません。
調理をしたことはあっても、献立を決めて食材を用意することが難しく、普段は食事を抜いてしまう場合があります。
掃除を始められても、途中で作業が混乱して必要な片付けが終わらないこともあります。
説明するときは、「できない」という結論だけでなく、どの部分で止まるか、その頻度、放置した結果、他者の援助でどう変わるかを整理します。
「月に数回は自分で支払えるが、期限の管理ができず、家族が通知を確認して毎回連絡している」といった説明なら、具体的な支障と支援が見えます。
これらは生活を説明するための例であり、発達障害の方全員に当てはまるものではありません。
本人に実際にある困難だけを記載してください。
一人暮らしだから自立しているとは限らない
一人暮らしでも、家族が定期的に訪問して掃除や支払いをしている、福祉サービスを利用している、援助がないため食事や清潔の維持が不十分になっている場合があります。
住まいの形だけでは、日常生活能力を判断できません。
家族と暮らしている場合も、同居している事実だけで重い状態とみなされるわけではありません。
家族が代わりにしていること、本人が一人でもできること、声かけがあればできることを分けて確認します。
援助を受けている生活環境では、その援助がなければどのような支障が生じるかも判断材料になります。
証明のために援助をやめて生活を試す必要はありません。
これまでの実際の経過や、医師・支援者が把握している情報を使って説明します。
働いている発達障害の方は障害年金が難しい?
就労の有無だけで結論を出さない
発達障害の認定基準では、就労していることだけで直ちに日常生活能力が向上したと捉えず、仕事の種類、内容、職場の援助、意思疎通などを確認するとされています。
一般雇用か障害者雇用かという区分だけで受給の可否を判断するものではありません。
一方、安定して働けている事実も重要な判断材料です。
勤務時間、仕事内容、欠勤や遅刻、周囲の援助を確認し、実際の働き方を示します。配慮が少なく、自分で判断しながら安定した業務を続け、日常生活にも大きな制限がない場合には、認定基準に達しない可能性があります。
「働いているから絶対無理」と「働いていても必ず受給できる」のどちらも、個別の確認を省いた判断です。
必要な情報を示したうえで、障害状態としてどう評価されるかを検討します。
職場の配慮は内容と必要性を示す
「会社が配慮してくれる」という一言では、支援の程度が分かりません。
業務を一つずつ指示する担当者がいる、作業手順が固定されている、予定変更時には個別に説明を受ける、顧客対応をほかの社員が引き受けるなど、実際の支援を確認します。
書面で認められた配慮だけでなく、同僚が日常的に行っている補助もあります。
本人は「普通に仕事をしている」と思っていても、周囲が確認や修正をしている場合があるためです。
逆に、どの職場にもある通常の業務指示を、常時の特別な援助として強調しないよう注意します。
どの作業に困難があり、誰がどれくらいの頻度で補助しているか、その補助がなければ何が起きるかを事実に沿って説明します。
雇用形態の名称だけでは見えない働き方を、具体的に示すことが大切です。
勤務以外の生活への影響も確認する
仕事は続けていても、帰宅後や休日には食事、清潔、金銭管理などが成り立たず、家族の援助を必要とする場合があります。ガイドラインでは、就労によって勤務以外の場面の日常生活能力が著しく低下していることを客観的に確認できる場合、両方の状況を考慮します。
ただし、「働くと疲れる」という一般的な説明だけで年金の等級に該当するわけではありません。
勤務後にどの生活行為ができず、どのような援助が必要か、頻度はどれくらいかを確認します。
欠勤の記録や支援者の把握している状況など、手元にある資料と説明が矛盾しないことも重要です。
成人後に診断された場合は初診日の整理が難しくなることがある
「生まれつき」だから出生日が初診日とは限らない
発達障害の特性が子どもの頃からあったことと、障害年金上の初診日は別の問題です。
知的障害を伴わない発達障害では、症状について初めて診療を受けた日を確認します。
成人後に初めて受診した場合、幼少期の特性だけを理由に出生日を初診日とすることはできません。
先天性の知的障害を伴う場合などは、知的障害としての取扱いも含めて確認が必要です。
発達障害と知的障害を同じものとして扱わず、診断内容と受診歴を踏まえて検討します。
療育手帳があるという情報だけで、初診日を決めることも適切ではありません。
この区別は、初診日の年金加入制度、保険料納付要件、障害認定日に影響します。
「発達障害だから20歳前の年金」と自己判断せず、どの受診が対象となる傷病の初診日に当たるかを確認しましょう。
発達障害の診断前に別の診断で通院していた場合
最初は抑うつや不安などで精神科を受診し、その後に発達障害が判明した場合、発達障害の診断日が当然に初診日になるわけではありません。
以前の受診の症状、診療内容、現在の障害との関係を確認します。
過去に精神科の受診があればすべて同じ初診日になるとも、病名が違えば必ず別傷病になるとも決められません。
受診状況等証明書、紹介状、診療録などを確認して経過を整理します。
厚生年金加入中の日付を選ぶために、以前の受診を省略することはできません。
うつ病との併存については、初診日と診断書の論点をまとめた関連記事も参考になります。
生育歴と初診日の証明を混同しない
発達障害の請求では、幼少期からの生活や学校での困難、受けていた支援などの生育歴も重要です。
大人になって診断された方では、当時の状況を本人が十分に覚えていないこともあります。
家族から聞ける範囲の情報、学校の記録、過去の相談や支援の記録など、残っている資料を確認します。
