障害年金の現況届とは?いつ届く?現況届の書き方も併せて解説

障害年金の現況届は、住民基本台帳ネットワークを活用して現況確認を行うようになったので、原則として現況届の提出が不要となりました。

しかし、現況届の提出が必要なケースもあり、障害年金を受給されている方の中には現況届が届いた方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、障害年金の現況届についてと、現況届以外にも障害年金受給中に提出が必要な書類などについて解説します。

障害年金の現況届とは?

障害年金の現況届とは、年金受給権者が引き続き年金を受ける権利があるかどうかを確認するための書類です。

これまではすべての受給権者に毎年1回誕生日月に提出が義務付けられていました。

しかし、現在は住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を活用して現況確認を実施するようになったため、現況届の提出が原則不要となりました。

なお、住基ネットで氏名・住所などの相違で確認できない人や、年金の受け取り状況などによって、現況届が必要なケースもあります。

現況届の提出が必要な方は、日本年金機構から誕生月の初め頃に現況届が送付されるため、期限内に必ず提出しましょう。

障害年金の現況届の書き方

現況届の書き方としては、現況届の用紙にご自身の住所や氏名、加給年金額対象者の氏名などを記入し、日本年金機構に誕生日の末日までに届くように提出します。

もし、ご自身で記入ができない場合は、両親や兄弟などの親族の方が記入することも可能です。

ただし、親族の方が記入する場合は、受給権者の欄や加給年金額対象者の欄ももれなく記入の上「代理人署名欄」に代表者の氏名、住所などの記入が必要です。

現況届以外に障害年金受給中に提出が必要な書類は?

障害年金の受給期間中は、現況届以外にも人によっては提出が必要な書類がいくつかあります。

そこでここからは、現況届以外に障害年金受給中に提出が必要な書類について解説します。

障害状態確認届

障害状態確認届とは簡単にいうと、更新用の診断書のことです。

障害年金は多くの場合、数年間隔で更新が必要な「有期認定」として認定されることが多いです。

有期認定の場合は障害の種類や状態によって、1〜5年ごとに日本年金機構から障害状態確認届(診断書)の提出が求められます。

これは、受給者の障害の程度が障害年金の受給に相当するものかを確認するためです。

障害状態確認届は、誕生月の3ヶ月前の月末に日本年金機構から送付されます。

障害状態確認届が届いたら、診断書の欄を医師に記載してもらい、提出期限(誕生月の末日)までに提出しましょう。

所得状況届

所得状況届とは、20歳前の傷病による障害基礎年金を受給している方に届く書類です。

20歳前の傷病による障害基礎年金は通常の障害年金とは異なり、保険料の納付要件が問われない代わりに所得制限が設けられています。

そのため、20歳前の傷病による障害基礎年金を受給している方は、所得額の確認のためにこれまで毎年7月に所得状況の提出が義務付けられていました。

しかし、令和元年7月以降、日本年金機構が市町村から所得情報の提供を受けることになったため、所得状況届の提出は原則不要となりました。

ただし、日本年金機構が所得情報の提供を受けられない場合は、これまでどおり所得状況届の提出が必要となるため、対象となる方には提出に関する案内が送付されます。

所得確認の結果、前年の所得が基準額以上の場合には、10月分から翌年9月分までの年金が2分の1または全額が支給停止となります。

生計維持関係確認届

生計維持関係確認届とは、障害年金に「配偶者加算」や「子の加算」を受けている方が、引き続き生計を維持しているかどうかを確認する書類です。

生計維持関係確認届は日本年金機構から年に1回、誕生月に送付されます。

なお、記入漏れや提出が遅れた場合は、加算が一時止まってしまうので期限内に必ず提出するよう注意しましょう。

障害年金の更新は何年ごと?

