「昔の通院を言わなければ、障害年金の初診日を後ろにずらせるのではないか」「厚生年金に入っていた時期を初診日にした方が有利ではないか」。
そう考えて「障害年金 初診日 バレる」と検索している方へ、最初にお伝えします。
障害年金の初診日は、原則として自分の好きな日を選ぶことはできません。
実際の受診歴を知りながら隠し、自分に有利な加入制度や納付状況になるよう初診日を偽ることは、正当な請求の工夫ではありません。
不正な請求です。診断書に希望する日が書かれたとしても、それだけで年金制度上の初診日として確定するわけではありません。
審査では、医療機関の証明や病歴など、複数の情報から初診日が確認されます。別の資料に残る過去の受診歴と食い違えば、説明や追加資料を求められ、請求が認められない結果につながります。
「昔のことだから分からないだろう」という見込みで進めるべきではありません。
そして、問題は一度の請求が通らなくなることだけではありません。
真の初診日で保険料納付要件を満たしていないなど、受給の前提を欠く場合には、その同一傷病で将来重症化しても年金を受けられないことがあります。
この記事では、初診日を意図的にずらす危険性と、事実に基づいて請求するための考え方を解説します。
目次
障害年金の初診日は自分で選べない
初診日は希望する請求内容から逆算する日ではない
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日です。
同じ傷病で転院した場合、転院先で最初に診療を受けた日が、当然に障害年金の初診日になるわけではありません。
現在の病院では初めての受診でも、それ以前に同じ傷病で別の病院に通っていれば、過去の経過を確認する必要があります。「この病院の初診」と「障害年金の初診日」を混同しないことが大切です。
障害年金を受けたい時期、年金額、希望する等級を先に決め、それに合う日を探す手続きではありません。
まず受診の事実と医学的な経過があり、その事実に制度を当てはめて確認します。
診断が確定した日や悪化した日とは限らない
初めの受診時には病名が確定せず、後に現在の病名が付いたという経過もあります。
この場合、診断名が付いた日だけを見て初診日を判断することはできません。
以前の症状や診療と、現在の障害との関係を確認します。
例えば、ある症状で受診し、検査や転院を経て原因となる病気が判明した場合、最終的な診断日だけを初診日とするとは限りません。
仕事を休むほど悪化した日や、障害者手帳を取得した日も、それだけで初診日になるものではありません。
ただし、過去に病院へ行ったことがあれば、すべて現在の傷病の初診日になるわけでもありません。
どの傷病との関連を確認すべきかは、受診目的、症状、医学的なつながりなどから検討する必要があります。
厚生年金の加入中に合わせるためにずらしてはいけない
障害基礎年金と障害厚生年金では、対象となる等級や年金額の仕組みが異なります。
そのため、「会社に入ってから受診したことにしたい」と考える方がいるかもしれません。
しかし、有利になる事情があっても、受診した事実を変更することはできません。
国民年金の加入中に関連する受診があったのに、その後の厚生年金加入中の受診から病歴を始めることは、単なる省略では済まない場合があります。
支給要件の判断を変えるために重要な事実を隠しているからです。
制度の違いを知ることは必要ですが、知識を使って過去の出来事を作り替えてはいけません。
「どちらなら多くもらえるか」より前に、「事実からみて初診日はいつか」を確認してください。
初診日を偽る行為は制度ハックではなく不正請求
受診歴を知りながら隠すことが問題になる
過去の受診日を思い出せない場合と、分かっている受診歴をわざと書かない場合は異なります。
古い記憶を資料で補い、誤りに気付いて訂正することまで、不正だと考える必要はありません。
問題になるのは、過去の受診を伝えると請求に不利になると考え、その事実を意図的に除くことです。
申立書に書かなければ出来事がなくなるわけではなく、相談する相手を変えても受診した事実は変わりません。
「一度しか行っていない」「短期間だけだった」「薬をもらっただけ」という理由も、本人の判断で除外できる根拠にはなりません。
現在の障害との関連があるかを確認するため、まず相談先に事実を伝える必要があります。
病名を変えても受診の経過は消えない
診断名が変わったことだけを根拠に、以前とは別の病気として扱えるとは限りません。
