障害年金の第三者証明とは?家族や医師が書くもの?書き方もわかりやすくご紹介!

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障害年金の「第三者証明」をご存じですか?

障害年金の請求に欠かせない初診日は、障害の原因となった病気やけがで初めて診療を受けた医療機関で、書類を作成してもらい証明します。

しかし、カルテがないなどの理由で、初診の医療機関で初診日の証明を受けられないことが少なくありません。

そんなときに、第三者の証明をもとに申し立てて、初診日を証明する方法が「第三者証明」です。

この記事では、障害年金の第三者証明を詳しく解説します。

どんな人が第三者証明を書けるのか、具体的な書き方や、よくある質問もご紹介するので、初診日が証明できず困っている人は、ぜひ参考にしてください。

第三者証明とは?

「第三者証明」とは、正確には「初診日に関する第三者からの申立書」といい、医療機関で診療を受けていたことを第三者が証明する書類です。

出典:初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明) |日本年金機構

障害年金の請求では、初診日を特定するために「受診状況等証明書」を医師に作成してもらい、年金事務所に提出します。

しかし、下記のような場合は作成が不可能です。

  • 初診の病院が現在はなくなっている
  • 初診がかなり前でカルテが廃棄されている

このようなときに初診を証明するために、第三者に証言してもらうのが第三者証明の役割で、「受診状況等証明書が添付できない申立書」と一緒に年金事務所に提出します。

第三者証明を提出すれば必ず初診の証明ができるものではなく、記載内容や具体性、ほかの資料との整合性を踏まえて初診日が認定されます。

初診日についてもっと知りたい人は、下記の関連記事をご覧ください。

障害年金における「初診日」とは?初診日の重要性や証明方法も併せて解説

第三者証明の書き方

第三者証明の書き方を、記入例を交えてご紹介します。

①には、障害年金を請求する人の名前を書きます。

②は、該当するほうに〇をつけましょう。

③は、見た(聞いた)時点での請求者との関係を書きます。
記入例としては、「友人」「隣人」「上司」などが挙げられます。

④には、現在の請求者との関係を書きましょう。

赤枠で囲った「初診日」には正確な日付を記入します。

「申立者が知っている当時の状況等」には、下記のようなことをわかる範囲で記入しましょう。

  • 当時知った初診頃の状況
  • 初診時の状況をどういった経緯で知ったのか
  • 発病から初診日までどんな症状があったのか
  • 当時知った病名や初診の年月日
  • 初診の病院名や所在地
  • 初診病院を受診したきっかけ
  • 初診病院でのエピソード  など

記入できない項目があっても構わないので、知っている内容をなるべく具体的に記入します。

初診の当時に療養のために医師から日常生活での注意を受けていたことや、けがや病気の影響で生活に支障が出ていたことなどを見たり聞いたりして知っていたら、詳しく記載しましょう。

記入例としては、「医師から食生活を改善するように言われて、栄養バランスを考えたお弁当を持参しているのを見た」「立ち仕事が辛くなり、椅子に座って作業できる業務に変わったのを見た」などです。

最後に、申立日と申立者の連絡先を忘れずに記入します。

20歳前に初診日がある場合

20歳前に初診日がある場合は、下記の点も第三者証明に記入しましょう。

  • 請求者が20歳前に医療機関を受診していることがわかる内容

例えば「高校生のころに〇〇病院に通っていると聞いた」「中学生のころから、〇〇病院に定期的に通院していて、待合室で見かけた」などです。

20歳前までに、障害年金を請求する病気やけがで医療機関を受診したことが明らかであれば、請求者の申し立てしている初診日が認められる場合があります。

初診日の証明を正確に行うために、知っていることを具体的に記入しましょう。

第三者証明を書ける人

第三者証明を記載できるのは、民法上の三親等以内の親族以外の人です。

三親等以内の親族とは、具体的には次の人です。
  • 両親
  • 兄弟姉妹
  • おじ
  • おば
  • めい・おい


「いとこ」は、四親等となるので第三者になります。

そのほかの例としては「友人」「隣人」職場の上司」「同僚」などは、第三者にあたる人です。

第三者の中でも 、次の3つのいずれかに該当する人が、第三者証明を記載できます。

  1. 請求者が申請する病気やけがで初めて医療機関で診療を受けたところを直接見て知っている人
  2. 請求者が申請する病気やけがで初めて医療機関を診療を受けたことを初診頃に請求者本人やそのご家族から聞いて知っている人
  3. 請求者が初めて申請する病気けがで 医療機関を診療を受けたことを障害年金を請求する5年以上前に請求者本人やそのご家族から聞いて知っている人

