発達障害の診断は受けるべき?病院の見つけ方や診察の流れを解説

医療機関のペーパークラフト

仕事がうまくいかず長続きしなかったり、人づきあいが苦手で職場や学校に馴染めなかったりするなどの困りごとのある方は少なくないでしょう。

「もしかしたら自分は発達障害かもしれない」と不安を抱えていませんか?

自分が発達障害であるか知りたいと思う半面、診断を受けることに抵抗感を持つ方もいます。

そこで、この記事では発達障害の診断を受けるか迷う方に向けて、診断の流れや病院の見つけ方、発達障害の診断を受けるメリットを解説します。

本記事を参考にすると、発達障害の診断とスムーズに受診できる方法がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

発達障害とは?

発達障害とは、生まれつきの脳発達の偏りによって起こり、乳幼児期から青年期にかけて明らかになる障害です。

発達障害のある人は、他人とコミュニケーションを取ることが苦手なケースが多く見られます。

子どもの頃から「変わった子」「自分勝手な人」などと誤解を受けやすく、本人が気づかないうちに周りの人を不愉快にしてしまうこともあります。

発達障害の特性は人それぞれですが、困りごとを多く抱え日常生活に支障をきたすと「発達障害」と診断されることがあります。

参考:発達障害って、なんだろう?|政府広報オンライン

発達障害の種類


発達障害の主な種類は下記の3つが挙げられます。

  • ASD(自閉症スペクトラム障害)
  • ADHD(注意欠如多動症)
  • LD(学習障害)

発達障害の種類としては、このほかにも「吃音」や「チック症」などがありますが、大人になって気づく発達障害の多くがASD(自閉症スペクトラム障害)またはADHD(注意欠如多動症)です。

発達障害の種類について詳しく知りたい方は下記の関連記事をご覧ください。

いろいろな花 発達障害の種類一覧!それぞれの特徴や支援先もご紹介

参考:発達障害の理解のために|厚生労働省

発達障害の診断が受けられるところ

発達障害の診断ができるのは医師だけなので、診断を受けるためには精神科や心療内科の受診が必要です。

発達障害の診察ができる病院はまだ少ないため、これから受診しようとしている病院で発達障害を診てもらえるのかを事前に確認しましょう。

地域によっては発達障害に対応できる病院の数や規模には偏りがあり、いざ受診しようとしてもすぐには診てもらえず、予約待ちに数か月かかる場合もあります。

発達障害を診察できる病院の見つけ方

発達障害を診察できる病院を効率よく探すには、お住いの自治体のホームページを活用する方法があります。

一部の地方自治体では、発達障害に対応できる病院をリスト化して、自治体のホームページで公開しています。

公開されたリストの中には、診察できる患者の対象年齢診察可能な発達障害の種類、行っている診療情報(心理療法や言語療法など)をまとめているものもあり、発達障害を診察できる病院探しに大いに役立つでしょう。

発達障害での受診時の流れ

発達障害で精神科等を受診すると、次のような順番で進みます。

  1. 診察
  2. 検査
  3. 診断

それぞれの詳細を見ていきましょう。

発達障害の診察

発達障害の診察時には、医師から日常生活や子どもの頃の様子について詳しく聞かれます。これは発達障害の特性がいつから見られるのかを医師が判断するために、必要な情報を得るためです。

診察の際に医師から聞かれることを下表にまとめます。

項目医師から聞かれること
生育歴・子どものころから大人になるまでの過程で起こったトラブルや困りごと
・幼稚園や保育所での様子
・学校での様子や友達関係
・学業の成績
・今までの成長過程で、気になる症状がどのように変化したか
生活歴・最近の生活の様子
・仕事や日常生活での困りごと
現病歴・現在かかっている病気や治療中の病気の経過
既往歴・過去にかかったことのある病気

このほかにも、親族の中に発達障害やその他の精神疾患のある人がいるかなども聞かれます。親族の病歴をよく知らない場合は、あらかじめご両親やご兄弟、親族の方に確認しておきましょう


また、発達障害の特性があっても無自覚だったり、子どもの頃のことをあまり覚えていなかったりする場合もあります。受診前にご両親や友人、親戚の方などに自分の子ども時代のエピソードを聞いておくと、診察時に医師に伝えやすくなります。

発達障害の診断には正確な情報が必要ですので、母子手帳や育児日記、通知表など子どもの頃の記録が用意できれば、受診時に持参するのがおすすめです。

病院によっては、診察時間が限られていることもあります。医師にもれなく伝えるために、症状や相談したいことをメモしていくとスムーズに診察が進むでしょう。

発達障害の検査

診察のあとは、必要に応じて以下のような検査を受けます。

  • 採血
  • 脳波検査
  • WAIS(ウェクスラー式知能検査)
  • アレルギー検査
  • 頭部CTや頭部MRI

検査には発達障害と似た症状を持つほかの病気を除外する目的があります。

たとえば、脳波を調べることで「てんかん」があるかがわかります。

頭部CT頭部MRIなどの脳画像検査では、「高次脳機能障害」や「認知症」の可能性を探ります。

発達障害の診断

精神科や心療内科では、アメリカ精神医学会の診断基準である「DSM-5」を用いて発達障害の診断を行います。

DMS-5は、精神疾患の基本的な定義などをまとめたもので、現在では国際的に精神疾患の診断に利用されています。

医師は、表面化している症状について問診や行動観察をした結果が、DSM-5の診断基準を満たしているか、日常生活や社会生活に適応できるかなどを総合的に見て診断します。