以前の病名と現在の病名が異なっていても、同一の傷病の経過である場合や、相当因果関係が問題になる場合があります。
反対に、異なる病気を何でも同一傷病と決めることも適切ではありません。
大切なのは、年金のために病名を使い分けることではなく、実際にどのような症状があり、どのような診療を受けてきたかを医学的に確認することです。
「別の病名で出せば以前の通院は関係なくなる」といった説明には注意してください。
病名だけを付け替えても、過去から現在までの病状や治療のつながりを説明する必要は残ります。
専門家が勧めたという理由では正当化できない
家族、知人、インターネット上の発信者、あるいは手続きを支援する人から勧められても、虚偽の受診歴を前提にした請求が正当になることはありません。
「任せていたので内容を見ていない」という状態も避けるべきです。
本人が署名する書類は、本人の事実として提出されます。支援者に任せる場合でも、受診歴、通院していない期間、就労の経過などが正しく書かれているかを確認してください。
記憶がない部分に具体的な出来事が足されていないかも重要です。
当事務所は、初診日を作為的にずらすことや、真実に基づかない請求の相談には対応しません。
専門家の役割は、事実と制度に基づいて請求を支えることであり、事実を隠して要件を作ることではないと考えています。
障害年金の初診日の嘘がバレるのはなぜか
初診日は一枚の書類だけで決まるわけではない
初診日の確認には、受診状況等証明書や診断書などが用いられます。
初診時の医療機関で証明が取れない場合にも、別の資料を用いる方法が用意されています。
審査は、申立書に書いた一つの日付をそのまま受け入れる手続きではありません。
現在の病院の診断書にある日付と、前医の証明や経過の記載が一致しないこともあります。
資料の出所や記載内容を確認すると、本人が申告していなかった受診が分かる場合があります。
だからこそ、提出する書類の記載だけを都合よくまとめても、真の受診歴を置き換えることはできません。
書類同士の見た目をそろえることより、確認できる事実に合っているかが問われます。
過去の情報が別の医療機関や資料に残っている
最初の医療機関のカルテが残っていなくても、後の病院に過去の受診経過が記録されている場合があります。
紹介状などを通じて引き継がれた情報もあり、本人が今から過去の説明を変えても、既に作成された資料まで変わるわけではありません。
また、初診日の証明に使われる参考資料には、健康保険の給付記録、他制度の申請時の診断書、診察券などがあります。
どの資料が残っているか、何を示すかは個別に異なりますが、「古い病院のカルテがないから分からない」という前提は成り立ちません。
ここでいう資料の確認は、不正を疑われた人だけに限るものではありません。
正しい初診日を明らかにするために必要な作業です。関連する資料があれば、都合の良し悪しで選別せず、相談先に共有してください。
バレないという前提で請求を進めるのは危険
厚生労働省の初診日確認に関する通知では、第三者証明の信憑性について、他の資料との整合性や医学的判断などで確認する取扱いが示されています。
内容などに疑義がある場合には、必要に応じて第三者へ電話等で確認することも定められています。
こうした確認の仕組みがある以上、「自分が書かなければ知られない」「話を合わせれば認められる」と見込んだ請求は危険です。
説明できない矛盾があれば、認定に必要な根拠を示せなくなります。
請求者の説明だけで初診日が自由に決まる制度ではありません。
そもそも、ばれる可能性が高いか低いかで、虚偽の申告をするか決めるべきではありません。
障害年金は受給要件を満たす方の生活を支える制度です。
嘘で要件を作り出すことは、その制度の利用方法から外れています。
初診日の嘘が発覚するとどうなるのか
初診日や支給要件を認められず却下などにつながる
申し立てた初診日が資料と合わず、年金制度上の初診日として認められない場合、請求が認められず、却下などの不支給決定につながります。
真の初診日で加入制度や納付要件を満たさない場合も、希望する年金は受けられません。
ただし、日付に相違があれば必ず不正と認定され、直ちに同じ処分になるというわけではありません。
単なる記載誤り、資料不足、初診日の法的な評価の違い、故意の虚偽は、区別する必要があります。
決定の内容と理由は個別に確認してください。
重要なのは、初診日の問題を放置したまま、障害の重さだけを説明しても解決しないことです。
