障害年金はいつまでもらえる?更新はあるの?打ち切られるケースもご紹介

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障害年金は、病気やけがによる障害で生活や仕事に支障のある人を支える心強い制度です。
経済的に安定した生活を送りたいと願う多くの障害のある人にとって、障害年金は大きな支えとなります。

障害年金について「いつまで受け取れるのか」「更新はあるのか」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
この記事では、障害年金がいつまで受け取れるのかについて、わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

障害年金はいつまでもらえるの?

結論からお伝えすると、障害年金を永久認定で受けている人は亡くなるまで障害年金が受け取れます。

障害年金の認定には、一度認定されれば更新手続きが不要となる「永久認定」と、定期的な更新手続きが必要になる「有期認定」があり、永久認定されるとその後の更新手続きは不要となり、亡くなるまで障害年金が支給されます。

日本年金機構が公開した障害年金業務統計によると、令和4年に永久認定が認められた割合は、障害基礎年金と障害厚生年金を含めた新規裁定のうち9.2%でした。

このことから、障害年金を受ける大部分の人は更新を続けながら障害年金を受けることがわかります。

なお、障害年金の永久認定と有期認定の詳細は関連記事でご紹介しています。

障害年金の永久認定と有期認定の違いとは?更新・支給再開の手続きも解説

障害年金が打ち切られるケースとは?

障害年金が有期認定された場合は、次のようなときに年金がもらえなくなります。

それぞれ順番にみていきましょう。

障害年金を受けている人が亡くなったとき

障害年金を受けている人が亡くなると障害年金を受ける権利が消滅するので、年金の支給がなくなります。

障害年金が支給されるのは「亡くなった月」までで、月の途中で亡くなっても日割りで減額されることはありません

亡くなったときにまだ受け取っていなかった年金や、亡くなったあとに支給された年金は「未支給年金」として、生計同一の遺族が受け取ります。

障害年金を受けている人が亡くなったら、以下の「受給権者死亡届(報告書)」を年金事務所や街角の年金相談センターに提出しましょう。

受給権者死亡届(報告書)
出典:受給権者死亡届(報告書)|日本年金機構

日本年金機構にマイナンバーを収録している場合は、原則として「年金受給権者死亡届」の提出は省略できます。

なお、未支給年金については日本年金機構で公開している年金を受けている方が亡くなったときで手続き等をご確認ください。

参考:年金を受けている方が亡くなったとき|日本年金機構

障害状態確認届(診断書)を提出しなかったとき

日本年金機構から送られてくる「障害状態確認届」を期限内に提出しなかったり、記載内容に不備があったりする場合、障害年金の振込が止まります。これを「差し止め」といいます。

有期認定で障害年金を受給している場合、1〜5年に一度「障害状態確認届(診断書)」を提出し、更新を行うことが必要です。

更新時期になると、誕生月の3か月前に日本年金機構から「障害状態確認届」が届くので、医師に記載していただき、誕生月の末日までに提出しましょう。

障害状態確認届の提出が遅れて年金が差し止めされた場合でも、あとから提出して障害状態があると認定されれば、差し止めされた時点に遡って年金の支給が再開されます。

障害年金の更新については、下記の関連記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

ノートとペン 【最新】障害年金受給後の更新(障害状態確認届)

参考:障害状態確認届(診断書)が届いたとき|日本年金機構

障害の状態が軽くなったとき

障害年金の更新時に障害の状態が軽くなり、障害年金の等級に該当しなくなったときは障害年金が受け取れなくなります。これを「支給停止」といいます。

更新で障害等級が変わり、支給額が変更になるタイミングを下表にまとめました。

更新で変わった内容支給額が変更となる時期
障害等級が上がる(年金額が増える)誕生月の翌月分から
障害等級が下がる(年金額が減る)誕生月の4か月目から
障害等級に該当しなくなる(支給停止)誕生月の4か月目から

障害等級が下がったと認定された場合は「額改定請求」を行うことができます

額改定請求とは、上位の等級へ変更を求めることです。

障害の状態が実際よりも軽い等級で認定されたケースでは後から額改定請求をすることがありますが、前回の審査から1年経過していないと手続きができません。障害年金の更新は細心の注意を払って進めましょう。