1の例は、一緒に病院に付き添った人や、初診日を担当した医療従事者などです。

カルテが破棄されていても、初診を担当した医師や看護師が当時のことを覚えている可能性があります。

2の例は「昨日、具合が悪くて〇〇病院を受診したんだよね」「このあいだ教えてもらった病院で診てもらったよ」などと聞いた人です。

入院先にお見舞いに来てくれた人や、友人や会社の同僚など、初診当時に交流があった人などがあてはまります。

3は、最近ではなく障害年金を請求する5年以上前に初診当時のことを聞いていた人です。

初診当時は知り合いではない人でも、請求の5年以上前に初診当時の話を聞いていたなら、第三者証明の記入ができます。

第三者証明の必要枚数

第三者証明は、原則として複数枚必要で、2人以上の人に書いてもらいます。

詳しくみていきましょう。

20歳前に初診日がある


20歳前に発病したことが明らかで、医療機関を受診している場合は以下のとおりです。

第三者証明の枚数その他の資料
2枚以上なし

ただし、20歳前に初診日があっても、初診日に厚生年金に加入していた場合は、障害厚生年金の受給対象となり、後述する20歳以降に初診日があるケースと同じ扱いとなります。

参考:障害年金の初診日証明書類のご案内|日本年金機構

20歳以降に初診日がある

第三者証明の枚数は下記のようになります。

第三者証明の枚数その他の資料
2枚以上診察券や領収書など

初診日が20歳以降の場合は、初診日に加入していた年金制度により年金の給付額が大きく変わります。

年金事務所は厳密に初診日の特定をするため、第三者証明のほかに客観的な資料の提出を求めています。

参考:障害年金の初診日証明書類のご案内|日本年金機構

初診を担当した医療従事者が第三者証明をした


第三者証明の枚数は下記のようになります。

第三者証明の枚数その他の資料
1枚なし

初診を担当した医師や看護師等は、診察を直接見て当時の状況を知っています。

年金事務所では、初診を担当した医療従事者の作成した第三者証明は「信頼度が高い」と判断されることが多く、第三者証明は1枚用意できればよいとされています。

第三者証明の添付書類



第三者証明に添付できる初診日について客観性が認められる資料は、下記のようなものがあげられます。

  • 診察券
  • 入院記録
  • 医療機関や薬局の領収書
  • 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
  • 障害者手帳の申請時の診断書
  • 交通事故証明書
  • インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー
  • 事業所等の健康診断の記録
  • 健康保険の給付記録(レセプトを含む)

上記の資料を出せば必ず初診日が認められるわけではありません。

例えば、診察券については初診日が記載されていて、診療科がわかるものでなければ、客観性がないと判断されます。

石塚社労士
石塚社労士

ほかの資料についても、記載されてた受診日が初診日とは限らないため、初診日を証明できる資料を見つけるのは大変な労力かかります。

このほかにも、障害者手帳、お薬手帳、処方された薬の入っていた袋などがあれば用意しましょう。

なお、さきほどご説明したとおり、20歳前に初診日がある場合と医療従事者が第三者証明を作成した場合は、添付書類は不要です。

第三者証明でよくある質問

第三者証明で寄せられる質問に回答していきます。

第三者証明を書いてくれた人に迷惑がかかることがありますか?

第三者証明を記載した場合、年金事務所から問い合わせがくることがあります。

突然、年金事務所から電話がかかってくると、驚く人も少なくありません。

第三者証明を書いてくれる人に、あらかじめ「もしかすると、年金事務所から問い合わせの電話がいくかもしれない」と知らせておくことをおすすめします。

第三者証明で書いた内容に間違いがあったらと心配です…

第三者証明は、初診日を推定できるか審査するための書類で、正確に記載することが求められます。

しかし、第三者証明を書いて下さる人(申立者)のなかには、「昔のことでよく覚えていない」という人も多いでしょう。

そんなときは、申立者が当時見たり聞いたりしたことをわかる範囲で記入すれば問題ありません。

記入できない項目があっても構いませんし、自信がないことについては「〇〇だったと思います」というような書き方で大丈夫です。

書いてくださる人には「あまり心配せずに自分のわかることを書いてください」とお願いしましょう。

まとめ

第三者証明は、医療機関で初診日の証明が取れないときに、第三者が医療機関にかかっていたことを申し立てるものです。

第三者証明は、正確には「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」といいます。

第三者証明に記載できるのは、いとこや友人、初診当時を知る医療関係者などで、親や兄弟などの三親等の親族は記載できません。

多くの場合は、年金事務所から客観的な資料の添付を求められます。
ご自宅で初診当時の診察券や、医療機関の領収書などを保管していないか確認しましょう。

初診日の特定は難しいケースも多くあります。
初診日がわからない、書類を書くのが難しいなど、障害年金でお困りのときにはピオニー社会保険労務士事務所へご相談ください。