生活が厳しいことや症状が重いことは、過去の受診歴を変える理由にはなりません。
受給後に分かれば返還や刑事責任の問題にもなる
仮にいったん支給されても、不正により受け取った年金が、そのまま正当な受給に変わることはありません。
国民年金法第23条には、不正な手段で給付を受けた場合、受給額に相当する金額の全部または一部を徴収できる規定があります。
また、同法第111条は、不正な手段による受給について、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を定め、刑法に該当する規定がある場合は刑法によるとしています。
具体的な法的責任は行為や事実関係によって異なり、記憶違いや誤記を一律に犯罪と扱うものではありません。
「通ってしまえば問題ない」「振り込まれれば終わり」という考えは危険です。既に生活費に使っていたとしても、
不正受給に関する責任がなくなるわけではありません。
虚偽を前提にした請求には、将来の生活にも及ぶリスクがあります。
再請求すれば過去の説明が消えるわけではない
一度請求が認められなかった後に、申立書の内容を変えて再請求しても、以前に提出した資料がなかったことになるわけではありません。
厚生労働省は、一定の条件のもとで、同一傷病・同一初診日の再請求に前回の初診日証明書類を利用できる取扱いも示しています。
前回の説明と今回の説明が違う場合は、資料が新たに見つかったのか、記憶の誤りを訂正したのかなど、変更した理由を事実に基づいて明らかにする必要があります。
支援者や提出先の窓口を変えることは、受診歴をリセットする方法にはなりません。
正しい資料に基づく訂正や不服申立てと、不利な経過を隠して出し直すことを混同しないでください。
請求をやり直す場面ほど、前の内容も含めた確認が必要です。
同じ障害で将来も受給できない場合がある
真の初診日で納付要件を満たさない問題は重症化で解消しない
障害年金には、障害の程度とは別に、初診日や保険料納付に関する要件があります。
納付要件が必要なケースでは、原則として初診日の前日における、初診日のある月の前々月までの年金記録を確認します。
一定の特例や、20歳前傷病の障害基礎年金などの取扱いもあるため、正確な確認が必要です。
真の初診日で必要な納付要件を満たしていないことが確定した場合、同じ傷病の症状が将来重くなっても、そのことだけで初診日や納付状況が変わるわけではありません。
後に就職して厚生年金に加入したことだけでも、過去の初診日の要件は置き換わりません。
例えば、関連する傷病で既に受診しており、真の初診日では納付要件を満たさない方が、後の受診日を申し立てたとします。審査で真の初診日が確認され、適用できる例外等もなく納付要件を欠くなら、後年の重症化だけでは、その同一傷病の障害年金に結び付きません。
これは将来の生活に関わる重大な問題です。
不正への制裁として一律に永久失格になるわけではない
ここは正確に理解する必要があります。「初診日の嘘が発覚したら、制裁としてその障害の年金を一生申請できなくなる」という一律の永久失格制度と、真の初診日で支給要件を欠くため受給できないことは異なります。
一度不支給になった方でも、その理由に応じて、正しい資料による再請求や不服申立てなどを検討できる場合があります。
障害の程度が理由で認められなかったケースと、初診日の納付要件を満たさないケースを、同じように扱うことはできません。
「二度と受給できない場合がある」という警告の核心は、障害が重くなればいつか要件を満たせるとは限らないことです。
不正を試すことに意味はなく、まず事実に沿った初診日と適用される要件を確認するほかありません。
無理な請求で時間を失うことも見過ごせない
根拠のない初診日で請求を進めると、医療機関への依頼や書類作成に費用と時間を使い、資料の取り直しや経過の再確認が必要になる場合があります。
精神的な負担も小さくありません。
その間に、請求時期や年齢の条件が問題になったり、当時の資料や証言を確保しにくくなったりするおそれもあります。
受給できる方法が別にあるかを検討すべき方が、虚偽を前提とする準備に時間を費やすことは避けるべきです。
「まず出して、だめなら本当のことを説明すればよい」と考えず、最初から受診歴を明らかにしてください。制度を正しく利用するための準備は、書類を出す前から始まっています。
社会的治癒や初診日の訂正は不正とどう違うのか
社会的治癒は通院していない年数だけでは決まらない
