『ある日突然、激しい頭痛や手足の麻痺に襲われる…』
それは脳出血のサインかもしれません。
脳出血は年間3万人もの命を奪うとされ、働き盛りの世代や、健康に自信がある人でも発症する可能性があります。
この記事では、脳出血の初期症状から見逃してはいけない危険なサインまでをわかりやすく解説します。
また、脳出血の後遺症が残ってしまった場合は、生活を支えるための制度「障害年金」が申請できます。
病気やけがによって日常生活や仕事に支障が出た人を支えるこの制度は、脳出血で苦しむ人にとっても希望の光となり得ます。
あなたと大切なご家族のために、脳出血の症状ともしものときの経済的な備えについて、一緒に確認していきましょう。
目次
脳出血の主な症状とは?見逃してはいけない危険なサイン
脳出血の症状は、運動麻痺や感覚障害など多岐にわたります。
代表的な8つの症状は次のとおりです。
- 運動麻痺
- 感覚障害
- 言語障害
- 頭痛
- 嘔吐
- 意識障害
- 視覚障害
- 平衡感覚の異常
順番に見ていきましょう。
脳出血の症状(1)運動麻痺
運動麻痺は、脳出血によって脳の運動を司る部分が損傷されることで、手足や顔などにしびれなどの症状が出ます。
運動麻痺の主な症状を下表にまとめました。
【運動麻痺の主な症状】
具体的な症状 | 日常生活への影響の例 | |
---|---|---|
手足の運動麻痺 | ・片側の手足の動かしにくさ ・しびれ | ・歩行が不安定になる ・立ち上がるときに支えが必要になる |
筋力低下 | ・力が入らない | ・物を持ち上げられない ・ドアノブを回せない |
日常生活動作の困難 | ・歩行や立ち上がる動作が難しくなる ・物を落としやすい | ・外出が億劫になる ・家事を行うのに時間がかかる |
手指がうまく動かせない | ・細かい動作がうまくできない (ボタンをかける、字を書く、箸を使うなど) | ・服を着替えるのに苦労する ・文字を書くのが困難になる ・食事がゆっくりになる |
社会生活への影響 | ・外出や仕事、家事、趣味などの活動が制限される | ・社会的な交流が減る ・仕事に復帰できない ・趣味を楽しめなくなる |
精神的な負担 | ・社会的な孤独感、精神的な負担 | ・気持ちが落ち込む ・不安を感じやすい |
脳出血による運動麻痺は、自分一人での外出が難しくなるなど、日常生活のさまざまな場面で大きな混乱をきたします。
介護が必要になることも多く、脳出血の患者やその家族の生活が一変することも多いです。
脳出血の症状(2)感覚障害
感覚障害は、脳出血により脳の感覚領域が損傷して、触覚・痛覚・温度覚が鈍くなったり消失したりすることです。
具体的には、触れられても気づきにくくなったり、痛みや温度変化を感じにくくなったりすることがあります。
さらには、しびれやジンジンする異常な感覚や、わずかな刺激を強く不快に感じる感覚過敏が生じ、感覚が完全に失われることもあります。
感覚障害の種類を下表にまとめました。
【感覚障害の種類】
種類 | 内容 |
---|---|
感覚麻痺 | 感覚が鈍くなり、刺激を感じにくくなる |
脱感覚 | 感覚が全く分からなくなる |
異常感覚 | しびれやピリピリ感など、通常とは異なる感覚が現れる |
感覚過敏 | 刺激を強く感じ、不快感や痛みを伴う |
脳出血後の感覚障害は、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
例えば、物に触れた際の感触が分かりにくいため、細かい作業が困難になったり、転倒や怪我に気づきにくくなったりすることが考えられます。
また、温度感覚が鈍くなることで、やけどのリスクも高まります。
脳出血の症状(3)言語障害
脳出血による言語障害は、主に「失語症」と「構音障害」の2つがあり、脳の言語を司る領域が損傷されることで起こります。
【失語症】
失語症は、脳の言語中枢の障害によって「話す」「聞く」「読む」「書く」といった言語機能全般に問題が起こる状態です。