ただし、通知表や学校生活の困難が分かったからといって、それだけで医療機関の初診日が証明されるわけではありません。生育歴は障害の経過を理解する情報、初診日の証明は制度の要件に関わる情報として、それぞれ整理します。
記憶や資料がない部分を、想像で埋める必要はありません。
何が確認でき、何が不明なのかを分けて説明してください。
初診日以外の受給要件も先に確認する
障害状態だけでなく保険料納付要件を見る
障害年金では、障害状態に加えて保険料納付要件なども確認します。
原則として、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせて3分の2以上必要です。
条件を満たす場合には、直近1年間に未納がないことによる特例もあります。
20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。
適用される条件は初診日の年齢や加入状況によって変わるため、診断書を依頼する前に年金記録を確認しましょう。
「未納があるから絶対無理」「会社員だったから大丈夫」といった判断は避けてください。
本人の生活が重い状態でも、制度上の要件を満たさなければ支給に結びつかない場合があります。
現在の状態と認定日当時の状態は分ける
障害認定日は原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
その時点で基準に該当する場合の認定日請求と、後に該当する状態となった場合などの事後重症請求では、必要な診断書の時期や支給開始の考え方が異なります。
発達障害の特性が以前からあっても、認定日時点の障害状態を現在の診断書だけで証明できるとは限りません。
就労環境、家族の援助、併存する病気などによって、生活の状態が変わることもあります。
過去の請求を考える場合は、当時の医療記録と生活・就労を確認します。
現在は重いから認定日当時も同じ級だったと考えず、それぞれの時点の事実を整理することが必要です。
書類に生活の実態を示すための準備
主治医に伝える情報を短く整理する
発達障害では原則として「精神の障害用」の所定診断書を使用します。
医師が診察や治療経過などを踏まえて医学的に作成する書類です。
本人は、診察では伝えきれていない生活や仕事の情報を整理して共有します。
長い文章を一度に渡すより、主な困難、起きる頻度、周囲の援助、援助がないときの状態を短くまとめると、医師が把握しやすくなります。
「金銭管理ができない」なら、支払いを忘れるのか、支出を調整できないのか、家族が何を管理しているかまで具体化します。
希望する等級に合わせて評価を変えてもらうことが目的ではありません。
医学的な判断は医師に委ね、未共有の事実や明らかな誤記があれば、根拠を示して相談します。
申立書は出来事の羅列だけで終わらせない
病歴・就労状況等申立書では、生育歴、受診の経過、生活や就労の変化を整理します。
学校名や勤務先、退職した日だけを並べても、どのような支障があったかは分かりません。
例えば転職が続いた場合は、業務の変更に対応できなかった、指示を理解できず繰り返し個別の説明を受けた、対人関係の問題から欠勤が増えたなど、実際に確認できる経過を記載します。
一方、本人にとってつらい出来事がすべて、発達障害による障害状態の証明になるわけではありません。
病気との関係が不明なことを決めつけず、事実と本人の受け止めを分けて整理します。
診断書と申立書で時期や就労、援助の状況が大きく食い違っていないかも確認してください。
「軽く見せない」と「重く見せる」は違う
家族の支援を省いて「全部自分でできる」と説明してしまうと、実際の困難が伝わりません。
一方、できることまでできないと書いたり、他人の事例の症状を自分のものとして書いたりすることも適切ではありません。
必要なのは、本人の状態を過不足なく示すことです。
できる行動も、必要な援助も、失敗する頻度も、改善した部分も説明します。事実を具体的にすることと、受給のために事実を変更することは違います。
書類を詳しく整えても、受給や希望する等級が保証されるわけではありません。
「難しい」「無理」と言われたときに確認したいこと
何を根拠に難しいと言われたかを分ける
「働いているから難しい」と言われた場合と、「保険料納付要件を満たさない」と言われた場合では、確認する情報が異なります。
職場の援助の説明が不足していたのか、障害状態を見たうえでの判断なのか、制度の要件が問題なのかを区別してください。
確認する際は、本人が伝えた情報が十分だったかも振り返ります。
受診歴や就労を省いていた、家族が代行していることを自分でできると説明したなど、事実の伝達に不足があれば補足できます。
十分な情報を基にした判断である場合は、その理由を理解することも大切です。
期待する回答が出るまで同じ情報で相談を繰り返すより、何が確認できていないかを整理したほうが、次の対応を考えやすくなります。
診断書を作成できない理由も確認する
医師に診断書の作成を断られた場合は、なぜ作成できないのかを確認します。
診療期間が短い、必要な時期の記録がない、医学的な評価に必要な情報が不足しているなど、事情はさまざまです。
過去の時期の状態を証明できないという話と、現在の障害状態が年金の基準に達しないという話を混同しないようにしましょう。
状況によっては別の時点の診断書や請求方法を検討する必要がありますが、必ず解決できるとは限りません。
診断書を得るためだけに転院したり、医師に希望する内容を強く要求したりせず、理由と資料を確認します。
発達障害と障害年金についてよくある質問
ADHDだけだと受給は難しいですか?