社会的治癒が認められる場合、再び受診した日を初診日として扱うことがあります。
しかし、本人が「治ったことにする」と決める制度ではありません。
傷病の性質、治療の必要性、症状の経過、社会生活の状況などを踏まえて判断されます。
何年か通院していなかった、働いていたという事情だけで、当然に社会的治癒となるわけではありません。
症状があっても経済的な事情や自己判断で受診を中断していたのであれば、その経過も伝える必要があります。
正当な主張では、前の受診を隠すのではなく、前の傷病とその後の状態を示したうえで、社会的治癒に当たる理由と資料を提示します。
過去を消して新しい初診日を作ることとは、出発点が異なります。
新しい資料に基づく訂正と有利な日への変更は違う
当初は日付を取り違えていたものの、医療機関の記録が見つかり、正しい受診日が分かることもあります。
その場合に資料を示して訂正することは、意図的な初診日の操作とは異なります。
大切なのは、変更の根拠が新たに確認された事実なのか、単に受給上の利益なのかという点です。
「厚生年金になるので後ろにしたい」という希望は、訂正の根拠にはなりません。
また、関連のない受診を誤って初診日としていた場合も、医学的な関係を確認して整理する必要があります。
本人の思い込みだけで決め直さず、前の説明、訂正理由、確認資料をそろえて相談しましょう。
判断が争われることと虚偽の申告は別である
事実をすべて開示したうえで、同一傷病か、相当因果関係があるか、社会的治癒に該当するかについて判断が分かれる場合があります。
根拠のある主張が認められなかったことを、それだけで不正請求と決め付けてはいけません。
一方、事実を隠したまま「専門的な判断の違いだった」と説明しても、隠した行為が正当になるわけではありません。
医学的・制度的な主張をするためにも、受診経過の開示が前提となります。
制度上認められる取扱いを適切に使うことと、要件に合うよう事実を作ることを区別してください。
正当な権利の主張は、確認できる事実と根拠を積み重ねることで成り立ちます。
カルテがないときは初診日を変えず証明方法を探す
証明が取れないことと受診がなかったことは違う
最初の病院が廃院している、保存期間の経過などでカルテが残っていないという場合もあります。
しかし、証明書を取れないことは、その病院を受診した事実がなくなったことを意味しません。
日本年金機構は、初診時の医療機関で証明が得られない場合に、第三者証明や参考資料などを用いて確認する方法を案内しています。
初診日が一定期間内にあることを資料で示す取扱いもありますが、それぞれ条件があります。
「証明できないので今の病院を初診にする」と飛躍せず、証明できない理由と残っている資料を確認してください。
制度には証明上の困難に対応する方法があり、嘘をつくことはその代わりにはなりません。
不明な部分は不明と伝え第三者にも話を合わせさせない
記憶があいまいな日付を、確実に覚えているように説明する必要はありません。
分かる時期、受診した理由、病院名、当時の生活などを整理し、記憶による情報と資料で確認できる情報を分けます。
第三者証明を頼む場合も、その人が実際に見聞きしていた範囲で書いてもらうことが前提です。
望ましい初診日に合わせて記憶を作ってもらったり、本人が作った話を事実として証明してもらったりしてはいけません。
不利に見える事実も含めて共有した方が、確認すべき点を整理できます。
初診日の証明が難しいことを相談するのと、不正な証明を依頼することは違います。
初診日の嘘や記載漏れに気付いたときの対応
提出前なら進行を止めて事実を確認する
書類を出す前に、過去の受診が抜けていることや、日付が事実と異なることに気付いた場合は、そのまま提出しないでください。
依頼している専門家がいれば事情を伝え、医療機関の資料や年金記録を確認します。
医師が作成した診断書や証明書を、本人側で書き換えてはいけません。
誤記や未共有の情報がある場合は、作成した医療機関に相談し、適切な方法で確認・訂正してもらう必要があります。
受給の見込みが変わることを恐れて事実を伏せれば、問題は解決しません。
正しい初診日で何が可能かを確認し直すことが、取り返しのつかない請求を避けるための対応です。
提出後や受給後なら放置せず相談する
提出後に相違が分かった場合も、審査結果が出るまで黙って待つのではなく、請求先の年金事務所などに相談し、訂正や追加説明の方法を確認してください。
いつ、何が分かり、どの資料で確認したかを整理します。