一度の受診では診断がつかないケースも珍しくはありません。
たとえば、ADHDの診断では症状が6か月以上継続していることが判断基準となっており、継続して通院が必要になるケースも多くあります。

発達障害の診断を受ける3つのメリット

ここまで発達障害の診断の流れや検査内容を見て、「やはり発達障害の診断を受けるのは大変だな」と感じる方も多いでしょう。

しかし、発達障害の診断を受けることでサポートが受けられたり、自己理解が進んだりすることもあります。

そこで、発達障害の診断を受けるメリットを3つご紹介します。

※青字をクリックすると、ページがジャンプします

それぞれ順番に見ていきましょう。

福祉サポートが受けられる

発達障害の診断を受けるメリットの1つ目は、障害者手帳や障害年金、自立支援医療の申請ができるケースがあることが挙げられます。

都道府県知事や指定都市の市長から「障害者手帳の交付」を受けると、福祉サポートや税金の優遇が受けられます。

たとえば、障害者手帳を持つことで「障害者雇用枠」での就労ができるようになり、障害の特性から起こる職場での困りごとに配慮を受けることができます。

「障害年金」は、老齢年金や遺族年金と同様に国から年金が受けられる制度です。
障害の状態や保険料納付などの一定の要件を満たすと年金として現金が支給されます。

また、「自立支援医療」では外来での診療や投薬、デイケア等の金銭的負担が軽減され、将来的な医療費の負担を減らすことができるでしょう。

障害のある方の生活を支援するところとして、発達障害者支援センター障害者就業・生活支援センター等が挙げられます。
上記の支援センター等は発達障害の診断がなくても利用できますが、診断があれば具体的に困りごとの相談ができるでしょう。
その結果、自分の困りごとや悩みに寄り添った支援が受けられる可能性が高まります。

障害者手帳と障害年金をもっと詳しく知りたい方は、下記の関連記事をご覧ください。

年金手帳と電卓 障害年金とは【専門家がわかりやすく解説します】 四葉のクローバー 精神障害者保健福祉手帳とは?申請方法まで徹底解説

参考:自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省
参考:発達障害者支援センター|国立障害者リハビリテーションセンター
参考:障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省

自分の特性がわかり、困りごとへの対策が立てやすくなる

発達障害の診断を受けると、いま抱えている困りごとへの対策が立てやすくなります。

医師から診断を受け、自分の発達障害の特性や症状がわかると困りごとへの対策が進むでしょう。

たとえば、以下のような対策があります。

困りごと対策
優先順位をつけるのが苦手やることを箇条書きにして順番を決める
仕事の指示を口頭で受けると理解できないメモやメールなど、文字で指示を受ける

発達障害の診断を受けることで、自分の特性や症状を客観的に見るようになり、自己理解が進むことも大きなメリットです。

自分のことがわかると職場で合理的配慮※を受けたいときに、どんな場面でどのようなサポートが必要なのかを具体的に提案できるでしょう。自分に必要なサポートをタイミングよく受けることで、職場環境を改善できる可能性が高まります。

※合理的配慮とは、障害のある人が生活する上での困りごとを、環境の整備や周囲のサポートにより減らしていく配慮のこと

生きづらさの理由がわかり、自責の念から解放される

発達障害の診断を受けると、これまで感じてきた生きづらさの理由がわかり、心の中のわだかまりを解消できるでしょう。

大人になってから発達障害と診断された人の多くは、子どもの頃から生きづらさや葛藤を抱えています。
「どうして自分はみんなと同じようにできないのか」と長い間悩んできたことが、自分の力不足や努力不足が原因ではなかったとわかり、気持ちが楽になる人もいるでしょう。

発達障害の診断が出ずに「グレーゾーン」だったとしても、医師に相談する機会を持ったことで困りごとの対処法や助言が得られます。
発達障害の専門家と話すことで、悩みを解消する道筋を見つける可能性が高まるでしょう。

まとめ

発達障害の診断は、心療内科や精神科で受けられます。診断のできる医療機関はまだ多くはないため、受診前に診察できるかを確認しましょう。

「自分は発達障害ではないか」と考える方の中には、発達障害であると診断を受けることに抵抗感があり、精神科等を受診することをためらう方も少なくありません。

しかし、発達障害の診断を受けることで自分の特性が理解でき、生活する上での困りごとを減らすための環境整備などの対策が、より具体的にできるようになります。

発達障害の診断があれば、障害者手帳や障害年金などのさまざまな福祉サポートを利用できるので、医療機関へ足を運ぶことも選択肢のひとつとして検討してはいかがでしょうか。