失語症の主な症状は次のとおりです。
- 言葉が出てこない、話せない
- 相手の話が理解できない
- 文字が読めない、書けない
- 言いたい言葉と違う言葉が出てしまう
- 話しにくさ、言葉が出てこない、人の話が理解できない
【構音障害】
構音障害は、唇や舌などの通話に関わる器官がうまく動かなくなり、通話や音声が不明瞭になる障害です。
構音障害の主な症状は次のとおりです。
- ろれつが回らない
- 言葉がもつれる
- 声がかすれる
- 話す声が小さくなる
- 不明瞭で聞き取りにくい
失語症は言語特有の理解表現が障害されるのに対して、構音障害は発音や音声の明瞭さに問題がある点が大きな違いであるといえるでしょう。
脳出血の症状(4)頭痛
脳出血の頭痛は突然発症し、非常に激しい痛みを伴います。
脳出血の頭痛の特徴は次の通りです。
- 突然強い痛みが出現し、短時間でピークに達する
- 吐き気や嘔吐、めまい、意識障害なども現れることが多い
頭痛とともにこれらの症状が出た場合は、脳出血の可能性が高いです。
運動中や突然のストレスを受けた直後など、何かきっかけがあった場合に発症することが多いようですが、安静時にも起こります。
これまでに経験したことのない激しい頭痛が現れた場合は、ただちに医療機関を受診しましょう。
脳出血の症状(5)嘔吐
嘔吐や吐き気は脳出血でよく見られる症状のひとつです。
脳内で出血が起こって脳の血圧が急激に上昇し、自律神経が乱れるため起こることが知られています。
脳出血で起こる嘔吐の主な特徴は次のとおりです。
- 頭痛や意識障害、手足の麻痺などとともに、強い吐き気や嘔吐が現れる
- 小脳出血の場合、強い頭痛やめまい、ふらつきとともに吐き気や吐き気が起こる
強い吐き気や嘔吐があるときは、脳の圧迫やむくみが進行している可能性があり、意識障害などの重篤な症状につながることがあります。
脳出血の症状(6)意識障害
脳出血では、意識障害が重要な症状のひとつとして現れることがあります。
意識障害とは、「ぼんやりする」「反応が鈍くなる」「たとえ反応しない」「昏睡状態になる」など、意識のレベルが低下した状態のこと
意識障害が現れた場合、脳の広範囲な損傷や脳圧の急上昇、脳幹の障害などの可能性があるため、緊急の治療が必要です。
- 軽度の場合
眠気強くなる、ぼんやりする、会話が成り立つなど、意識がもうそろそろとした状態が見られる - 重度の場合
痛みや刺激にも反応しなくなり、昏睡状態に陥る
脳出血の発症時に意識障害があるほど重症で、後遺症が重くなりやすく、死亡率も高くなりますので、早急に医療機関を受診しましょう。
脳出血の症状(7)視覚障害
脳出血では、出血が脳の視覚情報を処理する部位に起こることで、さまざまな視覚障害が表れます。
視覚障害で現れる主な症状を下表にまとめました。
【視覚障害で現れる主な症状一覧】
主な症状 | 内容・特徴 |
---|---|
視野欠損 | 視界の一部が突然見えなくなる (視界の一部が欠ける、両眼の同じ側が見えなくなる) |
視力低下 | 片目または両目の視力が急に落ちたり、見えにくなったりする |
複視(物が二重に見える) | 物が二重に見える、ピントが合わない |
視界のぼやけ | 視界全体がぼやける、かすんで見える |
視覚障害があると歩行が困難になるなど、日常生活や仕事上に大きな影響が出ます。
脳出血の症状(8)平衡感覚の異常
脳出血(特に小脳出血)では平衡感覚の異常が現れます。
これは小脳や脳幹など、体のバランスや協力運動を司る部位が損傷することが原因です。
脳出血で起こる平衡感覚の異常の主な症状を下記にまとめました。
【脳出血で起こる平衡感覚の異常の主な症状】
症状 | 内容・特徴 |
---|---|
めまい | ・突然の猛烈な回転性めまい ・自分や周囲がぐるぐる回っているように感じる・吐き気や吐き気を伴うことも多い |
ふらつき | ・立ったり歩いたりするときにバランスが取れず、体が揺れたり、よろめいたりする |
バランスが取れない | ・全体的に体のバランスが取れなくなり、倒れやすくなる |