ADHDという病名だけで可否を決めることはできません。不注意や衝動性などによって、日常生活や仕事にどの程度の支障があり、どのような支援が必要かを確認します。
ASDと比べて必ず不利、うつ病がないと対象外といった決めつけは適切ではありません。
精神障害者保健福祉手帳があれば受給できますか?
手帳と障害年金は別の制度です。手帳の所持は障害年金の必須条件ではなく、その等級がそのまま年金の等級になるわけでもありません。
手帳がある場合も、初診日、保険料納付、障害状態を確認する必要があります。
うつ病を併発していないと対象になりませんか?
発達障害だけでも、要件と障害状態が基準に該当すれば対象となり得ます。
ほかの精神疾患が併存している場合は、その症状も含めて状態を確認しますが、病名の数だけで等級が上がるわけではありません。
受給のために別の病名をつけてもらうことが目的ではありません。
フルタイム勤務だと2級は絶対に無理ですか?
勤務時間だけで一律に結論を出すことはできません。
仕事の内容、援助や管理・指導の程度、意思疎通、勤務以外の日常生活などを確認します。
一方、フルタイムで安定して働けている状況は重要な判断材料です。
就労の実態を確認せず「2級になる」と約束することもできません。
不支給になったら二度と請求できませんか?
一度不支給になったことだけで、その後の可能性がすべてなくなるわけではありません。
決定に不服がある場合の審査請求や、その後の状態を踏まえた請求を検討できる場合があります。
ただし、理由や期限、追加で示せる資料を確認する必要があり、同じ内容を出し直せば受給できるとは限りません。
専門の社労士に相談するときは本人の情報を共有する
何を準備すべきか順番を整理できる
受診歴、年金記録、生活の説明、医療機関への依頼など、発達障害の請求では複数の作業が必要です。予定管理や書類整理に困難がある方にとって、手続き自体が負担になることがあります。
障害年金専門の社労士へ相談する場合は、まず初診日の候補や証明の状況、年金加入歴、現在の生活と就労を共有します。
その情報を基に、何から確認すべきか、どの時点の診断書が必要かを整理します。
相談時点で不明なことは、不明であると伝えて構いません。
社労士が代わりに本人の症状を作ったり、等級を決めたりするものではありません。
ご本人の実際の情報を共有し、医師の医学的な判断を尊重しながら、請求全体を確認することが役割です。
本人の説明と周囲の情報を合わせて確認する
本人が当たり前だと思っている援助や、説明しにくい失敗がある場合、家族や支援者の情報が生活の理解に役立つことがあります。
その際も、ご本人の意思や説明を大切にし、周囲の希望だけで請求内容を決めないことが重要です。
受給や遡及、希望する等級を前提に事実を組み立てるのではなく、確認できる情報から見通しを考えます。
「難しい」と感じた部分を一つずつ具体化し、書類に不足している情報と、制度上満たすべき要件を区別して進めましょう。
認定基準と判断の考え方は、日本年金機構が公開する公的資料でも確認できます。
さいごに
発達障害で障害年金を受給することには、生活上の困難が外から見えにくい、家族や職場の援助が資料に表れにくい、成人後の診断で初診日の整理が必要になるといった難しさがあります。
しかし、発達障害という診断名だけで対象外になるわけではありません。
大切なのは、「難しい」という言葉の中身を確認することです。
障害状態の評価が問題なのか、初診日や納付要件の問題なのか、資料に示せていない事実があるのかによって、準備する内容は変わります。
仕事や一人暮らしができているかという結果だけでなく、どのような支援があって成り立っているかを整理しましょう。
できることも困難なことも事実に沿って伝え、医師の医学的な評価と生活の実態がつながる資料を準備することが、発達障害の障害年金を検討する出発点になります。