既に受給している場合や、意図的な虚偽に関与した場合は、個別の法的責任も問題になり得ます。
必要に応じて弁護士への相談も検討し、事実を隠すための新たな説明や資料を作らないことが重要です。
訂正を申し出れば必ず責任がなくなる、必ず受給を続けられると約束することはできません。
それでも、虚偽を重ねることは解決になりません。事実に基づいて対応する必要があります。
障害年金の初診日についてよくある質問
昔の通院は一回だけでも伝える必要がありますか
現在の障害に関連する可能性があるなら、回数だけで除外せず相談時に伝えてください。
その受診が年金制度上の初診日に当たるかは別途確認します。
本人が無関係だと思い込んでいる場合もあるため、受診理由と経過を共有することが大切です。
今の主治医が書いた初診日なら必ず認められますか
必ず認められるわけではありません。
診断書の記載は重要な資料ですが、過去の受診を本人から聞いていない場合もあります。
主治医に伝えた情報が不完全なまま記載された日付を利用しても、他の資料との矛盾が解消するわけではありません。
正直に話すと受給できなくなるなら黙っていた方がよいですか
黙って要件を満たすように見せることはできません。
正しい初診日で要件を満たさないなら、その問題を確認する必要があります。
一方、本人が対象外だと思っていても、年金記録や適用される取扱いを調べると判断が変わる場合もあるため、事実を開示して相談してください。
ネットに書かれた成功例と同じ方法を使えますか
他人の投稿だけでは、受診歴や提出資料、認定された理由までは分かりません。
適法な取扱いが認められた事例なのか、重要な事情が省かれているのかも判断できません。
「この方法で通った」という言葉を、受診歴を隠してよい根拠にしないでください。
初診日を偽る依頼に当事務所が対応しない理由
本人の生活を支える請求に虚偽を持ち込まない
障害年金は、現在だけでなく、その後の生活にも関わります。
虚偽の初診日を前提に受給できると思い込み、将来の見通しを立ててしまうことは、ご本人にとっても大きな危険です。
当事務所では、希望する等級や受給額から事実を組み立てるのではなく、受診歴と障害状態を確認します。
説明の仕方を整えることはあっても、受診した事実を消したり、実際にはなかった回復期間を作ったりすることはしません。
依頼する方にも、確認できる事実を共有していただく必要があります。
不利な事情を含めて確認し、制度上できることとできないことをお伝えすることが、専門家の責任だと考えています。
制度への警告は正当な請求を諦めさせるためではない
初診日の虚偽を厳しく指摘することと、記憶があいまいな方や、資料が残っていない方の請求を否定することは異なります。事実に基づく確認に協力し、利用できる証明方法を探すことは、正当な権利を守るための手続きです。
問題にしているのは、制度を理解することそのものではありません。
受給に有利になるよう過去を改変することを、知識や交渉力のように扱う考え方です。
請求が通るならよいという発想は、ご本人と制度の双方を傷つけます。
初診日の基本や証明方法は関連記事で詳しく解説しています。
本記事では、初診日を偽る行為に踏み込まないこと、既に相違がある場合は事実に戻って確認することを、特にお伝えしたいと考えています。
参考リンク:厚生労働省 初診日の証明書類を添付できない場合の取扱い
参考リンク:厚生労働省 同一傷病・同一初診日による再請求時の証明書類の取扱い
参考リンク:厚生労働省 社会的治癒の判断を示す社会保険審査会裁決例
さいごに
障害年金の初診日は、自分の希望する加入制度や年金額に合わせて自由に選べる日ではありません。
過去の受診歴を隠し、有利な日付にずらす行為は、不正な請求です。
書類に希望の日が書かれたことや、誰かに勧められたことは、正当化する理由になりません。
初診日は複数の資料と経過から確認されるため、隠した受診が判明する可能性があります。
却下などで請求が認められないだけでなく、受給後には返還や刑事責任の問題につながる場合もあります。
また、真の初診日で必要な納付要件を満たさなければ、同じ傷病が後に重くなっても受給できないことがあります。
大切なのは、ばれるかどうかを考えることではなく、初診日を偽らないことです。
分からないことは分からないと伝え、残っている資料を確認し、正当な制度上の取扱いを検討してください。
障害年金は、嘘を組み立てて獲得するものではなく、事実と要件に基づいて請求するものです。