姿勢保持が難しい | ・座る、立つなど同じ姿勢を維持できず、すぐに傾いて倒れそうになる |
ここまで説明したさまざまな症状は、単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。
脳出血の症状の時間経過による変化
脳出血の症状は、発症直後から時間の経過とともに変化します。
以下に主な経過をまとめます。
経過段階 | 時間の目安 | 主な症状の変化・特徴 |
---|---|---|
急性期 | 発症直後~数日 | ・突然の頭痛激しい、嘔吐、意識障害、半身麻痺やしびれ、言語障害、視覚障害などが突然出現 ・症状が短時間で最大に達する ・昏睡や呼吸障害といった重症例もあり |
亜急性期 | 発症後1週間~数か月 | ・脳の腫れ(浮腫)がピークになり、症状が一時的に悪化することもある ・リハビリ開始により、麻痺や言語障害などの回復機能が徐々に見られる |
回復期・慢性期 | 発症後数か月~ | ・血腫の吸収や脳の回復により、残存症状が徐々に緩和 ・リハビリでの改善が期待できるが、後遺症(麻痺・感覚障害・言語障害など)が残ることも多い |
脳出血の症状は「発症直後に急速に悪化→数日~数週間でピーク→その後は徐々に安定・回復」という経過をたどります。
後遺症の有無は、出血の部位・量・治療開始の早さなどによって大きく異なることも大きな特徴です。
もしものときの経済的な支え|障害年金について
障害年金は、現役世代の人が病気やけがで障害を負い、生活や仕事に支障があるときに申請できる制度です。
脳出血で後遺症があるときにも障害年金が申請できる可能性があるので、経済的に不安がある場合は障害年金の申請を検討しましょう。
障害年金の詳細は、下記の関連記事でわかりやすく解説しています。

障害年金の申請は難しい?
障害年金の申請は、「書類が準備できない」「年金事務所に通えない」という人にとっては、ハードルが高いと言えます。
障害年金の審査はすべて書類で行われるので、正確な情報をもれなく記載した書類を揃えることが必要です。
自分で作成する「病歴・就労状況等申立書」は的確に簡潔に書く種類ですが、書類を作るのに慣れていない人にからは「とても難しい」という声が多く聞かれます。
また、脳出血の後遺症があって以前よりも体が不自由になっていたり、メンタル的に落ちていたりする人にとっては、障害年金を申請することは難しいといえるでしょう。
脳出血での障害年金の申請の詳細は、関連記事でわかりやすくご紹介しています。

脳出血での障害年金申請は社労士へ相談しよう
脳出血で障害年金を申請したいときは、社労士へ申請代行を依頼できます。
脳出血に限らず、障害年金の申請が難しいと感じるときは、社労士へ相談してみましょう。
社労士に依頼すれば、書類作成や年金事務所とのやり取りもすべて社労士が担当します。
年金申請の時間や労力を、治療や休養、リハビリにあてることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
障害年金の申請代行については、関連記事でさらに詳しくご紹介しています。

まとめ
脳出血は、運動麻痺、感覚障害、言語障害、激しい頭痛など、多岐にわたる症状を引き起こします。
脳出血の症状は突然現れ、時間経過とともに変化し、後遺症が残るケースも多いです。
ご自身やご家族に脳出血の症状が現れた際には、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
脳出血で後遺症が残ったときは、経済的な支えとなる障害年金を申請できることがあります。
「自分や家族で障害年金の申請ができない」と思ったときは専門家である社会保険労務士に相談してみてください。

ピオニー社会保険労務士事務所では、経験豊富な社労士があなたの障害年金申請にお力添えします。
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