障害年金には「有期認定」「永久認定」の2種類があり、永久認定の場合は更新の必要はありません。

永久認定の対象となるものは、手足の切断など、これ以上軽傷に変化することはないであろうと判断される傷病です。

一方、有期認定の場合は、障害の種類や症状によって1〜5年の間に更新の手続きが必要です。

特に、精神疾患や内部障害の場合、障害の状態が軽くなったり、重くなったりする可能性が高いため、有期認定と判定されることが多いです。

有期認定と永久認定の違いついては、以下の記事で詳しく解説しています。

障害年金の永久認定と有期認定の違いとは?更新・支給再開の手続きも解説

障害年金の更新の注意点

障害年金の更新で前回と担当医が変わったり、働くようになったりした場合などは注意が必要です。

ここからは、障害年金の更新に注意が必要なケースについて解説します。

就労するようになった場合

原則として、障害年金は就労しながらでも受け取ることが可能です。

しかし、前回の更新では就労していなかったものの、現在は障害の状態が軽くなり、働くようになった場合は注意しましょう。

特に、精神障害や内部障害は、身体障害のように病気の程度を表すような数値といった指標がないため、日常生活能力や就労状況などで総合的に判断されます。

そのため、精神障害や内部障害の方は、就労状況によっては等級が下がったり、支給停止となる可能性があります。

不支給となることを防ぐためにも、就労にあたって一定の配慮や制限を受けている場合は、その旨をしっかりと医師に伝えて、診断書に記載してもらうことが重要です。

担当医が前回と異なる場合

更新前に転院して、前回診断書を作成してもらった医師と更新時に診断書を作成する医師が変わる場合も注意が必要です。

同じ症状であっても、医師によっては症状を見る判断基準が少なからず変わる場合もあるため、更新時の診断書を前回と同じような診断書を作成してくれるとは限りません。

しかし、診断書の作成を医師に依頼する際に前回の診断書のコピーを渡すことで、病状に変化がない場合は、前回と今回の診断書に相違がないように作成してくれます。

一人暮らしになった場合

申請時や前回の更新時には、同居者がいたものの、現在は一人暮らしである場合は注意が必要なケースの一つです。

特に、精神疾患の場合、障害年金の審査項目に「日常生活状況」を確認する項目があります。

そのため、精神疾患で一人暮らしができるということは「日常生活能力が高い」と判断される可能性が高いです。

ただし、一人暮らしでも近所に家族や友人が住んでいて、定期的に支援や援助を受けている場合は不利に扱われない場合もあります。

このような場合は、具体的に支援の頻度や状況を医師に伝えて診断書を記載してもらいましょう。

更新で不支給・等級が下がった場合の対処法

更新の手続き後、症状が変わってないにもかかわらず、障害年金の等級が下がったり、不支給になってしまう場合もあります。

しかし、更新の内容に不服がある場合は「不服申し立て」「支給停止事由消滅届」「額改定請求」といった対処法があります。

そこでここからは、更新で不支給・等級が下がった場合の対処法について詳しく解説します。

不服申立てを行う

1つ目の対処法としては、審査請求を行う方法です。

審査請求は障害年金が支給停止となった場合に提出できる対処法です。

なお、審査請求は、支給停止の決定を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。

また、審査請求でも棄却され、それでも処分に不服がある場合は厚生労働省社会保険審査会へ再審査請求を行うことが可能です。

再審査請求の場合、審査請求の決定通知が届いた翌日から2ヶ月以内に請求が必要です。

審査請求・再審査請求について詳しくは、以下の記事をご参考ください。

障害年金の審査請求(再審査請求)について徹底解説

支給停止事由消滅届を提出する

障害年金の支給停止は、すぐに障害年金の受給権利が消滅するわけではありません。

そのため、再び障害状態に該当した場合は、支給を再開する手続きを行うことが可能です。

しかし、この手続きは、更新のように日本年金機構から診断書の提出を求められるわけでなく、自分から再開を依頼する手続きを行う必要があります。

提出に必要な書類は下記のとおりです。

  • 支給停止事由消滅届
  • 診断書

なお、この手続きは、審査請求や再審査請求のような提出期限はなく、いつでも提出することが可能です。

額改定請求を行う

更新で本来の障害等級よりも障害等級が下がって支給額が変更になった場合は、額改定請求を行うことが可能です。

なお、額改定請求は、支給額変更の診査日から1年間は原則できません。

しかし、法改正により平成26年4月1日からは、障害の程度が明らかに増進したことが確認できる場合は、1年未満であっても額改定請求ができるようになりました。

額改定請求について詳しくは、以下の記事で解説しています。

額改定請求(症状が重くなったとき)について

よくある質問

最後に、障害年金の書類提出や更新でよくある質問をまとめましたので、ご参考ください。

書類の提出が遅れた場合は?

現況届の提出が遅れた場合、障害年金の支給が一時停止する場合があります。

しかし、年金の支払いが一時止まった場合でも、現況届から日本年金機構に届いてから2ヶ月ほどで、支払いが止まっていた期間分の年金もさかのぼって支給されます。

また、更新の際に提出が必要な障害状態該当届も提出が遅れた場合も、年金の支払いが一時停止します。

なお、障害状態確認届の提出が遅れて年金の支払いが一時止まった場合は、障害状態の確認が終了してから、障害の状態に応じて、止まっていた期間分の年金が支給されます

どちらの書類も提出が遅れると年金の支払いが一時停止となり、再開までに時間がかかってしまうため、書類が届いた際は早めに提出するようにしましょう。

更新で等級が変更した場合はいつから反映される?

更新で障害年金の等級が上がった場合は、誕生月の翌月分から増額支給されます。

一方、更新で障害年金の等級が下がる、または支給停止などの場合は、提出期限の4ヶ月目の分から減額、または支給停止となります。

例えば、誕生月が6月の場合、10月分から支給額が変更となります。

さいごに

今回は、障害年金の現況届や障害年金の受給中に必要な書類などについて解説しました。

障害年金の現況届の提出は原則不要となりましたが、提出が必要な方にはご自宅に現況届が届きます。

また、現況届以外にも年金受給中に下記の書類が求められる場合もあります。

  • 障害状態確認届
  • 所得状況届
  • 生計維持関係確認届

書類の提出が遅れたり、提出しなかったりすると年金が一時支給停止となるため、提出が必要な書類が届いたら、早めに手続きを行うようにしましょう。