障害年金の支給停止についてもっと知りたい人は、下記の関連記事をご一読ください。

障害年金が支給停止となるケースとは?支給再開方法は?支給停止から再開方法までを徹底解説 障害年金が支給停止になる2つのケースとその対処方法

ほかの年金がもらえるようになり、障害年金を選択をしなかったとき

複数の年金が受け取れるときに障害年金以外の年金を選択すると、障害年金は支給停止となります。

年金は原則として「一人1年金」なので、老齢年金や遺族年金などの年金が受け取れる場合は障害年金と両方は受け取れず、どちらかを選ぶことになります。

2つ以上の年金を受け取れるようになったら、年金事務所や街角の年金相談センターで年金額を試算して、どちらの年金を選ぶか相談しましょう。

下記の「年金受給選択申出書」を年金事務所に提出すると、提出の翌月から選択しなかった方の年金が支給停止となります。

年金受給選択申出書
出典:年金受給選択申出書|日本年金機構

65歳以降は例外として「障害基礎年金+老齢厚生年金」の組み合わせが認められます

下図は65歳以降の障害年金の受け取り方を示したものです。

65歳以降の障害年金併給
出典:年金の併給または選択|日本年金機構

障害年金は非課税ですが、老齢年金は雑所得となり課税対象となります。どちらの年金を選ぶかを判断するときには、支給される年金額の総額だけではなく、税金など控除される金額も考慮することをおすすめします。

障害年金と老齢年金の併給や、障害年金を受給時の税金については関連記事をご覧ください。

障害年金と老齢年金の併給はできる?どちらがお得?障害年金と老齢年金の併給について 障害年金は税金がかかる?障害年金を受給時の税金や扶養について

参考:年金の併給または選択|日本年金機構

20歳前に初診日のある人の所得が4,721,000円を超えたとき

20歳前に初診日のある障害基礎年金(20歳前傷病による障害基礎年金)を受けている人は、前年の所得額が4,721,000円を超えると年金が全額停止します。

具体的には、前年の所得が下表の額を超えると年金の一部または全部が支給停止となります。

前年の所得障害基礎年金の支給状況
3,704,000円以下全額支給
3,704,001円から4,721,000円2分の1の年金額が支給停止
4,721,000円を超える全額停止

下図は、前年の所得による支給制限を図解したものです。

20歳前傷病の障害年金の所得制限
出典:20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等|日本年金機構

なお、支給停止となる期間は、10月から翌年9月までの1年間です。

日本年金機構が市区町村から所得情報の提供を受けることになったため、所得状況届(ハガキ)は、原則として不要となりました

20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限の詳細は関連記事でご紹介しています。

年金手帳と電卓 障害年金に所得制限が掛かる2つのケースとその計算方法

20歳前に初診日のある障害基礎年金のみにある全額停止となるケースとは?

20歳前傷病による障害基礎年金は、以下にあてはまるときは支給されません。

  • 海外に居住している
  • 刑務所等の矯正施設に入所している

海外に移住したときや矯正施設に入所したときには、「国民年金受給権者 支給停止事由該当届」の提出が必要です。

国民年金受給権者支給停止事由該当届
出典:国民年金受給権者支給停止事由該当届|日本年金機構

障害年金はいつまでもらえる?|よくある質問

障害年金がいつまでもらえるかに関連してよくいただく質問に回答していきます。

障害年金を受け始めてから働き始めました。次の更新で年金が止まるのではと心配です…

仕事をしながら障害年金の更新をする際には、更新時の診断書に就労や生活の状況を正確に反映してもらいましょう。

障害年金は、仕事をしている人でも障害等級にあてはまる状態であれば支給されます。

更新で重要となるのは医師が作成する診断書なので、職場での支援内容や障害者雇用枠で働いているなどの就労の実態を正確に記載してもらうことが大切です。

特に、障害年金の申請時に働いていなかった人が更新のときに仕事をしている場合の更新は注意が必要です。

診断書を受け取ったときには、仕事や生活での困りごとなどの自分の状態や周りのサポートなどが的確に記載されているか確認しましょう。

障害年金の更新がうまくできるか不安です。どこに相談したらいいでしょうか?

障害年金の更新の相談は年金事務所で受け付けています。

また、障害年金の申請を受託した社労士が、更新について相談に応じることもあります。病歴や申請時の障害の状態、仕事や日常生活の様子などもあらかじめ把握しているので、スムーズに相談できる可能性が高いでしょう。

まとめ

障害年金は、永久認定の場合は亡くなるまで受け取ることができます。

有期認定の場合は、更新を続けながら障害等級にあてはまる間は障害年金の支給があります。

更新には診断書が必要なので、正しく等級を判定してもらうために自分の状態が正確に記載されたものを用意しましょう。

また、ほかの年金を受けられるようになったときは、原則としてどちらかの年金を選ぶことになり、障害年金とほかの年金を同時に受給できません。年金事務所等で年金額を試算し、自分に有利な受け取り方を選択しましょう。